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準備

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アルに連れられて大きな通りに出ると、食べ物を売っているお店がたくさんあった。食べ物を買いに来ている人もたくさんいる。
まずアルが向かったのはお肉のお店。肉の見た目はあっちの世界とあまり変わらないけれど、種類は異世界らしい魔物のお肉だった。オークやコカトリスなんかが売られている。


「レッドボアをくれ」
「はい、どうぞ!」
「お肉の量、足りる?」
「森に入ったら自分で狩るからな。他のものよりは買わなくて大丈夫だ」
「そっか。それ入るの?」
「マジックバックだからたくさん入るし、この中に入れていれば時間もたたないぞ」
「マジックバック…!」

 
お店の人から渡された、革袋のようなものに入ったお肉をマジックバックに入れて、次は毒々しい色の果物が売られているお店に行く。
見た目は僕が知っている果物とあまり変わらないけれど、色がすごい。なんだかみんなドラゴンフルーツみたいな派手な色合いだ。
アルの家にはあまり派手な色のフルーツはなかったのでここまでだとは思っていなかった。
 

「なんだかすごい色だね…」
「そうか?普通だと思うが…?」


そんな会話をしながらたくさん買って、最後はパン屋でパンを買う。楕円形のパンがたくさん売られていて、香ばしい匂いがした。


「よし。これでだいたい揃ったな。他のものは家にあるものでなんとかなるだろう」
「もうダリさんのところに戻るの?」
「ああ。終わって無いかもしれないが、やっぱりソラに武器を持たせた方がいいと思ってな」
「僕の武器?」
「もちろん戦わせるつもりはない。ただ、念の為にナイフくらいは持っていた方がいい。ギルドの依頼の薬草採取もできるしな」


ダリさんのお店に帰ってきて、中に入る。


「お前たちか。あともう少しで終わるから待ってくれ」
「大丈夫だ。ソラの武器を探したい」
「じゃあ適当に店の中から見ておいてくれ」


僕が大剣や弓など色々見て回っているアルが選んでくれたのは小さめのナイフ。他のより大きすぎないから持ちやすくて使いやすそうだ。


「これ、いいかも」
「じゃあこれにするか。ダリさん、このナイフも頼む」
「ああ、マントもちょうどできたぞ」


大きさを直したマントをダリさんが渡してくれる。着ていたアルのお下がりのマントを脱いで、黒いマントを羽織ってみる。


「うん、ピッタリです!」
「それは良かった。武器もこれでいいんだな?」


アルがマントと武器を買ってくれて、僕達は家に帰った。
ダリさんがマントにフードをつけてくれたので、フードは被ったままだけど。






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