39 / 41
第39話 親からねらえ作戦
しおりを挟む
私が遥香ちゃんから解放されたのは午後4時過ぎ。草壁君の家・・・・じゃなかった、邸宅に行くのに待ち合わせた時間は5時。急がねば!
私は今持っている服の中で1番ドレスっぽい服に着替え慌てて家を出た。待ち合わせ場所に着くと沙耶ちゃんも野乃葉ちゃんも綺麗に着飾っている。
「遅いぞ!」
「ごめん。遥香ちゃんがなかなか解放してくれなくて」
「草壁君に遥香ちゃんの説明しなきゃね」
紗椰ちゃんがにこりと微笑んだ。
「本当だよ。誤解されたら大変だもん」
結構手遅れな気もするけど。諦めたら試合終了だもんね。
「それと今日は草壁君がターゲットじゃないからね。草壁君のお父さんとお母さんが真のターゲットだよ」
紗椰ちゃんが突然意味不明なことを言い出す。
「うん?」
「両親に気に入られたらこっちのもんよ。特にお母さんに気に入られたら大きいからね」
「そ、そうだよね」
意外に壮大な計画だった。
「野乃葉は中園君が邪魔しそうなら止めるのよ」
「分かったよ~」
私たちが草壁君の邸宅に着くとすぐ大きな部屋へ通された。
「お着替えはここでお願いします」
う~。私たちは小さな声で言った。
「いえ、着替えは・・・・いいです・・・・」
目一杯着飾ってきたのに、上流階級の方から見るとこの服装って私服レベルだったってことだよね。
パーティーは裏庭で行われた。まさかこんな広い裏庭があろうとは・・・・。これって東京ドーム何個分と放送されるレベルだよね。
「いらっしゃい」
裏庭に行くと草壁君が声をかけてくれた。何故かほっとする私。
「今日はごめんなさい。突然消えたりして」
「ああ、彼女には驚いたよ」
「あの子は遥香ちゃんと言って、近所に住む高校1年生なの」
「そうなんだ」
「私のことをお姉さんのように慕ってくれて」
「人望があるんだね」
「変な誤解してない?」
「大丈夫だよ」
「良かった~」
「いろいろな愛の形もあることを受け入れなくてはね」
「誤解してるじゃない!」
「ははは、冗談だよ。そうだ。君たちに僕の両親を紹介するよ。こっちに来て」
両親を紹介するって! ええええええーーーーーーーー!!!!!! 心の準備がまだできてないんですけど~!
「とにかくアピールのチャンスだよ」
私は沙耶ちゃんの言葉に頷いた。
ダメだ。ドキドキが止まらない。あ! 心臓が止まったら死ぬのか。何て言ってる場合じゃないよ。一歩歩く毎に脈が速くなっていくのがわかる。
「母上。こちらが同じ学校の柚衣さんに夏上さんに野乃葉さん」
うわー! 綺麗なお母さん。草壁君がイケメンになるわけだ。おっと挨拶しなきゃ。第一印象が大切だもんね。
「初めまして。私は百瀬柚衣と申します。よろしくお願いします」
「私は夏上紗椰です」
「私は~野乃葉でだよ~」
よし、私が一番まともな挨拶ができた。これってポイント高いよね。
「あら、あなたが夏上紗椰さん? 裕哉から話は聞いています。これからも仲良くしてあげてくださいね」
「ありがとうございます」
え? 私の方が長い言葉で挨拶したよね。好印象のはずだよね。どうして? どうしてなの?
「あら、こちらの女性は随分可愛らしい容姿をしているわね」
え? そんな可愛いだなんて。どうしよう。
「野乃葉さんと言ったかしら?」
野乃葉のことか~い!
「裕哉をよろしくお願いします」
「あの、え~っと、私は?」
遂に我慢できなくなってコメントの要求をしてしまった。
「あなたは・・・・えーっと。何て言ったかしら?」
「百瀬柚衣です」
「そうだったわね。裕哉といいお友達でいてくださいね」
いいお友達って。深い意味はないよね? 私は微妙に引きつった顔で微笑むのでした。
私は今持っている服の中で1番ドレスっぽい服に着替え慌てて家を出た。待ち合わせ場所に着くと沙耶ちゃんも野乃葉ちゃんも綺麗に着飾っている。
「遅いぞ!」
「ごめん。遥香ちゃんがなかなか解放してくれなくて」
「草壁君に遥香ちゃんの説明しなきゃね」
紗椰ちゃんがにこりと微笑んだ。
「本当だよ。誤解されたら大変だもん」
結構手遅れな気もするけど。諦めたら試合終了だもんね。
「それと今日は草壁君がターゲットじゃないからね。草壁君のお父さんとお母さんが真のターゲットだよ」
紗椰ちゃんが突然意味不明なことを言い出す。
「うん?」
「両親に気に入られたらこっちのもんよ。特にお母さんに気に入られたら大きいからね」
「そ、そうだよね」
意外に壮大な計画だった。
「野乃葉は中園君が邪魔しそうなら止めるのよ」
「分かったよ~」
私たちが草壁君の邸宅に着くとすぐ大きな部屋へ通された。
「お着替えはここでお願いします」
う~。私たちは小さな声で言った。
「いえ、着替えは・・・・いいです・・・・」
目一杯着飾ってきたのに、上流階級の方から見るとこの服装って私服レベルだったってことだよね。
パーティーは裏庭で行われた。まさかこんな広い裏庭があろうとは・・・・。これって東京ドーム何個分と放送されるレベルだよね。
「いらっしゃい」
裏庭に行くと草壁君が声をかけてくれた。何故かほっとする私。
「今日はごめんなさい。突然消えたりして」
「ああ、彼女には驚いたよ」
「あの子は遥香ちゃんと言って、近所に住む高校1年生なの」
「そうなんだ」
「私のことをお姉さんのように慕ってくれて」
「人望があるんだね」
「変な誤解してない?」
「大丈夫だよ」
「良かった~」
「いろいろな愛の形もあることを受け入れなくてはね」
「誤解してるじゃない!」
「ははは、冗談だよ。そうだ。君たちに僕の両親を紹介するよ。こっちに来て」
両親を紹介するって! ええええええーーーーーーーー!!!!!! 心の準備がまだできてないんですけど~!
