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アーリアのダンジョンに挑もう

第8話 第3層で経験を積もう

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 放っておくとメルはいつまでも漫画を読んでいそうだ。ジュースと饅頭を食べながら、完全に満喫している。このままだと今日が終わってしまいそうだ。

「それ、アーリアの僕の部屋に持っていって良いよ。いつでも好きな時に読んでいいから」

「いいの!?」

「まあ、読み返すことも滅多に無いし、とりあえず20巻くらいまで持って行く?」

「いくいく!」

 というわけで、僕らは押し入れから装備品を取り出して、玄関からこっそり靴を持ってくると、アーリアのダンジョンに戻ることにした。結構な時間が経ったからか、魔物たちも再出現リポップを済ませているようだ。

 もう一度同じ手順でポータルが見える範囲の魔物を一掃していく。慣れてきたのか危なげなく魔物を倒しきることができた。

「第4層を目指してもいいのかな?」

「うーん、でも魔力が結構減ってるよね」

 何度か小回復の魔術を使う場面があった。まだ魔力は危険域ではないが、消耗しているのは事実だ。

「でも4層のポータルを開いておくのは私も賛成。今日はそこまでにしない?」

「確かに日本で時間かかったからもういい時間だなあ」

 スマホを確認すると17時が近い。切り上げ時と言えばそうだろう。僕らは気を抜くことなく、第4層のポータルがある方角へと向かう。途中で遭遇した魔物を全部倒しながら、第4層のポータルへと到達した。

「それじゃ一旦第4層に行って、外に出る、という流れで」

「うん。それでいいよ」

 僕はポータルに触れる。初めて触れるポータルなので、行き先は自動的に第4層だ。相変わらずの平原に僕らは出現する。それからポータルに再度触れて外へと出た。

 よく考えてみれば不思議な話だが、アーリアの時間と日本の時間はリンクしている。日付と同じように偶然の賜物なのか、そうでないのかはいずれはっきりするだろう。

 周りには他にもダンジョンから出てきたと思しき冒険者の姿がある。彼らはこれから冒険者ギルドに魔石を売りに行くのだろう。僕らは違う。ダンジョンの小集落を出た僕らはアーリアに戻ると真っ直ぐに僕の借りている部屋に向かった。

 メルと手分けして持っていた魔石を全部僕のリュックサックに入れる。50個を越えているだろう。とは言っても、第1層のスモールスライムの魔石も混じっている。金額的にはそれほど期待できない。

「そう言えばメルの次の予定を聞いてなかったや。酒場に確認に行ったほうがいいかな?」

「ふっふっふー、ひーくんが次に休みになるのは6日後と7日後だよね?」

 僕はカレンダーアプリを確認する。今日が24日の日曜日で、次の土曜は30日だ。6日後で間違いない。

「テレミスティスの月に変わるからね。シフトをお願いして、4日と5日は休みにしてもらいました。その後も5日働いて2日休みをもらう形にしたよ。これでひーくんと予定を合わせられるんだよね」

「凄い! よく覚えてたね」

「えへへっ、本当は酒場の仕事も辞めて、ひーくんいないときもダンジョンに潜ろうと思ってたんだけど、それだとひーくんは心配なんだよね?」

「そうだな。1人でダンジョンに行かれるのはちょっと怖いかな。あ、でもメルは早くレベルを上げたいんだよね? そっか、なら冒険者を専業にしてるパーティとかに入れてもらったほうが効率いいのか。考えてなかったな」

「し・ん・ぱ・い・なんだよね?」

 なんだか凄い圧を感じる。

「……そうだね。できれば僕の目の届くところで冒険して欲しいかな」

「じゃ、そうするっ!」

 嬉しそうにメルははにかむ。僕は自分の心臓が跳ねる音を聞いた。
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