31 / 54
第三章:エマと一緒に異世界旅行
第31話:火の妖精
しおりを挟む
ヤルバリル大森林の中を歩き進めていくと、明らかに不自然な半透明の壁が見えてきた。
そこに物体があるとは思えない。これは外界との交流を遮断するための結界と見て、間違いないだろう。
「いよいよって感じだね。この先が聖域、か……」
人も魔物も近づかないのか、異様なほど静かな気がする。でも、不思議と怖いと感じなくて、神聖な雰囲気だった。
「ボクがやってもいいんだけど……。胡桃、この結界に手で触れてみて」
「う、うん」
シルフくんに言われて、ドキドキしながら結界に触れた。その瞬間、水の波紋が広がるみたいにして、結界に一人分ほどの隙間が生まれる。
特別なことは何もしていない。しかし、こうやって結界が反応するところ見ると、本当に自分が女神の使徒になったんだと実感した。
「ほらっ、早く通るよ。すぐに閉まっちゃうんだから」
シルフくんがタタタッと入っていくため、私とエマも後を追って入った。
すると、シルフくんの言った通り、しばらくして結界の隙間が綺麗に塞がる。
「不思議な結界だね」
「妖精の魔力に反応するようにできているんだよ。王族が入ってこられるのも、妖精の魔力を付与した特別なアイテムを持っている影響さ」
「王族の血が反応する、とかいうわけじゃないだ。じゃあ、盗まれたら大変だね」
「人類側は大騒ぎだろうね。ボクたち妖精側としては、脅威を与えるほどの人がいるとは思えな……」
言葉に詰まったシルフくんの先には、異界の道を開くほど魔法使いの腕をあげたエマがいた。
妖精に脅威を与えるほどの力を持つ存在だと発覚した瞬間である。
「まあ、エルフだからいっか」
改めてエマはすごいんだな……と思う反面、シルフくんのことが心配になった。
別にエマは聖域で暴れるような子じゃないから、いいと思うけどね。
聖域の中を歩き進めていくと、森とは違って日差しがよく入り、綺麗な花もチラホラと見えてくる。
魔物ではなくリスやキツネのような動物も住んでいて、鳥がチチチッと鳴きながら、空を飛び回っていた。
のどかな場所だなーと、見渡しながら歩いていると、森の中に建設されたとは思えないほど大きな神殿が見えてきた。
「うわぁ~。すごー……」
石を積み上げられて造られた神殿は、特殊な素材を使っていると感じるほど、神聖な波動を解き放っている。
近くで見るだけでも圧倒されてしまい、私とエマは自然に立ち止まって、神殿を眺めていた。
「こんな森の奥なのに、よくこんな大きい神殿を建てられたよね」
「うん。昔の人が建てたと言われても、しっくりこない」
「外観に傷がついていないのも、地味にすごいことだよ」
「よく見ると、真新しい。ずっと祀られているのに、建物が腐食していないのは、逆に変」
新築の神殿のような雰囲気に疑問を抱いていると、急にエマが後ろを振り向いた。
ギャオオオオオ
突然、火を纏った大きな鳥が現われ、口から炎を吐いてきたのだ。
瞬時にエマが風魔法で障壁を張ってくれたので、怪我はない。そして、その炎の妙な性質に疑問を抱く。
近くに炎があるにもかかわらず、不思議と熱を感じることはない。草木に燃え広がることもなく、普通の炎とは思えなかった。
おかしいなーと思っていると、一人だけ動揺していないシルフくんが、事もあろうにケタケタと笑い始める。
「目が見えなくなるくらいボケちゃったの? ホウオウのじいちゃん」
シルフくんの言葉を聞いて、火を纏った大きな鳥を見た私も、そこでようやく気づく。
ファンダール王国に祀られている火の妖精、ホウオウなんだ、と。
「その声は……シルフか。魔力が弱まっていて気づかなかったぞ」
