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第5章 親友

相談

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田上が翔子に告白をした日の翌日、そんなこととは露知らず、室町は繁華街に買い物に来ていた。

別に何を買う訳でも無い。自分のちょっと湿った気持ちを追い払おうと思ったのだ。

室町はたまたま自分の部屋に合いそうな、センスの良い植木鉢を見つけた。

よし、せっかくだからこれにあの花を植えようとその植木鉢を購入したところで、室町の携帯電話が鳴り出した。

親友の田上のみを他と違う着信音に設定してある室町には、それが田上からの電話だとすぐに分かった。

電話に出た室町はびっくりする。

すぐにただ事では無いと分かるくらいに田上の声は暗かった……

田上の家に行く途中、電車の中で室町は考込む。どういう事だ?石原に告白をして振られただって?

逆では無いのか?誰が見ても翔子が田上のことを好きなのは明白だった。分かり過ぎるぐらいだ!!

そして田上はどちらかと言えば他人に無関心……こと女性に関して言えば、恋愛感情が無いに等しい。

だから、石原が田上に告白をして、我が友人が困って俺に電話をして来たと言うなら、話は分かるのだが……

室町は頭を抱えた。田上の言ったことが本当ならば、最低でも翔子は田上に好意を抱いていないことになる。そうすれば、俺にも脈があるということか?

しかし、親友が翔子を好きだと言っているものを、俺がどうこうしていいものだろうか……とにかく早く田上の家に行き、真実を確認しなくては……

室町が田上の家に向かっている時、田上は自分の部屋で布団をかぶり、右へ左へとゴロゴロと転がりまわっていた。

何もする気が起きない。考えるのも嫌だ。なぜか吐き気までする……ような気がする。気持ち悪い……

翔子に振られたショックで気持ちが悪いのか?二日酔いなのか?それとも本当に体調が悪いのか?

誰にも会いたくない。会話も交わしたく無いと思った田上だったが、なぜか室町には電話をかけてしまった……親友の力強い言葉が自分を元気付けてくれると思ったのだ。

室町なら自分のこの気持ちを理解してくれるのでは無いだろうかと思った。

玄関のベルが鳴る。室町がやって来たのだ。それだけで田上は救われたような気分だった。

しかし、田上の予想とは裏腹にこの時、室町はこんなことを考えていた……もし田上の言うことが真実であったなら、自分も本当のことを伝えよう。

自分は石原翔子のことが好きだ、だからいかに親友とはいえ、田上の応援は出来ないと……

喜び勇んで田上はドアを開けて室町を迎えいれた。
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