「とにかくアピールのチャンスだよ」
私は沙耶ちゃんの言葉に頷いた。
ダメだ。ドキドキが止まらない。あ! 心臓が止まったら死ぬのか。何て言ってる場合じゃないよ。一歩歩く毎に脈が速くなっていくのがわかる。
「母上。こちらが同じ学校の柚衣さんに夏上さんに野乃葉さん」
うわー! 綺麗なお母さん。草壁君がイケメンになるわけだ。おっと挨拶しなきゃ。第一印象が大切だもんね。
「初めまして。私は百瀬柚衣と申します。よろしくお願いします」
「私は夏上紗椰です」
「私は~野乃葉でだよ~」
よし、私が一番まともな挨拶ができた。これってポイント高いよね。
「あら、あなたが夏上紗椰さん? 裕哉から話は聞いています。これからも仲良くしてあげてくださいね」
「ありがとうございます」
え? 私の方が長い言葉で挨拶したよね。好印象のはずだよね。どうして? どうしてなの?
「あら、こちらの女性は随分可愛らしい容姿をしているわね」
え? そんな可愛いだなんて。どうしよう。
「野乃葉さんと言ったかしら?」
野乃葉のことか~い!
「裕哉をよろしくお願いします」
「あの、え~っと、私は?」
遂に我慢できなくなってコメントの要求をしてしまった。
「あなたは・・・・えーっと。何て言ったかしら?」
「百瀬柚衣です」
「そうだったわね。裕哉といいお友達でいてくださいね」
いいお友達って。深い意味はないよね? 私は微妙に引きつった顔で微笑むのでした。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
煙みたいに残る Smoldering
梅室しば
キャラ文芸
剣道有段者の兄の伝手を使って、潟杜大学剣道部の合宿に同伴した生物科学科の学生・佐倉川利玖。宿舎の近くにある貴重な生態系を有する名山・葦賦岳を散策する利玖の目論見は天候の悪化によって脆くも崩れ、付き添いで呼ばれた工学部の友人・熊野史岐と共にマネージャーの東御汐子をサポートするが、そんな中、稽古中の部員の足の裏に誰のものかわからない血痕が付着するという奇妙な現象が発生した──。
※本作は「pixiv」「カクヨム」「小説家になろう」「エブリスタ」にも掲載しています。
山蛭様といっしょ。
ちづ
キャラ文芸
ダーク和風ファンタジー異類婚姻譚です。
和風吸血鬼(ヒル)と虐げられた村娘の話。短編ですので、もしよかったら。
不気味な恋を目指しております。
気持ちは少女漫画ですが、
残酷描写、ヒル等の虫の描写がありますので、苦手な方又は15歳未満の方はご注意ください。
表紙はかんたん表紙メーカーさんで作らせて頂きました。https://sscard.monokakitools.net/covermaker.html
君に★首ったけ!
鯨井イルカ
キャラ文芸
冷蔵庫を開けると現れる「彼女」と、会社員である主人公ハヤカワのほのぼの日常怪奇コメディ
2018.7.6完結いたしました。
お忙しい中、拙作におつき合いいただき、誠にありがとうございました。
2018.10.16ジャンルをキャラ文芸に変更しました
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
遊女の私が水揚げ直前に、お狐様に貰われた話
新条 カイ
キャラ文芸
子供の頃に売られた私は、今晩、遊女として通過儀礼の水揚げをされる。男の人が苦手で、嫌で仕方なかった。子供の頃から神社へお参りしている私は、今日もいつもの様にお参りをした。そして、心の中で逃げたいとも言った。そうしたら…何故かお狐様へ嫁入りしていたようで!?
貧乏神の嫁入り
石田空
キャラ文芸
先祖が貧乏神のせいで、どれだけ事業を起こしても失敗ばかりしている中村家。
この年もめでたく御店を売りに出すことになり、長屋生活が終わらないと嘆いているいろりの元に、一発逆転の縁談の話が舞い込んだ。
風水師として名を馳せる鎮目家に、ぜひともと呼ばれたのだ。
貧乏神の末裔だけど受け入れてもらえるかしらと思いながらウキウキで嫁入りしたら……鎮目家の虚弱体質な跡取りのもとに嫁入りしろという。
貧乏神なのに、虚弱体質な旦那様の元に嫁いで大丈夫?
いろりと桃矢のおかしなおかしな夫婦愛。
*カクヨム、エブリスタにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる