2 / 8
記憶の回顧
しおりを挟む
昨日の話は何だったのか。夢を見ていたのか。
なんていうよくある異世界物語の感想を考えている。
しかし、これもよくある話の展開であるが、机の上に置いてある彼から渡された名刺は実在している。
『世界旅行』
それだけの言葉であれば海外旅行一周とか、小さくても日本一周であろう。
だが、その前に記されている『この世界から別の世界に』という言葉が非現実的であることを示している。
昨日、彼は名刺を渡した後、すぐに帰っていった。
そう、人とは思えない帰り方で・・・。
昨日、彼が名刺を渡したあと、僕と奴との間でいくつか会話のやり取りが行われていた。
「こんなものを渡して、信じると思いますか?」
「信じないのですか?」
「その並外れた理解力をもった頭ん中は、文字通り「人間離れ」しているよ。」
「文字とかどうとかではなく、本当に人間ではないのですよ。空間を渡ったと言ったではないですか」
「実際に見てもないことを信じる方が馬鹿げている。UFO、UMA、超常現象、僕は自分の目で一度もみたことがない。」
「今、テレビ局含め、何人かのオカルトファンを敵に回した気がしますが・・・。まぁ、いいでしょう。今日は、お話だけのおつもりでしたから。」
「今日は? また会いに来るような口ぶりじゃないか。僕はこんなもの信じませんよ。新手の詐欺ですか?だとしたら僕みたいのをターゲットにするのは逆に間違っている。世界に絶望した人間は、人を疑うことを生きがいにしている所もあるんですから。」
「やっぱり絶望していましたね。」
「今さらでしょう。」
「・・・・。」「・・・・。」
「まぁ、いいでしょう。私はこれで失礼します。気が向いたら連絡してください。きっとあなたのためになると思いますよ。まずは体験版の世界に行っていただきたい。あなたのためにね。」
「気が向くことはないと思うが、その体験版というのは気になるな。」
「興味をもっていただけましたか。あなたには「善の世界」と「悪の世界」を体験版として、行くことになっています。これはお客さまに応じて、行っていただく体験版の世界は違うのですが、お客さまが今、必要な「世界」を用意しています。」
「そうか。興味はあるが、胡散臭さは全く消えていない。連絡することはないよ。」
「そうですか。それでは、私はこれで失礼します。最後に、あなたが言っていた「実際にみたことない」ものをお見せします。最後のサプライズです。」
「なにを言っているんですか。」
「空間を渡るといいましたが、実は回数制限がありまして、1日3回までなんですよ。今日はさっき使いましたし、別件でもう一回使っているので、これが最後になりますね。」
「もしかして、空間を渡るところをみせてくれるんですか?」
「はい!それでは、やらせていただいてます。よっ、」
今回は、はっきり見えた
僕の目の前には大きな黒い穴が開いていた。
「!?」
「どうですか?夜、街頭のないところでは目を凝らさないと見えないと思いますが、すこし意識すれば、はっきりと見えますね。」
直径にして2 mといったところか。まったく向こう側が見えない黒い円、ブラックホールという言葉が一番似合う。
「信じてもらえましたか?おっと、近づかないで下さいね。私が許可した対象物でないと、通ろうとするものは死滅します。」
「大量殺人兵器じゃないですか。」
「これを初めてみた感想がそれですか・・・。まぁ、いいでしょう。ここを通ると、私が指定した場所に行けます。「世界旅行」する時は、ここを通りますね。」
「あなたが人間でないってことは、十分に分かりました。」
僕の頭はもう既に爆発寸前であった。これ以上、こいつと話してると頭がおかしくなる確信があった。
「早く帰ってくれ」
「ええ、では、気が向いたらそちらの番号に電話してださいね。ちなみに、あなた以外の方が電話をかけても繋がりませんので」
「本当にどういう仕組みなんだ。」
「またお会いできれば、私たちのことはきっと分かりますよ。それでは。」
そう言って夜の変人サンタクロースは黒い円の中に入って行き、姿を消した。その数秒後に黒いは小さくなって閉じるようにして消えていった。
あいつは何だったんだ。いや、それを知るには、電話するしかないのか。無駄なことは考えない主義だ。
そう言って今の現状を振り返る。なぜ、こんなことになったのか。確かに現状を打破できる方法があるならば、悪魔にでもサンタクロースにでも頼りたい気分だ。
しかし、今の自分がいるのは、自分で選んだ道だ。解決するならば、自分の手でやるべきだ。
「確か、無職って言うことだけは立派なんだよな」
そんなことを考えていたらインターホンが鳴った。
なんていうよくある異世界物語の感想を考えている。
しかし、これもよくある話の展開であるが、机の上に置いてある彼から渡された名刺は実在している。
『世界旅行』
それだけの言葉であれば海外旅行一周とか、小さくても日本一周であろう。
だが、その前に記されている『この世界から別の世界に』という言葉が非現実的であることを示している。
昨日、彼は名刺を渡した後、すぐに帰っていった。
そう、人とは思えない帰り方で・・・。
昨日、彼が名刺を渡したあと、僕と奴との間でいくつか会話のやり取りが行われていた。
「こんなものを渡して、信じると思いますか?」
「信じないのですか?」
