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アーリアのダンジョンに挑もう
第5話 ラーメンを食べよう
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僕の住む家からは出歩いてもそんなに食べるところは無い。せいぜいラーメン屋があるくらいだ。ファミレスでもあればよかったのだが、電車に乗らなければならない。コンビニや弁当屋、スーパーはあるけれど、せっかくなのでメルに外食させてみたい。近所のラーメン屋に向かって歩く。
「メル、箸って知ってる?」
「箸? 知らない」
「そっか、まあフォークくらいきっとあるだろ」
飲食店では子ども向けにフォークくらいは用意してあるだろう。ちょっと歩いて国道まで出ればラーメン屋はすぐそこだ。僕らは扉を開けてラーメン屋の中に入る。
「いらっしゃい! 何名様ですか?」
「2名なんですけど、この子箸が使えなくて、フォークあります?」
「ありますよ。ご用意しますね。カウンターでよろしいですか?」
「はい」
「ではそちらにどうぞ」
僕らは並んでカウンターに腰掛ける。
「ねぇねぇ、ひーくん、ここは何屋さんなの?」
「ラーメン屋さんだよ。スープに浸かった麺を食べるところ」
僕はメニューを引っ張り出す。
「海鮮、豚骨、醤油? 醤油ってなに?」
「日本じゃ一般的な調味料だよ」
「じゃあそれにしてみる」
「じゃあ僕は豚骨にするか」
万が一メルが醤油ラーメンを食べられなかったときに交換できるだろう。店員さんに注文を通して待つことしばし、僕らの前にラーメンが出てきた。メルのところにはちゃんとフォークも用意されている。
「あれ、ひーくんはどうやって食べるの?」
「箸を使うんだよ」
僕は箸立てから箸を取って手に持って見せた。
「そう言えば忘れてたけど、メルは啜る音って大丈夫?」
「啜る音? どういうこと?」
「ラーメンって口で吸うように食べるんだ。その時に独特な音がするからさ。外国の人にはその音がどうしても受け付けないって人が結構いるから」
「うーん、今のところ気にならないかなあ?」
店内には他にも客がいてラーメンを啜る音は聞こえてきている。メルが気にならないというのなら大丈夫だろう。
僕は麺を箸で取って口に運ぶ。ずずずと啜って食べてみた。
「こんな感じ」
「大丈夫だよ。私も箸を使ってみようかな」
「日本だと大体のものは箸で食べるから練習してみてもいいかもね」
メルに箸の持ち方をレクチャーすると、メルはすぐにそれっぽい持ち方になった。だが麺を捕まえるのには苦労している。
「難しいー。今日はフォークを使おうっと」
「麺が伸びちゃうしね」
「早く言ってよー」
メルはフォークで麺を口に運ぶ。それから僕の真似をして麺を啜ろうとしているようだが、どうやら上手くできないようだ。麺を噛み千切って咀嚼する。
「美味しいけど、難しい!」
「フォークで麺をくるくると巻くと食べやすいかも」
パスタで子どもがやるような食べ方だ。
「うん。やってみる」
メルはフォークをくるくると回して麺を巻き取る。それを口に運んだ。
「うん。すっごく美味しい」
僕がレンゲでスープを飲むと、メルも真似してスープを飲んだ。
「スープがすごく複雑な味わいなんだね。そっちのも一口いい?」
「いいよ。どうぞ」
メルが僕の豚骨ラーメンのスープをレンゲで掬って飲んだ。
「こっちも美味しい! すごいね、ラーメン!」
その後もメルは具材をひとつひとつ、これなに? と聞いてくる。メンマってなんなんだっけ? メンマだよ、って答えるに留める。
僕らはスープまで飲み干してラーメン屋を後にした。
「メル、箸って知ってる?」
「箸? 知らない」
「そっか、まあフォークくらいきっとあるだろ」
飲食店では子ども向けにフォークくらいは用意してあるだろう。ちょっと歩いて国道まで出ればラーメン屋はすぐそこだ。僕らは扉を開けてラーメン屋の中に入る。
「いらっしゃい! 何名様ですか?」
「2名なんですけど、この子箸が使えなくて、フォークあります?」
「ありますよ。ご用意しますね。カウンターでよろしいですか?」
「はい」
「ではそちらにどうぞ」
僕らは並んでカウンターに腰掛ける。
「ねぇねぇ、ひーくん、ここは何屋さんなの?」
「ラーメン屋さんだよ。スープに浸かった麺を食べるところ」
僕はメニューを引っ張り出す。
「海鮮、豚骨、醤油? 醤油ってなに?」
「日本じゃ一般的な調味料だよ」
「じゃあそれにしてみる」
「じゃあ僕は豚骨にするか」
万が一メルが醤油ラーメンを食べられなかったときに交換できるだろう。店員さんに注文を通して待つことしばし、僕らの前にラーメンが出てきた。メルのところにはちゃんとフォークも用意されている。
「あれ、ひーくんはどうやって食べるの?」
「箸を使うんだよ」
僕は箸立てから箸を取って手に持って見せた。
「そう言えば忘れてたけど、メルは啜る音って大丈夫?」
「啜る音? どういうこと?」
「ラーメンって口で吸うように食べるんだ。その時に独特な音がするからさ。外国の人にはその音がどうしても受け付けないって人が結構いるから」
「うーん、今のところ気にならないかなあ?」
店内には他にも客がいてラーメンを啜る音は聞こえてきている。メルが気にならないというのなら大丈夫だろう。
僕は麺を箸で取って口に運ぶ。ずずずと啜って食べてみた。
「こんな感じ」
「大丈夫だよ。私も箸を使ってみようかな」
「日本だと大体のものは箸で食べるから練習してみてもいいかもね」
メルに箸の持ち方をレクチャーすると、メルはすぐにそれっぽい持ち方になった。だが麺を捕まえるのには苦労している。
「難しいー。今日はフォークを使おうっと」
「麺が伸びちゃうしね」
「早く言ってよー」
メルはフォークで麺を口に運ぶ。それから僕の真似をして麺を啜ろうとしているようだが、どうやら上手くできないようだ。麺を噛み千切って咀嚼する。
「美味しいけど、難しい!」
「フォークで麺をくるくると巻くと食べやすいかも」
パスタで子どもがやるような食べ方だ。
「うん。やってみる」
メルはフォークをくるくると回して麺を巻き取る。それを口に運んだ。
「うん。すっごく美味しい」
僕がレンゲでスープを飲むと、メルも真似してスープを飲んだ。
「スープがすごく複雑な味わいなんだね。そっちのも一口いい?」
「いいよ。どうぞ」
メルが僕の豚骨ラーメンのスープをレンゲで掬って飲んだ。
「こっちも美味しい! すごいね、ラーメン!」
その後もメルは具材をひとつひとつ、これなに? と聞いてくる。メンマってなんなんだっけ? メンマだよ、って答えるに留める。
僕らはスープまで飲み干してラーメン屋を後にした。
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