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第6章 推測
確信
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室町は室町で幸せの絶頂であった。
自分と翔子の間に障害は無くなったのである。田上は確実に悪魔の華でたぶらかされている。そう考えれば、あの田上の豹変振りにも説明がつく。
つまり田上に蒼い華の蜜を飲ませれば、紅い華の効果が解毒されて田上は元に戻る。そして元に戻った田上は翔子を好きでは無くなる。
そして俺は翔子が好き。翔子も俺を好きになってくれている。なんの問題も無い。素晴らしい!!
少しは室町も翔子の変わりぶりに疑問を感じている。
なぜ、いきなり自分を好きになったのか?元から好きだったのか?いや、それはおかしい……石原は確実に田上を好きだったはずだ。
田上に悪魔の華の蜜を飲ませた人物が、石原にも蜜を飲ませた?
しかしどうにも説明がつかない。
誰かが翔子に紅い華の蜜を飲ませたなら、その場にいない室町を好きになる訳が無い。
確か悪魔は、紅い華の蜜を飲んだ瞬間に目の前にいる人物を好きになると言っていた。
それに翔子の恋心はいかにも自然な感じだ。
田上の情熱ぶりを見ていると、翔子の反応は悪魔の薬が作用して自分を好きになったとはとても思えない。
そして、もし翔子が蒼い華の蜜を飲んでいたとしても、恋心が無くなるだけなので自分を好きになる理由にはならない。
そういう理由で翔子は悪魔の華とは無関係だと信じていた。
室町は考える。幸いにも自分の部屋にはこのこんがらがった状態を全て解決する蒼い華がある。
あの華の蜜を田上に飲ませればいい。それで全てが解決だ!
翔子との一件があってからは田上はあまり外に出たがらなくなっていた。室町にはそれも心配だったが、今回は無理に外に誘ったりせず、田上の部屋にやってきた。
もちろん、田上に蒼い華の蜜を飲ませる為だ!
室町は、田上にズバリと悪魔のこと、華のことを聞こうかとも考えたがそれはやめておいた。
田上がどういう方法で華の存在を知ったか分からないからだ。
自分がいきなり悪魔の話なんかを持ち出して華の蜜を飲めと言ったら、まるで変な信仰宗教である。
それに田上が悪魔のことを知っていても、それはそれで困る。なぜ、室町のところに悪魔が現れたのか?場合によっては悪魔に「翔子に紅い華を使え」とそそのかされたことを言わなければならず、前から自分が翔子を好きだった事もばれてしまう。
今日の夜には翔子と会う約束をしている。
2年間も自分の気持ちを押し殺してきた室町は、もうその場で翔子に自分の気持ちを伝えても構わないとさえ思っている。
しかしまだ、そこまで至らず、時間が必要な場合だってあるだろう。
そんな場合のためにも自分の恋心をまだ田上に知らせない方がいいと室町は考えたのだ。
そして悪魔の事を黙っておきたい最大の理由はこうである。
自分と翔子が付き合うことになった時、自分が翔子に紅い華を使ったんではないか?と、田上と翔子に勘ぐられるのが嫌だった。
勝手知ったる田上の家の台所で、室町は自分の買ってきた粉で紅茶を作り始めた。
「田上―。気分が落ち着くっていうハーブの紅茶を買ってきたんだ。今いれるからまあ飲んでくれよ」
室町は器用な手つきで紅茶を作ると隠し持っていた綿棒を出して、その先についた物体を紅茶にまぜた。
室町は家を出る時に綿棒の先に蒼い華の蜜を擦りつけていたのだ。この時、事の成り行きを少し勘違いしている室町に罪悪感は全く無かった……
室町自身こうすることで田上が苦しみから解き放たれると信じきっていたのだ。
「田上、お待たせー。精神安定によく効く紅茶らしいから、これを飲んだらきっと楽になるぜ」
「ありがとう。頂くよ。」
田上は紅茶のカップに手をかけた……
自分と翔子の間に障害は無くなったのである。田上は確実に悪魔の華でたぶらかされている。そう考えれば、あの田上の豹変振りにも説明がつく。
つまり田上に蒼い華の蜜を飲ませれば、紅い華の効果が解毒されて田上は元に戻る。そして元に戻った田上は翔子を好きでは無くなる。
そして俺は翔子が好き。翔子も俺を好きになってくれている。なんの問題も無い。素晴らしい!!
