507号室

春くる与

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事件、半年前

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 そんな緑子の様子に、由美理も肩を竦めたが。


「――あ、ねえ。507号室って、あそこじゃないの?
ほら……半年くらい前に、出て行った」

「ああ、そういえばそうだわ」

「もしかして、あの時の女が戻ってきたんだったりして」

「まさか……。もしそうだとして、何のために?」

「相手の男が、またあそこに住んでるとでも思ったとか」

「……ありそう」

「やあね。それはちょっと本当に危険よ。復讐とかいって、火でもつけられたらたまったもんじゃないわ。
次にもし見かけたら、すぐに通報しなさいよ」

「――そうね」






 半年前。


 507号室に新しくはいってきた住人は、男女の二人だった。

 結婚はしていないようで姓は別だったが、同棲カップルという奴だったのだろう。

 彼らが入居して、数日。

 その騒ぎは真夜中に突然、起こった。
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