大きな鳥が人の言葉を話した、と思った次の瞬間、どんどんと小さくなり、人の姿を取り始める。
燃えるような赤い髪に深紅の瞳が特徴的な、背の高い男性。シルフくんが『じいちゃん』と言うには失礼な印象を受けるほどには若く、見た目だけであれば、中年のダンディなオジサンにしか見えなかった。
……ただ、気のせいだろうか。神聖な妖精のはずなのに、ホウオウさんの肩に少しだけ黒いオーラが見える。
「久しぶりだね、ホウオウのじいちゃん。元気にしてた?」
なお、シルフくんは気にした様子を見せない。
ホウオウさんとは仲が良いみたいで、遠慮することなく気軽に話しかけていた。
「相変わらずってところだな。シルフこそどうした。随分と弱っているみたいだが」
「胡桃と契約したばかりだからね。今はまだ自分の役目を果たせるほど、魔力を保有していないんだよ」
「なるほど、そういうことか。随分と無理をしたみたいだな」
「ホウオウのじいちゃんこそ、ボクに口を出せるような状態じゃないでしょ。随分と闇に染まっちゃったね」
「ああ。このまま数百年もすれば、闇に堕ちるかもしれん」
ホウオウさんが意味深なことを言い始めたため、シルフくんに問いかけてみる。
「ねえ、シルフくん。闇に墜ちるって、どういうこと?」
「妖精は万能な存在じゃないってことさ。ボクが胡桃と一緒じゃなきゃ生きられないようにね」
シルフくんもホウオウさんも、深く気にしているような様子を見せない。
しかし、ホウオウさんの肩に纏わりつく闇のオーラは、明らかに聖域に相応しくなかった。
「シルフの言う通り、我ら妖精は完璧な存在ではない。瘴気や邪気を浄化する力を持ったとしても、己を浄化することはできないのだ。己を見失うまで瘴気を溜め込めば、魔物化する恐れがある」
ホウオウさんの言葉を聞いて、ようやく私は理解できたような気がした。
ノエルさんの言っていた聖女の仕事というのは、妖精が闇に堕ちないように瘴気を浄化してあげる行為なんだろう。
シルフくんがそれをまだ必要としていないと言っていたのも、浄化を必要とするレベルではない、という意味合いに違いない。
見て見ぬふりをするのは、ちょっと違う気がするけどなー……と思っていると、ホウオウさんが近づいてくる。
「お前がシルフの契約者か。俺は火の妖精であるホウオウだ。先ほどは驚かせてすまなかったな」
「いえ、お気遣いなく。私は胡桃で、こっちはエマです。勝手に入ったのは私たちですし、彼女に守ってもらいましたので、問題はありません」
「うむ。我の炎をいとも簡単に防ぐとは、なかなかの魔法の才を持っているのであろう。見事であったぞ」
ホウオウさんの熱い視線がエマに向けられると、彼女は恥ずかしそうにコクコクッと頷きながら、私の背中に隠れた。
「ほ、褒められた……」
エルフ族にとって、精霊に褒められることは、この上のない誉れなのかもしれない。
ここまで照れたエマを見たのは、これが初めてのことだった。
「立ち話もなんだ。我が神殿にて、お前たちをもてなそう」
「い、いいんですか?」
「構わぬ。シルフの契約者となったのであれば、それ相応に扱わねばならないからな」
「へえ~。意外にシルフくんって、妖精の中で序列が上なんですね」
純粋な感想をポロッと口にすると、シルフくんにムッとした表情を向けられてしまう。
「胡桃、最近ボクに冷たくない?」
「そ、そんなことないよ。小さいのに偉いのは不思議だなーって思っただけだから」
「確かに、ボクは小さくて可愛いだけじゃなく、とっても偉いからね。ふふーんっ、もっと褒めてくれてもいいんだよ」
「よしよし、いい子だねー」
ただ褒められたかっただけなのでは? と思ってしまう。
大人のホウオウさんと比較できるだけに、シルフくんの子供らしさが際立っていた。
