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第2章 新たな敵を倒せ
第24話 緊急軍事会議
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緊急軍事会議を開いてみたがどうも成果が上がらん。
「やはり一気に潰すべきです。先手必勝と言うではないですか」
こいつはさっきからこればかりだ。
「いえ、相手の情報をしっかり掴むまでは動くべきではないでしょう」
こいつもこればかりだ。これではちっとも進展せんぞ。
「お前らの言い分はわかった。わかったから多数決を取ろう。直ちに攻めるべきだと思う者は挙手をしろ。いち、にい、さん・・・・5人か。では、まだ時期尚早であると思う者は挙手をしろ。いち、にい・・・・5人か。となると・・・・」
私は無理矢理会議に参加させているリーサを見た。
カッチーン! 完全に固まっている。四天王を始めここ異世界を牛耳る実力派のモンスターを集めた会議だ。こうなるのも無理はないか。
「リーサ、大丈夫か?」
カッチーン!
「意識はあるか?」
カッチーン!
「息はしておるだろうな?」
カッチーン!
「これはダメだな。完全に心ここにあらずって感じだ」
「しかし、凄いですね。倒れることもなく行儀良く座ったままです」
「寝転ぶわけにはいくまいという強い意志の表れだろう。物凄い精神力だ」
私は固まって動かなくなったリーサの肩を揺すってみた。
「あ! は、はい!」
「我に返ったな。大丈夫か?」
「もちろん私は賛成であります」
慌てて返事をしたリーサはなぜか敬礼をして言った。
「話の内容は無意識のうちに聞いていたみたいだな。ところで何に賛成なんだ?」
「はい、ノルマンディー上陸作戦であります」
「ん? 何を言っておるのだ?」
「すみません。間違えました。お魚をくわえたどら猫捕獲作戦でありました」
「急にショボくなったな」
「ところでリーサ。今下剋上を企てる奴らを先制攻撃で倒すかじっくり様子を見るかで多数決を取っておるのだが、丁度5対5になってしまったのだ。手を挙げていないのはリーサ1人だ。お前の1票で決まるわけだが、どちらに賛成か決めてくれるか?」
「え?」
「いいか。相手を倒すには緻密な計算が必要だ。リーサの1票がこの異世界の運命を大きく変えることになるだろう。さあ、答えてくれ。先制攻撃に賛成かじっくり様子を見るのに賛成か」
カッチーン!
「プレッシャーを掛けすぎたかな?」
私は気分を変えるため、休憩を取ることを提案した。
「おい、メイドはおらぬか? 休憩だコーシーを持ってこい」
その言葉を聞くと数名のマッチョなメイドが慌ててやって来た。コーシーというのは別にコーヒーをかっこつけて言っているわけではない。ここ異世界ではポピュラーな飲み物だ。私の前に置かれたコーシーカップには蓋がしてある。私はそっと蓋を取って中の液体を見る。
「くそ、黄色か。酸っぱい奴だ」
コーシーを作る時はコーシーカップにコーシーの粉末を入れ熱湯を注ぎ蓋をする。言っておくが決して即席ではない。そして1分ほど待つと様々な色に変わるのだ。色によって味が変わる。私の引いた黄色はレモン味で酸っぱいのだ。因みに私の好きな色は黒だ。苦みがあって旨い。
「レッドキング」
「はい何でしょう?」
「お前のコーシーは何色だ?」
「黒ですが」
「私のと交換しないか?」
「いくらラスボス様とはいえこればかりは」
「なぜだ?」
「酸っぱいのは苦手なもので」
「チッ」
私は固まったままのリーサの前に置かれたコーシーの蓋をそっと開けた。
『黒ではないか!』
そっと私のコーヒーと入れ替えリーサの肩を揺すった。
「はい!」
「いつまで固まっているのだ? 美味しいコーシーが入ったぞ。まあ飲め」
「コーヒーですか? 私は砂糖を入れないと飲めません」
「コーヒーではないコーシーだ」
「?」
「まあ、いいから飲んでみろ」
「極端に酸っぱいとかじゃないですよね?」
鋭い!
「そんなことはないぞ? 酸っぱいのは苦手か?」
「はい!」
「そうか。それは楽しみだ」
「何がですか?」
「いや、別に何でもない」
ゴクリ!
「酸っぱいじゃないですか!」
「ははは」
「ミーニャさん酷いです!」
「他のコーシーに換えてやろう。おい、もう一つコーシーを持ってこい」
リーサの前に新しいコーシーが置かれた。
「何色だ?」
「何か嬉しそうですね?」
「そんなことはないぞ」
久しぶりに愉快な気分だ。何だこの感覚は?
リーサはゆっくりと蓋を取る。紫色だ。本当に運のない奴だな。
「さっきとは色が違いますが、これも酸っぱいのですか?」
「酸っぱくはないぞ。ふふ」
ダメだ思わず笑いが出てしまう。
「何味ですか?」
「それは飲んでからのお楽しみだ」
「思いっきり怪しいんですけど」
「大丈夫だ。紫色は一番オーソドックスでよく出る色。一番美味しい味だぞ」
「本当ですね?」
「勿論だ」
ゴクリ!
