ブラックテイルな奴ら

小松広和

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第五十一章 黒魔術増強作戦の結果

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 部屋にいつもの静けさが戻ると小百合がみんなに提案した。
「病院に確かめに行きましょう」
「そうだな」
真っ先に返事をした俺に続いて、マリーも芽依も賛成した。
 早速、出かけようとすると何かが俺の服を引っ張る。三号だ。
「お前も行きたいのか?」
三号は大きく首を縦に振った。仕方なく学校の鞄に三号を入れていくことにした。まあ、行きたい理由は想像するまでもない。『二号と二人きりになりたくない』それしかなかろう。この部屋で死人が出るのも嫌なので三号を救済することにした。

 総合病院に着くと小百合の案内で直接三人のいる病棟へと向かった。ナースステーションで小百合が何か話すと中から小百合の母親が出てきた。
「あら、四郎君久しぶり」
「はい、お久しぶりです」
俺は頭を掻きながら挨拶した。
「あら、妹さんて二人いたの?」
「いえ、こちらが妹の芽依です」
「ああ、芽依ちゃんだったわね。で、こちらはどなた?」
「こっちはええっと」
マリーのことは何て紹介すればいいんだ? まさか同居しているとは言えないし、黒い尻尾アクセサリーのなれの果てとも言えまい。
「私は四郎さんの家に」
 俺が困っているとマリーが話し始めたので、慌てて小百合が止めた。
「彼女はクラスメイトなの」
「ちょっと何すんのよ。私は婚約者の」
「この子、太田君と付き合っててこの事件以来おかしいのよ」
小百合はマリーの口を押えて言った。
「そう、それは驚いたでしょうね」
小百合の母親は落ち着いた口調で続けた。
「今、小百合にも言ったんだけど、太田君たちの容体は何も変わっていなのよ」
「そんな‥‥」
俺たちが口をそろえて言うとある病室が騒がしくなった。
「林郷さん、ちょっと来て」
それを聞くと小百合の母親は急いでその病室へと向かった。
「急に太田さんが暴れだして」
「そんなはずはないわ。暴れる体力なんてないはずよ」
部屋を覗いたマリーはにこりと笑い、柔らかな声で言った。
「もう大丈夫ね」
「本当に?」
「ええ、ママの魔力を感じるもの」
それを聞くと小百合はマリーに抱き付いた。
「ありがとう。本当にありがとう」
二人は涙を流しながら喜び合っている。あれだけ対立していた二人なのに。
 しばらくすると小百合の母親が病室から出てきた。
「ごめんなさい、突然消えちゃって」
「こちらこそお忙しいところ突然来ちゃってすみませんでした」
マリーは丁寧な口調で言った。
「あら、こちらのお嬢さんしっかりしてるわね。小百合も見習いなさい」
「ちょっとお母さん。どういうことよ」
「お褒めいただきまして、ありがとうございます。でも、私は『もっとしっかりしなさい』って、いつも両親に言われています」
その言葉を聞いた三号が鞄からひょいと顔を出して小百合の母親を見つめた。ジーッと見ている。何か嫌な予感しかしないのだが。
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