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剣術を学ぼう
第5話 模擬戦をしよう
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ヴィーシャさんが戦闘態勢に入るのは早かった。いや、その前からすでに戦闘態勢だったのかも知れない。僕の首を狙って払われた横振りの剣は、なんとか振り上げた盾に当たった。
同時に左足に強い衝撃が走り、僕はバランスを崩して転ぶ。何が起きたのか分からなかった。ずきずきと痛む左足はそこに攻撃を受けたことを示している。しかし剣は盾で防いだはずなのだ。
「ひーくん、起きて!」
メルの声に背中を押されて僕はなんとか立ち上がる。すぐ傍でメルがヴィーシャさんと切り結び合っている。いや、メルが一方的に押されている。剣での攻撃はなんとか防ぎ切れているが、その合間にヴィーシャさんは左手で殴ったり、足で蹴ったり、剣術とは程遠い動きをしていて、メルはそこまでは防ぎ切れていない。
僕は慌てて加勢するために、ヴィーシャさんの背後から斬りつけた。そのとき僕の目の前に構成が出現するのが見えた。構成は目で見えるものでないから、見えたというのは正確ではない。感じ取ったというほうが正しい。
構成に魔力が流れ込み、炎に変わる。構成に覚えがあった。着火の魔術だ。火種になる程度の火力しかない魔術だ。それでも眼前に炎が出現したことで僕は怯んだ。加えて言うならば構成から炎に変わったために視界も塞がれた。
横っ腹に強い衝撃。部分鎧が守ってくれていない部分だ。
「ふぐっ!」
体がくの字に折れる。さらに正面から胸に衝撃が走る。胸当てが衝撃を多少逃がしてはくれたが、為す術もなく僕は尻餅をついた。
「くそっ」
手を突いて立ち上がる。
「あぐっ!」
ちょうどそのタイミングでメルが蹴撃を横腹に食らって膝を突いた。メルがまともにダメージを負うのを初めて見た。
かあっと怒りで目の前が真っ赤になる。
剣を振り上げる。目の前に炎が出現したが、構うものか。そのまま顔から突っ込んでいく。踏み込んで、剣を振り下ろす。
しかし体捌きだけで躱される。くるりとヴィーシャさんの体が回転して、僕の首筋に剣が突きつけられる。盾を合わせることもできない早業だった。
「男は脱落だ」
ベクルトさんが宣言する。
それからメルは頑張ったが、1対1ではヴィーシャさんには敵わなかった。体術で転ばされたところで剣を顔の前に突きつけられる。
「女も脱落。ヴィーシャの勝ちだ」
仕方ないかな、と僕は思う。ヴィーシャさんはここで訓練を受けているんだし、きっと僕らよりレベルも高いのだろう。
「念のために言っておくが、ヴィーシャのレベルは1だ。冒険者ですらない」
ベクルトさんはそう考えた僕の考えをポッキリと折った。
「お前らはハッキリ言って素人だ。そんなんでよく今まで死ななかったな。だが安心しろ。ここでみっちりと修行すれば、お前らだって強くなれる。ヴィーシャがその証明だ。さあ、楽しい修行を始めようか」
そう言ってベクルトさんは豪快に笑った。
同時に左足に強い衝撃が走り、僕はバランスを崩して転ぶ。何が起きたのか分からなかった。ずきずきと痛む左足はそこに攻撃を受けたことを示している。しかし剣は盾で防いだはずなのだ。
「ひーくん、起きて!」
メルの声に背中を押されて僕はなんとか立ち上がる。すぐ傍でメルがヴィーシャさんと切り結び合っている。いや、メルが一方的に押されている。剣での攻撃はなんとか防ぎ切れているが、その合間にヴィーシャさんは左手で殴ったり、足で蹴ったり、剣術とは程遠い動きをしていて、メルはそこまでは防ぎ切れていない。
僕は慌てて加勢するために、ヴィーシャさんの背後から斬りつけた。そのとき僕の目の前に構成が出現するのが見えた。構成は目で見えるものでないから、見えたというのは正確ではない。感じ取ったというほうが正しい。
構成に魔力が流れ込み、炎に変わる。構成に覚えがあった。着火の魔術だ。火種になる程度の火力しかない魔術だ。それでも眼前に炎が出現したことで僕は怯んだ。加えて言うならば構成から炎に変わったために視界も塞がれた。
横っ腹に強い衝撃。部分鎧が守ってくれていない部分だ。
「ふぐっ!」
体がくの字に折れる。さらに正面から胸に衝撃が走る。胸当てが衝撃を多少逃がしてはくれたが、為す術もなく僕は尻餅をついた。
「くそっ」
手を突いて立ち上がる。
「あぐっ!」
ちょうどそのタイミングでメルが蹴撃を横腹に食らって膝を突いた。メルがまともにダメージを負うのを初めて見た。
かあっと怒りで目の前が真っ赤になる。
剣を振り上げる。目の前に炎が出現したが、構うものか。そのまま顔から突っ込んでいく。踏み込んで、剣を振り下ろす。
しかし体捌きだけで躱される。くるりとヴィーシャさんの体が回転して、僕の首筋に剣が突きつけられる。盾を合わせることもできない早業だった。
「男は脱落だ」
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それからメルは頑張ったが、1対1ではヴィーシャさんには敵わなかった。体術で転ばされたところで剣を顔の前に突きつけられる。
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仕方ないかな、と僕は思う。ヴィーシャさんはここで訓練を受けているんだし、きっと僕らよりレベルも高いのだろう。
「念のために言っておくが、ヴィーシャのレベルは1だ。冒険者ですらない」
ベクルトさんはそう考えた僕の考えをポッキリと折った。
「お前らはハッキリ言って素人だ。そんなんでよく今まで死ななかったな。だが安心しろ。ここでみっちりと修行すれば、お前らだって強くなれる。ヴィーシャがその証明だ。さあ、楽しい修行を始めようか」
そう言ってベクルトさんは豪快に笑った。
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