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第百九話 カノンの怒り
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小百合が腕組みをしながらうろうろと歩く。
「ようするにカノンにこれ以上へんな魔術をかけさせなければいいわけよね」
「夜通し見張るとか? でも夜寝ないと疲れちゃうよ。それに芽依が止めようとしてもきっと無理だよ」
「いっそのことカノンを亡き者にした方が早いわね」
菫の過激な発言に小百合が即答する。
「それは無理ね」
当然のように菫が反論した。
「どうしてそんなことわかるのよ?」
「冷静に考えて私達よりカノンの方が魔力が上よ」
「そんなのやってみなきゃわからないでしょ?」
「下手に戦いを挑んで返り討ちに遭ったら元も子もないわ」
「だったら三人でかかればいいんだよ」
芽依の意見にも小百合が否定した。
「私達はこの世界の人間じゃないわ。束になってかかっても勝てる保証なんてないじゃない」
「それはそうだけど・・・・」
「とにかくこのままではダメだってことは確かよね。だったら勝てる方法を考えましょうよ」
相変わらず菫は戦う姿勢を崩さない。
「確かにこのままではいけないのはわかるわ。でも焦ってはダメ。まずはカノンがどの程度の魔力を持ってるか探るべきよ」
「どうやって?」
「それは・・・・難しいわね」
その時三人の背後からカノンの声が聞こえた。
「どの程度の魔力か教えてあげましょうか?」
「カノン!」
三人の声が夜の闇に響いた。
「三人ともいなくなってたから捜してみたらこんなところで井戸端会議をしていたのね」
「あら? 一人だけ仲間はずれにしてごめんなさい。どうしてもあなたに聞かれたくない話をしていたの」
「菫さん、カノンさんを刺激するようなことは言わないで!」
カノンを煽る菫を芽依が止めようとした。
「残念ながらもう遅いわ。あなた達の会話は全て聞かせて貰ったの。私と戦いたいみたいね」
「四郎君を独り占めしようなんて私が許さないわ」
「えらく威勢がいいわね。そんなこと言っても大丈夫なの?」
「ふん、実力で手に入らないからって黒魔術を使ってる人に負けるわけないじゃない」
「何ですってー!」
「だから菫さん、カノンさんを煽らないで」
「そこまで言うなら望みを叶えてあげるわ。今日が命日になるけどいいわね?」
「やれるものならやってみなさい。さあ用意はいいみんな!?」
「一人で戦うんじゃないんかーい!」
「恐らく一瞬で私が魔術学校の主席であることを理解できるはずよ」
「こうなったらやるしかないわね」
小百合が一歩前に出た。
「へえ、あんたが先頭で戦うわけ? 今前に出たことを後悔するわよ」
「この二人には手を出させないわ。四郎君の恋人は私なの。ここは一騎打ちでどうかしら?」
「あら? 気付いてないの? もう恋人はあなたじゃなく私なの。わかる?」
「偽りの愛で満足してるなんて悲しいわね」
「何ですってー!! もう一度言って見なさい!」
「偽りの愛で満足しているなんて悲しいわね」
「小百合さん! 本当にもう一度言ったらダメだよ!」
「覚悟しなさい!」
怒りに満ちあふれたカノンは大きく手を上に上げた。
「あなた達は早く逃げなさい」
「小百合さん。芽依そんなことできないよ!」
「いいから早く!!」
小百合が芽依を力一杯突き飛ばす。
「ハー!」
カノンが大きく上げたてを振り下ろそうとした時、四郎の声が聞こえた。
「何してるんだ?」
「四郎君」
「四郎さん」
「ようするにカノンにこれ以上へんな魔術をかけさせなければいいわけよね」
「夜通し見張るとか? でも夜寝ないと疲れちゃうよ。それに芽依が止めようとしてもきっと無理だよ」
「いっそのことカノンを亡き者にした方が早いわね」
菫の過激な発言に小百合が即答する。
「それは無理ね」
当然のように菫が反論した。
「どうしてそんなことわかるのよ?」
「冷静に考えて私達よりカノンの方が魔力が上よ」
「そんなのやってみなきゃわからないでしょ?」
「下手に戦いを挑んで返り討ちに遭ったら元も子もないわ」
「だったら三人でかかればいいんだよ」
芽依の意見にも小百合が否定した。
「私達はこの世界の人間じゃないわ。束になってかかっても勝てる保証なんてないじゃない」
「それはそうだけど・・・・」
「とにかくこのままではダメだってことは確かよね。だったら勝てる方法を考えましょうよ」
相変わらず菫は戦う姿勢を崩さない。
「確かにこのままではいけないのはわかるわ。でも焦ってはダメ。まずはカノンがどの程度の魔力を持ってるか探るべきよ」
「どうやって?」
「それは・・・・難しいわね」
その時三人の背後からカノンの声が聞こえた。
「どの程度の魔力か教えてあげましょうか?」
「カノン!」
三人の声が夜の闇に響いた。
「三人ともいなくなってたから捜してみたらこんなところで井戸端会議をしていたのね」
「あら? 一人だけ仲間はずれにしてごめんなさい。どうしてもあなたに聞かれたくない話をしていたの」
「菫さん、カノンさんを刺激するようなことは言わないで!」
カノンを煽る菫を芽依が止めようとした。
「残念ながらもう遅いわ。あなた達の会話は全て聞かせて貰ったの。私と戦いたいみたいね」
「四郎君を独り占めしようなんて私が許さないわ」
「えらく威勢がいいわね。そんなこと言っても大丈夫なの?」
「ふん、実力で手に入らないからって黒魔術を使ってる人に負けるわけないじゃない」
「何ですってー!」
「だから菫さん、カノンさんを煽らないで」
「そこまで言うなら望みを叶えてあげるわ。今日が命日になるけどいいわね?」
「やれるものならやってみなさい。さあ用意はいいみんな!?」
「一人で戦うんじゃないんかーい!」
「恐らく一瞬で私が魔術学校の主席であることを理解できるはずよ」
「こうなったらやるしかないわね」
小百合が一歩前に出た。
「へえ、あんたが先頭で戦うわけ? 今前に出たことを後悔するわよ」
「この二人には手を出させないわ。四郎君の恋人は私なの。ここは一騎打ちでどうかしら?」
「あら? 気付いてないの? もう恋人はあなたじゃなく私なの。わかる?」
「偽りの愛で満足してるなんて悲しいわね」
「何ですってー!! もう一度言って見なさい!」
「偽りの愛で満足しているなんて悲しいわね」
「小百合さん! 本当にもう一度言ったらダメだよ!」
「覚悟しなさい!」
怒りに満ちあふれたカノンは大きく手を上に上げた。
「あなた達は早く逃げなさい」
「小百合さん。芽依そんなことできないよ!」
「いいから早く!!」
小百合が芽依を力一杯突き飛ばす。
「ハー!」
カノンが大きく上げたてを振り下ろそうとした時、四郎の声が聞こえた。
「何してるんだ?」
「四郎君」
「四郎さん」
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