少しは室町も翔子の変わりぶりに疑問を感じている。
なぜ、いきなり自分を好きになったのか?元から好きだったのか?いや、それはおかしい……石原は確実に田上を好きだったはずだ。
田上に悪魔の華の蜜を飲ませた人物が、石原にも蜜を飲ませた?
しかしどうにも説明がつかない。
誰かが翔子に紅い華の蜜を飲ませたなら、その場にいない室町を好きになる訳が無い。
確か悪魔は、紅い華の蜜を飲んだ瞬間に目の前にいる人物を好きになると言っていた。
それに翔子の恋心はいかにも自然な感じだ。
田上の情熱ぶりを見ていると、翔子の反応は悪魔の薬が作用して自分を好きになったとはとても思えない。
そして、もし翔子が蒼い華の蜜を飲んでいたとしても、恋心が無くなるだけなので自分を好きになる理由にはならない。
そういう理由で翔子は悪魔の華とは無関係だと信じていた。
室町は考える。幸いにも自分の部屋にはこのこんがらがった状態を全て解決する蒼い華がある。
あの華の蜜を田上に飲ませればいい。それで全てが解決だ!
翔子との一件があってからは田上はあまり外に出たがらなくなっていた。室町にはそれも心配だったが、今回は無理に外に誘ったりせず、田上の部屋にやってきた。
もちろん、田上に蒼い華の蜜を飲ませる為だ!
室町は、田上にズバリと悪魔のこと、華のことを聞こうかとも考えたがそれはやめておいた。
田上がどういう方法で華の存在を知ったか分からないからだ。
自分がいきなり悪魔の話なんかを持ち出して華の蜜を飲めと言ったら、まるで変な信仰宗教である。
それに田上が悪魔のことを知っていても、それはそれで困る。なぜ、室町のところに悪魔が現れたのか?場合によっては悪魔に「翔子に紅い華を使え」とそそのかされたことを言わなければならず、前から自分が翔子を好きだった事もばれてしまう。
今日の夜には翔子と会う約束をしている。
2年間も自分の気持ちを押し殺してきた室町は、もうその場で翔子に自分の気持ちを伝えても構わないとさえ思っている。
しかしまだ、そこまで至らず、時間が必要な場合だってあるだろう。
そんな場合のためにも自分の恋心をまだ田上に知らせない方がいいと室町は考えたのだ。
そして悪魔の事を黙っておきたい最大の理由はこうである。
自分と翔子が付き合うことになった時、自分が翔子に紅い華を使ったんではないか?と、田上と翔子に勘ぐられるのが嫌だった。
勝手知ったる田上の家の台所で、室町は自分の買ってきた粉で紅茶を作り始めた。
「田上―。気分が落ち着くっていうハーブの紅茶を買ってきたんだ。今いれるからまあ飲んでくれよ」
室町は器用な手つきで紅茶を作ると隠し持っていた綿棒を出して、その先についた物体を紅茶にまぜた。
室町は家を出る時に綿棒の先に蒼い華の蜜を擦りつけていたのだ。この時、事の成り行きを少し勘違いしている室町に罪悪感は全く無かった……
室町自身こうすることで田上が苦しみから解き放たれると信じきっていたのだ。
「田上、お待たせー。精神安定によく効く紅茶らしいから、これを飲んだらきっと楽になるぜ」
「ありがとう。頂くよ。」
田上は紅茶のカップに手をかけた……
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