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第四十九章 小百合の発見
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「どうした小百合?」
「もしかして」
小百合は何かを考えながら部屋の中心へと歩いて行った。
「マリーさんの電撃がどうかしたの?」
「ううん。電撃じゃなくて魔力の方よ」
それだけ言うと小百合はマリーの方を向いた。
「ねえマリー。あなた私を浮かせることができる?」
「そ、それくらいできるわ」
「なんか自信なさそうね」
「そんなことないわよ!」
「じゃあ、やってみなさいよ」
「わかったわ。ベッドに寝ころびなさい」
「どうして立ったままじゃ駄目なのよ」
小百合はぶつぶつ言いながらベッドに横たわった。マリーが呪文を唱えると小百合の体は徐々に上がり始めた。
地面から三センチ上がったところで小百合の体は不安定になり、小百合は不安そうに体を動かした。
「ちょっと、暴れないでよ」
「だって、今にも落ちそうで怖いんだもの」
「暴れると余計に不安定になるでしょ」
ようやく小百合の体が五センチくらい上がったところでマリーが言った。
「はい、ここまで」
「え? まだほとんど上がってないじゃない」
「あなたスカートでしょ。これ以上あげると約一名を喜ばせることになるから」
マリーは部屋を見回すと三号と目が合った。
「ごめん。二名だったわ」
小百合は困ったという顔をして頭を抱える。
「別に喜ばせたっていいじゃない」
「絶対に嫌よ」
マリーは即答した。
「じゃあ、四郎君。私の代わりに浮かんで。お願い」
「なんで俺なんだよ」
「だって、スカートはいてないし、誰も喜ばせないし」
俺は仕方なくベッドに横になると、早速体が浮き上がっていった。浮き上がってみるとこれはかなり気持ちのよいものではない。何しろいつ落ちるかわからないのである。つい手で何かを掴みたくなってくる。
「体を動かさないでよ」
マリーはそう言うが先ほどの小百合の気持ちがよくわかる。
それでも三十センチほど体が浮き上がった。
「これで限界よ」
マリーが言うと小百合は待ってましたとばかりににやりと笑った。
「ねえ、マリー。私あなたに謝らなければならないことがあるの」
「何よ急に」
俺の体が少しぐらつく。
「マリー、急に落とすなよ」
俺の声はやや震えている。
「私、四郎君をあなたに奪われたくなくて、あなたが下に行っている時に」
「何をしたの?」
「ごめんなさい。あなたを裏切るつもりはなかったのよ」
「だから何なのよ。早く言いなさいってば」
「四郎君とキスしちゃった」
「なんですって~!」
俺の体は突然天井へ向けて跳ね上がったかと思うと天井に強打され、真っ逆さまにベッドに落ちた。
「ちょっと、どういうことよ!」
マリーは小百合の腕を掴んで問いただす。
「冗談よ、冗談」
「騙されないわよ」
「そんなことがあったら、私も四郎君ももっと雰囲気変わってるわよ。何だったら芽依ちゃんやご両親に聞いてみたら?」
マリーは小百合から手を放すと、
「どうしていきなり嘘ついたりするのよ!」
と聞いた。
「マリー、真剣に聞いて。あなたは四郎君を三十センチ上げるのが限界だったのよね」
「ええ、そうよ。それがどうしたっていうのよ」
「じゃあ、どうして天井まで上げることができたの? それは何の力」
「え?」
「そうなの。あなたに何かの力が働いて実力以上の魔力が出せたのよ」
「それって」
「嫉妬の力よ。恋愛による嫉妬心が思わぬ力を発揮させたのよ」
二人は納得したように頷いた。
「もしかして」
小百合は何かを考えながら部屋の中心へと歩いて行った。
「マリーさんの電撃がどうかしたの?」
「ううん。電撃じゃなくて魔力の方よ」
それだけ言うと小百合はマリーの方を向いた。
「ねえマリー。あなた私を浮かせることができる?」
「そ、それくらいできるわ」
「なんか自信なさそうね」
「そんなことないわよ!」
「じゃあ、やってみなさいよ」
「わかったわ。ベッドに寝ころびなさい」
「どうして立ったままじゃ駄目なのよ」
小百合はぶつぶつ言いながらベッドに横たわった。マリーが呪文を唱えると小百合の体は徐々に上がり始めた。
地面から三センチ上がったところで小百合の体は不安定になり、小百合は不安そうに体を動かした。
「ちょっと、暴れないでよ」
「だって、今にも落ちそうで怖いんだもの」
「暴れると余計に不安定になるでしょ」
ようやく小百合の体が五センチくらい上がったところでマリーが言った。
「はい、ここまで」
「え? まだほとんど上がってないじゃない」
「あなたスカートでしょ。これ以上あげると約一名を喜ばせることになるから」
マリーは部屋を見回すと三号と目が合った。
「ごめん。二名だったわ」
小百合は困ったという顔をして頭を抱える。
「別に喜ばせたっていいじゃない」
「絶対に嫌よ」
マリーは即答した。
「じゃあ、四郎君。私の代わりに浮かんで。お願い」
「なんで俺なんだよ」
「だって、スカートはいてないし、誰も喜ばせないし」
俺は仕方なくベッドに横になると、早速体が浮き上がっていった。浮き上がってみるとこれはかなり気持ちのよいものではない。何しろいつ落ちるかわからないのである。つい手で何かを掴みたくなってくる。
「体を動かさないでよ」
マリーはそう言うが先ほどの小百合の気持ちがよくわかる。
それでも三十センチほど体が浮き上がった。
「これで限界よ」
マリーが言うと小百合は待ってましたとばかりににやりと笑った。
「ねえ、マリー。私あなたに謝らなければならないことがあるの」
「何よ急に」
俺の体が少しぐらつく。
「マリー、急に落とすなよ」
俺の声はやや震えている。
「私、四郎君をあなたに奪われたくなくて、あなたが下に行っている時に」
「何をしたの?」
「ごめんなさい。あなたを裏切るつもりはなかったのよ」
「だから何なのよ。早く言いなさいってば」
「四郎君とキスしちゃった」
「なんですって~!」
俺の体は突然天井へ向けて跳ね上がったかと思うと天井に強打され、真っ逆さまにベッドに落ちた。
「ちょっと、どういうことよ!」
マリーは小百合の腕を掴んで問いただす。
「冗談よ、冗談」
「騙されないわよ」
「そんなことがあったら、私も四郎君ももっと雰囲気変わってるわよ。何だったら芽依ちゃんやご両親に聞いてみたら?」
マリーは小百合から手を放すと、
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「ええ、そうよ。それがどうしたっていうのよ」
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「え?」
「そうなの。あなたに何かの力が働いて実力以上の魔力が出せたのよ」
「それって」
「嫉妬の力よ。恋愛による嫉妬心が思わぬ力を発揮させたのよ」
二人は納得したように頷いた。
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