「シルフは妖精を浄化する特別な存在だ。こいつがいなくなると大変な状況に陥るため、丁重に扱わねばならない」
「じゃあ、妖精同士に序列は存在しないんですね」
「ああ。シルフは目立ちたいだけだ」
なるほどなーと納得した私は、そのままホウオウさんと会話しながら、神殿の中に招いてもらうのであった。
そこに物体があるとは思えない。これは外界との交流を遮断するための結界と見て、間違いないだろう。
「いよいよって感じだね。この先が聖域、か……」
人も魔物も近づかないのか、異様なほど静かな気がする。でも、不思議と怖いと感じなくて、神聖な雰囲気だった。
「ボクがやってもいいんだけど……。胡桃、この結界に手で触れてみて」
「う、うん」
シルフくんに言われて、ドキドキしながら結界に触れた。その瞬間、水の波紋が広がるみたいにして、結界に一人分ほどの隙間が生まれる。
特別なことは何もしていない。しかし、こうやって結界が反応するところ見ると、本当に自分が女神の使徒になったんだと実感した。
「ほらっ、早く通るよ。すぐに閉まっちゃうんだから」
シルフくんがタタタッと入っていくため、私とエマも後を追って入った。
すると、シルフくんの言った通り、しばらくして結界の隙間が綺麗に塞がる。
「不思議な結界だね」
「妖精の魔力に反応するようにできているんだよ。王族が入ってこられるのも、妖精の魔力を付与した特別なアイテムを持っている影響さ」
「王族の血が反応する、とかいうわけじゃないだ。じゃあ、盗まれたら大変だね」
「人類側は大騒ぎだろうね。ボクたち妖精側としては、脅威を与えるほどの人がいるとは思えな……」
言葉に詰まったシルフくんの先には、異界の道を開くほど魔法使いの腕をあげたエマがいた。
妖精に脅威を与えるほどの力を持つ存在だと発覚した瞬間である。
「まあ、エルフだからいっか」
改めてエマはすごいんだな……と思う反面、シルフくんのことが心配になった。
別にエマは聖域で暴れるような子じゃないから、いいと思うけどね。
聖域の中を歩き進めていくと、森とは違って日差しがよく入り、綺麗な花もチラホラと見えてくる。
魔物ではなくリスやキツネのような動物も住んでいて、鳥がチチチッと鳴きながら、空を飛び回っていた。
のどかな場所だなーと、見渡しながら歩いていると、森の中に建設されたとは思えないほど大きな神殿が見えてきた。
「うわぁ~。すごー……」
石を積み上げられて造られた神殿は、特殊な素材を使っていると感じるほど、神聖な波動を解き放っている。
近くで見るだけでも圧倒されてしまい、私とエマは自然に立ち止まって、神殿を眺めていた。
「こんな森の奥なのに、よくこんな大きい神殿を建てられたよね」
「うん。昔の人が建てたと言われても、しっくりこない」
「外観に傷がついていないのも、地味にすごいことだよ」
「よく見ると、真新しい。ずっと祀られているのに、建物が腐食していないのは、逆に変」
新築の神殿のような雰囲気に疑問を抱いていると、急にエマが後ろを振り向いた。
ギャオオオオオ
突然、火を纏った大きな鳥が現われ、口から炎を吐いてきたのだ。
瞬時にエマが風魔法で障壁を張ってくれたので、怪我はない。そして、その炎の妙な性質に疑問を抱く。
近くに炎があるにもかかわらず、不思議と熱を感じることはない。草木に燃え広がることもなく、普通の炎とは思えなかった。
おかしいなーと思っていると、一人だけ動揺していないシルフくんが、事もあろうにケタケタと笑い始める。
「目が見えなくなるくらいボケちゃったの? ホウオウのじいちゃん」
シルフくんの言葉を聞いて、火を纏った大きな鳥を見た私も、そこでようやく気づく。