「その並外れた理解力をもった頭ん中は、文字通り「人間離れ」しているよ。」
「文字とかどうとかではなく、本当に人間ではないのですよ。空間を渡ったと言ったではないですか」
「実際に見てもないことを信じる方が馬鹿げている。UFO、UMA、超常現象、僕は自分の目で一度もみたことがない。」
「今、テレビ局含め、何人かのオカルトファンを敵に回した気がしますが・・・。まぁ、いいでしょう。今日は、お話だけのおつもりでしたから。」
「今日は? また会いに来るような口ぶりじゃないか。僕はこんなもの信じませんよ。新手の詐欺ですか?だとしたら僕みたいのをターゲットにするのは逆に間違っている。世界に絶望した人間は、人を疑うことを生きがいにしている所もあるんですから。」
「やっぱり絶望していましたね。」
「今さらでしょう。」
「・・・・。」「・・・・。」
「まぁ、いいでしょう。私はこれで失礼します。気が向いたら連絡してください。きっとあなたのためになると思いますよ。まずは体験版の世界に行っていただきたい。あなたのためにね。」
「気が向くことはないと思うが、その体験版というのは気になるな。」
「興味をもっていただけましたか。あなたには「善の世界」と「悪の世界」を体験版として、行くことになっています。これはお客さまに応じて、行っていただく体験版の世界は違うのですが、お客さまが今、必要な「世界」を用意しています。」
「そうか。興味はあるが、胡散臭さは全く消えていない。連絡することはないよ。」
「そうですか。それでは、私はこれで失礼します。最後に、あなたが言っていた「実際にみたことない」ものをお見せします。最後のサプライズです。」
「なにを言っているんですか。」
「空間を渡るといいましたが、実は回数制限がありまして、1日3回までなんですよ。今日はさっき使いましたし、別件でもう一回使っているので、これが最後になりますね。」
「もしかして、空間を渡るところをみせてくれるんですか?」
「はい!それでは、やらせていただいてます。よっ、」
今回は、はっきり見えた
僕の目の前には大きな黒い穴が開いていた。
「!?」
「どうですか?夜、街頭のないところでは目を凝らさないと見えないと思いますが、すこし意識すれば、はっきりと見えますね。」
直径にして2 mといったところか。まったく向こう側が見えない黒い円、ブラックホールという言葉が一番似合う。
「信じてもらえましたか?おっと、近づかないで下さいね。私が許可した対象物でないと、通ろうとするものは死滅します。」
「大量殺人兵器じゃないですか。」
「これを初めてみた感想がそれですか・・・。まぁ、いいでしょう。ここを通ると、私が指定した場所に行けます。「世界旅行」する時は、ここを通りますね。」
「あなたが人間でないってことは、十分に分かりました。」
僕の頭はもう既に爆発寸前であった。これ以上、こいつと話してると頭がおかしくなる確信があった。
「早く帰ってくれ」
「ええ、では、気が向いたらそちらの番号に電話してださいね。ちなみに、あなた以外の方が電話をかけても繋がりませんので」
「本当にどういう仕組みなんだ。」
「またお会いできれば、私たちのことはきっと分かりますよ。それでは。」
そう言って夜の変人サンタクロースは黒い円の中に入って行き、姿を消した。その数秒後に黒いは小さくなって閉じるようにして消えていった。
あいつは何だったんだ。いや、それを知るには、電話するしかないのか。無駄なことは考えない主義だ。
そう言って今の現状を振り返る。なぜ、こんなことになったのか。確かに現状を打破できる方法があるならば、悪魔にでもサンタクロースにでも頼りたい気分だ。
しかし、今の自分がいるのは、自分で選んだ道だ。解決するならば、自分の手でやるべきだ。
「確か、無職って言うことだけは立派なんだよな」
そんなことを考えていたらインターホンが鳴った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
JNNE ーDreams and realityー
sasayan
ファンタジー
毎晩のように夢にうなされる日々を送る。
ある日、夢の中である人物から普段の日常を疑う言葉を聞く。
夢と現実の境界線とは一体なんなのか。
なにが真実で、なにが嘘なのか。
登場人物 ※都度更新
ジャヌ
ー夢の中に現れる、敵か味方か不明な謎の人物。度々現れては主人公のに意味深な言葉を投げかける。感情は感じられず、どんな者にも冷たい言葉を平気で口にする。
周りの人間の運命を翻弄し、楽しむ様子は冷酷そのもの。
自分の存在を確かなものにしたいと言うが、その目的は一切不明。
カトリーネ
ー倒れていた所を助けてくれた恩人。亡き母の真実を知るため、主人公と共に旅をすることを決意。見た目は強そうに振舞っているが、心は繊細で傷つきやすい。他人との接し方を知らず、悩みの種にしている。
アルバノス
ー世界の起源 "オリヘン" を守る者 "シュッツヘル" のひとり。自分の役目に固い信念を持っており、それを貫き生きてきた、屈強な男。
主人公とジャヌに出会い、自分の生きる世界が偽りだと聞かされ、真実を見つけるべく協力を申し出る。女性にはめっぽう弱い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる