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第2章 新たな敵を倒せ
第29話 神魔法
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「美味しい紅茶ですね」
ナナカさんの部屋でアフタヌーンティーを楽しむのが私の日課になりつつあります。
「前の部屋より小さくて、まだ家具も揃ってなくてごめんなさい」
「とんでもないです。突然モンスターの襲撃に遭ってここに来たのですから仕方ないです」
「そのうち揃えるね」
「また純日本風の調度品を見られるのが楽しみです」
私は部屋を見渡します。確かに箪笥はありません。その代わりに衣服を入れるケースが数個置かれています。以前の部屋にあったような純和風な物はまだ何も置かれていませんね。これから置かれるのだと思います。できれば私の好きな招き猫も置かれると嬉しいのですが。頼んでみましょうか? でもこんな我が儘いけませんよね? 私が招き猫を好きでもナナカさんは好きでないかも知れませんし。
「ナナカさん、つかぬ事を伺いますが、招き猫は好きですか?」
「う~ん」
あまり言い反応ではありませんね。残念です。
「大好きよ」
好きなんかい! と言いたいところですがキャラが崩れるといけませんので、ここは我慢です。
「リーサは招き猫が好きなの?」
「はい、大好きです」
「じゃあ、今度作っておくね」
「本当ですか? ありがとうございます!」
ナナカさんて本当にいい人ですね。とても楽しみです。
『キュピーキュピーキュピー』
あれ? クロシッポの鳴き声が聞こえてきました。今回はクロシッポがいると怪しまれるかも知れないと言うことで、ここへは連れてきませんでしたのに。どうして鳴き声が聞こえるのでしょうか? もしかいたらミーニャさんと同じようにテレパシーで通じているのかも知れません。
『どうしたクロシッポ?』
『キュピピー』
『リーサは猫好きだと?』
これは驚きです。ミーニャさんはクロシッポの言葉がわかるのでしょうか? 『キュピピー』という短い鳴き声に私の名前と猫好きという情報が含まれていたとは考えづらいのですが。
「よしできたわ」
私が考え込んでいるとナナカさんの声が聞こえました。そして目の前には立派な招き猫が置かれて・・・・いや、ちょっと違うような。
「あのう、招き猫にしては耳がありませんけど」
ナナカさんに悪いので遠慮がちに小さな声で言います。
「そう言えばそうかも。耳のない猫なんてドラえ〇んくらいしかいないわよね。はは」
「ナナカさん、そんなはっきりと著作権に引っかかりそうなことを言わないでください」
「ダメだった? せめて棒タイプの安価なお菓子のキャラにすべきだったかしら? でもあのキャラの名前を知らないわね」
「それはそれで問題発言な気がしますけど」
ナナカさんはもう一度目を閉じて呪文を唱えています。すると目の前に招き猫が出てきました。実に不思議な魔法です。
「できたわ。今度はどう?」
「・・・・首に鈴が付いてますし、お腹にポケットがあります」
「どうしても某アニメのキャラが頭から離れないみたい」
招き猫は諦めることにしました。
ところでこの魔法を私も取得することはできないものでしょうか? 自分の思った物を出せるなんてまさに神魔法です。私なら毎日いちごショートを出して食べまくります。太ったらやばいですけど。
「この魔法って食べ物も出せるのですか?」
「出せるには出せるけど」
「出せるけど何ですか?」
一抹の不安が胸をよぎります。きっと味がないとかじゃないでしょうか? 味がないのに太るなんてことになったら最悪です。
「味がないのですか?」
「味はきちんとするけど」
「美味しくないとか?」
「そんなこともないけど」
「だったら食べると死ぬとか?」
「食べてもお腹が膨れないのよ」
「え?」
「食べてる感じもあって美味しいんだけど、栄養にならないみたいなの。こんな魔法あっても仕方ないよね?」
え? え? え~!
「それっていくら食べても太らないってことですよね!?」
「そうね。でも栄養にならないと食べ物の意味がないじゃない」
まさに神魔法!!!
「一生のお願いです! その魔法の取得方法を教えてください!」
「どうしたの? 目が血走ってるわよ」
もう魔法使いとして強くならなくてもいいです。この魔法と共に私は生きていきます。
「別に教えてもいいけど。憶えるの難しいよ」
「大丈夫です。いちごショートのためならどんなきつい修行にも耐えてみせます」
「ははは、そうなんだ・・・・」
私は真剣な顔でナナカさんを見つめます。本気であることをアピールしなくてはいけませんから。
「まずは何をしたらいいですか? 滝に打たれたらいいですか? それとも座禅を組めばいいですか?」
「そんなことしなくてもいいわよ。でもイメージトレーニングは必要かも」
「イメージトレーニングですか?」
「そう、イメージがあやふやだとさっきみたいに耳のない招き猫を出しちゃうからね」
「なるほど」
私は大きく頷きました。
「それと空気中の原子を集めて陽子と中性子の数を組み替えて違った原子にする必要があるの。空気中に一番多くある窒素の陽子数は7個というのは知ってるわよね。それを鉄に変えるには更に19個の陽子と」
諦めることにしました。ナナカさんともっともっと仲良くなっていちごのショートケーキを出して貰った方が早そうです。
ナナカさんの部屋でアフタヌーンティーを楽しむのが私の日課になりつつあります。
「前の部屋より小さくて、まだ家具も揃ってなくてごめんなさい」
「とんでもないです。突然モンスターの襲撃に遭ってここに来たのですから仕方ないです」
「そのうち揃えるね」
「また純日本風の調度品を見られるのが楽しみです」
私は部屋を見渡します。確かに箪笥はありません。その代わりに衣服を入れるケースが数個置かれています。以前の部屋にあったような純和風な物はまだ何も置かれていませんね。これから置かれるのだと思います。できれば私の好きな招き猫も置かれると嬉しいのですが。頼んでみましょうか? でもこんな我が儘いけませんよね? 私が招き猫を好きでもナナカさんは好きでないかも知れませんし。
「ナナカさん、つかぬ事を伺いますが、招き猫は好きですか?」
「う~ん」
あまり言い反応ではありませんね。残念です。
「大好きよ」
好きなんかい! と言いたいところですがキャラが崩れるといけませんので、ここは我慢です。
「リーサは招き猫が好きなの?」
「はい、大好きです」
「じゃあ、今度作っておくね」
「本当ですか? ありがとうございます!」
ナナカさんて本当にいい人ですね。とても楽しみです。
『キュピーキュピーキュピー』
あれ? クロシッポの鳴き声が聞こえてきました。今回はクロシッポがいると怪しまれるかも知れないと言うことで、ここへは連れてきませんでしたのに。どうして鳴き声が聞こえるのでしょうか? もしかいたらミーニャさんと同じようにテレパシーで通じているのかも知れません。
『どうしたクロシッポ?』
『キュピピー』
『リーサは猫好きだと?』
これは驚きです。ミーニャさんはクロシッポの言葉がわかるのでしょうか? 『キュピピー』という短い鳴き声に私の名前と猫好きという情報が含まれていたとは考えづらいのですが。
「よしできたわ」
私が考え込んでいるとナナカさんの声が聞こえました。そして目の前には立派な招き猫が置かれて・・・・いや、ちょっと違うような。
「あのう、招き猫にしては耳がありませんけど」
ナナカさんに悪いので遠慮がちに小さな声で言います。
「そう言えばそうかも。耳のない猫なんてドラえ〇んくらいしかいないわよね。はは」
「ナナカさん、そんなはっきりと著作権に引っかかりそうなことを言わないでください」
「ダメだった? せめて棒タイプの安価なお菓子のキャラにすべきだったかしら? でもあのキャラの名前を知らないわね」
「それはそれで問題発言な気がしますけど」
ナナカさんはもう一度目を閉じて呪文を唱えています。すると目の前に招き猫が出てきました。実に不思議な魔法です。
「できたわ。今度はどう?」
「・・・・首に鈴が付いてますし、お腹にポケットがあります」
「どうしても某アニメのキャラが頭から離れないみたい」
招き猫は諦めることにしました。
ところでこの魔法を私も取得することはできないものでしょうか? 自分の思った物を出せるなんてまさに神魔法です。私なら毎日いちごショートを出して食べまくります。太ったらやばいですけど。
「この魔法って食べ物も出せるのですか?」
「出せるには出せるけど」
「出せるけど何ですか?」
一抹の不安が胸をよぎります。きっと味がないとかじゃないでしょうか? 味がないのに太るなんてことになったら最悪です。
「味がないのですか?」
「味はきちんとするけど」
「美味しくないとか?」
「そんなこともないけど」
「だったら食べると死ぬとか?」
「食べてもお腹が膨れないのよ」
「え?」
「食べてる感じもあって美味しいんだけど、栄養にならないみたいなの。こんな魔法あっても仕方ないよね?」
え? え? え~!
「それっていくら食べても太らないってことですよね!?」
「そうね。でも栄養にならないと食べ物の意味がないじゃない」
まさに神魔法!!!
「一生のお願いです! その魔法の取得方法を教えてください!」
「どうしたの? 目が血走ってるわよ」
もう魔法使いとして強くならなくてもいいです。この魔法と共に私は生きていきます。
「別に教えてもいいけど。憶えるの難しいよ」
「大丈夫です。いちごショートのためならどんなきつい修行にも耐えてみせます」
「ははは、そうなんだ・・・・」
私は真剣な顔でナナカさんを見つめます。本気であることをアピールしなくてはいけませんから。
「まずは何をしたらいいですか? 滝に打たれたらいいですか? それとも座禅を組めばいいですか?」
「そんなことしなくてもいいわよ。でもイメージトレーニングは必要かも」
「イメージトレーニングですか?」
「そう、イメージがあやふやだとさっきみたいに耳のない招き猫を出しちゃうからね」
「なるほど」
私は大きく頷きました。
「それと空気中の原子を集めて陽子と中性子の数を組み替えて違った原子にする必要があるの。空気中に一番多くある窒素の陽子数は7個というのは知ってるわよね。それを鉄に変えるには更に19個の陽子と」
諦めることにしました。ナナカさんともっともっと仲良くなっていちごのショートケーキを出して貰った方が早そうです。
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