ファンダール王国に祀られている火の妖精、ホウオウなんだ、と。
「その声は……シルフか。魔力が弱まっていて気づかなかったぞ」
大きな鳥が人の言葉を話した、と思った次の瞬間、どんどんと小さくなり、人の姿を取り始める。
燃えるような赤い髪に深紅の瞳が特徴的な、背の高い男性。シルフくんが『じいちゃん』と言うには失礼な印象を受けるほどには若く、見た目だけであれば、中年のダンディなオジサンにしか見えなかった。
……ただ、気のせいだろうか。神聖な妖精のはずなのに、ホウオウさんの肩に少しだけ黒いオーラが見える。
「久しぶりだね、ホウオウのじいちゃん。元気にしてた?」
なお、シルフくんは気にした様子を見せない。
ホウオウさんとは仲が良いみたいで、遠慮することなく気軽に話しかけていた。
「相変わらずってところだな。シルフこそどうした。随分と弱っているみたいだが」
「胡桃と契約したばかりだからね。今はまだ自分の役目を果たせるほど、魔力を保有していないんだよ」
「なるほど、そういうことか。随分と無理をしたみたいだな」
「ホウオウのじいちゃんこそ、ボクに口を出せるような状態じゃないでしょ。随分と闇に染まっちゃったね」
「ああ。このまま数百年もすれば、闇に堕ちるかもしれん」
ホウオウさんが意味深なことを言い始めたため、シルフくんに問いかけてみる。
「ねえ、シルフくん。闇に墜ちるって、どういうこと?」
「妖精は万能な存在じゃないってことさ。ボクが胡桃と一緒じゃなきゃ生きられないようにね」
シルフくんもホウオウさんも、深く気にしているような様子を見せない。
しかし、ホウオウさんの肩に纏わりつく闇のオーラは、明らかに聖域に相応しくなかった。
「シルフの言う通り、我ら妖精は完璧な存在ではない。瘴気や邪気を浄化する力を持ったとしても、己を浄化することはできないのだ。己を見失うまで瘴気を溜め込めば、魔物化する恐れがある」
ホウオウさんの言葉を聞いて、ようやく私は理解できたような気がした。
ノエルさんの言っていた聖女の仕事というのは、妖精が闇に堕ちないように瘴気を浄化してあげる行為なんだろう。
シルフくんがそれをまだ必要としていないと言っていたのも、浄化を必要とするレベルではない、という意味合いに違いない。
見て見ぬふりをするのは、ちょっと違う気がするけどなー……と思っていると、ホウオウさんが近づいてくる。
「お前がシルフの契約者か。俺は火の妖精であるホウオウだ。先ほどは驚かせてすまなかったな」
「いえ、お気遣いなく。私は胡桃で、こっちはエマです。勝手に入ったのは私たちですし、彼女に守ってもらいましたので、問題はありません」
「うむ。我の炎をいとも簡単に防ぐとは、なかなかの魔法の才を持っているのであろう。見事であったぞ」
ホウオウさんの熱い視線がエマに向けられると、彼女は恥ずかしそうにコクコクッと頷きながら、私の背中に隠れた。
「ほ、褒められた……」
エルフ族にとって、精霊に褒められることは、この上のない誉れなのかもしれない。
ここまで照れたエマを見たのは、これが初めてのことだった。
「立ち話もなんだ。我が神殿にて、お前たちをもてなそう」
「い、いいんですか?」
「構わぬ。シルフの契約者となったのであれば、それ相応に扱わねばならないからな」
「へえ~。意外にシルフくんって、妖精の中で序列が上なんですね」
純粋な感想をポロッと口にすると、シルフくんにムッとした表情を向けられてしまう。
「胡桃、最近ボクに冷たくない?」
「そ、そんなことないよ。小さいのに偉いのは不思議だなーって思っただけだから」
「確かに、ボクは小さくて可愛いだけじゃなく、とっても偉いからね。ふふーんっ、もっと褒めてくれてもいいんだよ」