「うおーーーーー! 何ですかこの味は? これ以上はないくらい刺激的で不味いんですけど!」
「それは猛毒味だ」
「ええーーー!!!」
「大丈夫。味は毒だが本当の毒ではないから死にはしない。はははは」
横にいたレッドキングがリーサのコップを眺めた。
「ほお紫とは珍しい」
「どこがオーソドックスなんですか!」
「ははは」
「よくこんなものが飲めたな?」
「ミーニャさん!」
こうして会議はまたまた時間だけが過ぎていくのであった。
「やはり一気に潰すべきです。先手必勝と言うではないですか」
こいつはさっきからこればかりだ。
「いえ、相手の情報をしっかり掴むまでは動くべきではないでしょう」
こいつもこればかりだ。これではちっとも進展せんぞ。
「お前らの言い分はわかった。わかったから多数決を取ろう。直ちに攻めるべきだと思う者は挙手をしろ。いち、にい、さん・・・・5人か。では、まだ時期尚早であると思う者は挙手をしろ。いち、にい・・・・5人か。となると・・・・」
私は無理矢理会議に参加させているリーサを見た。
カッチーン! 完全に固まっている。四天王を始めここ異世界を牛耳る実力派のモンスターを集めた会議だ。こうなるのも無理はないか。
「リーサ、大丈夫か?」
カッチーン!
「意識はあるか?」
カッチーン!
「息はしておるだろうな?」
カッチーン!
「これはダメだな。完全に心ここにあらずって感じだ」
「しかし、凄いですね。倒れることもなく行儀良く座ったままです」
「寝転ぶわけにはいくまいという強い意志の表れだろう。物凄い精神力だ」
私は固まって動かなくなったリーサの肩を揺すってみた。
「あ! は、はい!」
「我に返ったな。大丈夫か?」
「もちろん私は賛成であります」
慌てて返事をしたリーサはなぜか敬礼をして言った。
「話の内容は無意識のうちに聞いていたみたいだな。ところで何に賛成なんだ?」
「はい、ノルマンディー上陸作戦であります」
「ん? 何を言っておるのだ?」
「すみません。間違えました。お魚をくわえたどら猫捕獲作戦でありました」
「急にショボくなったな」
「ところでリーサ。今下剋上を企てる奴らを先制攻撃で倒すかじっくり様子を見るかで多数決を取っておるのだが、丁度5対5になってしまったのだ。手を挙げていないのはリーサ1人だ。お前の1票で決まるわけだが、どちらに賛成か決めてくれるか?」
「え?」
「いいか。相手を倒すには緻密な計算が必要だ。リーサの1票がこの異世界の運命を大きく変えることになるだろう。さあ、答えてくれ。先制攻撃に賛成かじっくり様子を見るのに賛成か」
カッチーン!
「プレッシャーを掛けすぎたかな?」
私は気分を変えるため、休憩を取ることを提案した。
「おい、メイドはおらぬか? 休憩だコーシーを持ってこい」
その言葉を聞くと数名のマッチョなメイドが慌ててやって来た。コーシーというのは別にコーヒーをかっこつけて言っているわけではない。ここ異世界ではポピュラーな飲み物だ。私の前に置かれたコーシーカップには蓋がしてある。私はそっと蓋を取って中の液体を見る。
「くそ、黄色か。酸っぱい奴だ」
コーシーを作る時はコーシーカップにコーシーの粉末を入れ熱湯を注ぎ蓋をする。言っておくが決して即席ではない。そして1分ほど待つと様々な色に変わるのだ。色によって味が変わる。私の引いた黄色はレモン味で酸っぱいのだ。因みに私の好きな色は黒だ。苦みがあって旨い。
「レッドキング」
「はい何でしょう?」
「お前のコーシーは何色だ?」
「黒ですが」
「私のと交換しないか?」
「いくらラスボス様とはいえこればかりは」
「なぜだ?」
「酸っぱいのは苦手なもので」
「チッ」
私は固まったままのリーサの前に置かれたコーシーの蓋をそっと開けた。
『黒ではないか!』
そっと私のコーヒーと入れ替えリーサの肩を揺すった。
「はい!」
「いつまで固まっているのだ? 美味しいコーシーが入ったぞ。まあ飲め」
「コーヒーですか? 私は砂糖を入れないと飲めません」
「コーヒーではないコーシーだ」
「?」
「まあ、いいから飲んでみろ」
「極端に酸っぱいとかじゃないですよね?」
鋭い!
「そんなことはないぞ? 酸っぱいのは苦手か?」
「はい!」
「そうか。それは楽しみだ」
「何がですか?」
「いや、別に何でもない」
ゴクリ!
「酸っぱいじゃないですか!」
「ははは」
「ミーニャさん酷いです!」
「他のコーシーに換えてやろう。おい、もう一つコーシーを持ってこい」
リーサの前に新しいコーシーが置かれた。
「何色だ?」
「何か嬉しそうですね?」
「そんなことはないぞ」
久しぶりに愉快な気分だ。何だこの感覚は?
リーサはゆっくりと蓋を取る。紫色だ。本当に運のない奴だな。
「さっきとは色が違いますが、これも酸っぱいのですか?」
「酸っぱくはないぞ。ふふ」
ダメだ思わず笑いが出てしまう。
「何味ですか?」
「それは飲んでからのお楽しみだ」
「思いっきり怪しいんですけど」
「大丈夫だ。紫色は一番オーソドックスでよく出る色。一番美味しい味だぞ」
「本当ですね?」
「勿論だ」
ゴクリ!
「うおーーーーー! 何ですかこの味は? これ以上はないくらい刺激的で不味いんですけど!」
「それは猛毒味だ」
「ええーーー!!!」
「大丈夫。味は毒だが本当の毒ではないから死にはしない。はははは」
横にいたレッドキングがリーサのコップを眺めた。
「ほお紫とは珍しい」
「どこがオーソドックスなんですか!」
「ははは」
「よくこんなものが飲めたな?」
「ミーニャさん!」
こうして会議はまたまた時間だけが過ぎていくのであった。
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