「よしよし、いい子だねー」
ただ褒められたかっただけなのでは? と思ってしまう。
大人のホウオウさんと比較できるだけに、シルフくんの子供らしさが際立っていた。
「シルフは妖精を浄化する特別な存在だ。こいつがいなくなると大変な状況に陥るため、丁重に扱わねばならない」
「じゃあ、妖精同士に序列は存在しないんですね」
「ああ。シルフは目立ちたいだけだ」
なるほどなーと納得した私は、そのままホウオウさんと会話しながら、神殿の中に招いてもらうのであった。
0
お気に入りに追加
665
あなたにおすすめの小説
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
二人の転生令嬢はフラグを譲り合う。〜悪役令嬢もヒロインも、ただ平穏に生きたいのです〜
福田 杜季
恋愛
『ヴェインローゼに二輪の薔薇あり』と社交界で謳われる、黒薔薇と呼ばれる姉のアーテルと、白薔薇と呼ばれる妹のルチア。
ヴェインローゼ伯爵家のこの姉妹だが、実は妹は継母の連れ子であったために、姉が妹を疎んじて虐げていた。
そんなある日──彼女たちは自らの前世の記憶を思い出した。
「私の立ち位置って完全に悪役令嬢ってやつじゃない?てことは、私──断罪されちゃう⁉︎」
. . . .
「ここってあの物語の世界?いやいやいや、本編で明かされなかった設定多すぎでしょ!だってこれ、最悪わたし──処刑されちゃうんじゃないの⁉︎」
そして、二人ともが決意した。
「「前世の知識を総動員して、フラグを全部避けてみせる!」」
──こうして、未来に待ち受けるだろう破滅を避けるべく、二人の転生令嬢が婚約やお茶会、学院での行動などなどあらゆることに気を張りながら、やんわりどうぞどうぞとフラグを譲り合っていくのだが⋯⋯婚約者の侯爵令息や王子殿下が思うように動いてくれない!
互いが転生者であることを知らない二人に、果たして安寧の日々は訪れるのか。
※ざまぁ要素は物語後半に入る予定です。
※例によってふんわり設定で突っ走ります。カテゴリは『恋愛』にしてみましたが、本当に恋愛になるか自信がありません。カテゴリ変更の可能性もあります。
※無謀にもWヒロインもどきに挑戦していますが、悪役令嬢な姉がどちらかと言うとメインで比重が重くなりそうです。
【完結】神様、ちょっと黙ってて! 〜神様に愛されすぎた最強賢者は毎晩寝不足〜
水都 ミナト
ファンタジー
あらゆる魔法を使いこなし、世界のことわりを知り尽くした大賢者チルには、とある悩みがあった。
それは、慢性的な睡眠不足。
チルは夜になるとなかなか眠ることができないのだ。
なぜならば、彼の師匠であり各界を統べる神様が毎夜毎夜チルの頭の中に語りかけてくるから――!
チルのことが大好きでお喋りな神様たちは、毎日チルの頭の中でお祭り騒ぎ。おかげでうるさすぎて安眠できやしない。
流石にいよいよ限界が近いチルが森で出会ったのは、猫耳族のレオンだった。
なんとレオンは睡眠魔法が得意だという。
森で傷だらけになり倒れていたレオンは訳ありのようだが、藁にも縋る思いでレオンとの共同生活が始まった。
チルと共同生活をするレオンに嫉妬したり、チルのちょっとした一言でスタンピードを起こしたり、一国を滅ぼそうとしたり、チルの気をひこうと余計なことをしでかす神様たち。
頼むから、神様ちょっと黙ってて!
ついには最強賢者のチルを得ようと画策する国家まで現れ始めて、まあ大変。
チルが求める平和な安眠ライフには程遠い。
◇設定ゆるめのファンタジー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる