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第14章 ビックドクと椎葉京子先生。

第1話 愛子、大正解!

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 青空が広がり、爽やかな早朝の日本海上空。
 
 夜半まで低く覆っていた雲もなく、スッキリ晴れ渡っている。

 その透明な空気の空を巨大な白鳳が24機の最新鋭の、それも何度見ても美しいシルエットのF-39Bを従えて悠々と飛んでいるのだ。
 
 混乱の収まりつつある対馬から垂直に飛び立った90メートル級大型V-TOLの白鳳、医療用大型スペースシャトル・オービターの「ビックドク」だ。
 
 そして、その白鳳の一室。

 大柄のシングルベットが2つある病室。

 すでに少女がひとり、横たわっていた。
 
 検査を終えたばかりの布村愛子だった。

 愛子もアーマースーツを脱が病院服を着て横になっていた。検査も終わり体を洗浄、滅菌されていた。

 なんだかスッキリして気持ちがいい布村だった。

 恐らく最先端の医療施設なのだろうか、上品な白木もふんだんに使われて最先端の医療VIPルームだった。
 
 次第に落ち着きを取り戻してきた布村愛子。
 
 周りに目をやると、知らない言葉やマークで書かれた機材や道具がある。

 何気に自分の腕を見ると手首に見たことも無い文字、そして恐らくバーコードだろうか、変わったバーコードと小さく描かれた六角形のマークが直接皮膚にプリントされている。
 
 色もどこかで見たことがある色だった。
 腕を上げて、まじまじとマークを見ると形も見覚えのあるマークだった。
 
 首を上げて病室の入れ口のドアーを見ると、普通のペンタゴン(五角形)をもじって書いてあるマーク。

 中央に英語で「SIRUS」と書かれたカッコイイデザインの軍隊バナーが、扉の中央に大きくプリントされている。しかし五角形。
 
 六角形ではなかった。
 
「どう読むの?しるす?ちゃう。多分英語風の読みだよね。シ、シラス?シーラス?ん?しらすって書いてるの?このマーク。しらすって美味しそうな名前。ちがうか!ふふふっ。解んないや。でも六角形じゃないなぁ。ん~?」
 
 意識をして病室を見渡すと、愛子のバイタルを示すハイテクモニターの数々のモニターの右下に同じマークがちっちゃく書いてある。

 ベットのシーツや、布団カバー、自分の来ている病室着、床のスリッパ。色は白や赤、オレンジなど様々な色で、このペンタゴンの「SIRUS」マークが徹底してプリントされていた。
 
 手首のマークと比べる愛子。

 愛子の手首の鮮やかなマーク。

 瑠璃色のブルーの線で描かれた六角形のヘキサゴン、左上一辺に一本の平行線。
 
「私の手首には六角形で、お部屋は五角形のマーク。六角形って親戚なのかぁ。ん?」
 
 でも、なんとなく覚えがあるマークだった。
 確か、愛子が横になって検査を受けている時、ウトウトとしている時だった。

 京子や麗子、ノーラの他に物凄い美人の金髪女性のドクター2人がいた。

 他人のスタイルに敏感なお年頃の愛子。

 その外国人の超美人ドクター2人をことある毎に目で追っていた。
 
 その1人が、何か愛子に検査機器を装着している時、美人ドクターの巨乳が愛子の目の前にきた。

 その時、左胸にあった六角形で瑠璃色マークだった。

 ただ、中央には金色の日本のパスポートにもある菊の紋章があったのを覚えていた。

 なんで、半端な一本の棒があるの?とかパスポートのマークがあるの?と、不思議に思ったのを覚えていた。
 
 六角形のヘキサゴン、左上一辺に1本の平行線。

 このマークはシーラス皇国の皇国制式徽章なのだった。

 国を表す徽章には深い意味があるのだ。それも、古の日本の伝承にヒントがあった。
 
 日本の西暦600年代。
 太安万侶(おおのやすまろ)が記したとされる「古事記」に記述されている「知らす國」。
 実は、それがシラス皇国の事だった。
 
 今から2600年以上も前の日本で、日本の皇室とネイジェア星域帝国貴族院・第12貴族院のシーラス皇国皇室との接触を、日本の神話の中で物語語りとして、間接的に伝承していたのだった。
 それを知ってか知らずか、その綺麗な瑠璃色のマークがなんとなく気になる愛子だった。
 
 ベットで仰向けに寝ながら色々思い出す愛子。
 
 まず最初に、動かなくなったタンデムモービルから助けだされた時を思い出した。
 友達が先に助けられ、最後に愛子が、きよし・布村タンデムモービルから助け出された後、階段を降りると金髪美人先生たちに代わって、肩に銃を背負った外国人の女性兵士達に優しく連れていかれた。
 
 外国人だと思ったら日本語で何回も(愛ちゃん、大丈夫?)と周りの女性兵士から何回も聞かれたのを思えている。

 連れていかれた先には大きなタイヤがゴロゴロたくさん付いてるゴツいバスが2台止まっていた。

 今まで乗った事も、見たこともないバス(特殊医療車輛)だった。

 その広い車内に乗り込むと、座席のヘッドレストやシートにも色は確か白だったがこの六角形に一本筋のマークがあった。
 
「あ~そう、そう。あのバスもあった。そう、そう。」
 
 改めて思い出し手首を見て感心する愛子。
 実はこれがシーラス皇国のマーク。

 もし中心に菊の紋があれば、ネイジェア星域皇国の正式皇国徽章となるのだった。
 
「ふ~ん。このマーク、なんか意味があるのかぁ。宇宙人のマークだったりして。ふふふっ。」
 
 
 愛子、大正解!
 
 
 しかし、その時は全く分かっていない。
 ベットの上で寝そべって手首をさするが取れない。でも保護されたのは間違いないのだ。
 
「まぁ、いいか……。」
 
 ニコニコと安心する愛子だった。
 寝ながら、頭の後ろに両手を組んで、ゆっくり両膝を立てて天井を見る愛子だった。
 本当の意味で、対馬での4日間戦争が終わったと実感する愛子だった。そして感情が高ぶってきた。
 
「ふぅ……。終わったぁ。っうっう。」
 
 泣きそうになり、毛布を頭からかぶる愛子。
 
「う、う。うん?……。」
 
 泣きかけたが、自分にストップした愛子。
 一瞬、脳裏に浮かぶ犠牲となった大勢の人々の姿。
 自分が助かった位で、泣いてはいけないと思えたのだ。
 まだ生きて、もっといっぱい生きていたかった人々の気持ち。
 
 愛子は目を真っ赤にしたまま、毛布をガバッと剥がした。そして、また頭の後ろに手を組んで天井を見続けた。
 
 引き続き、何があったのかを思い出していた。
 
 バス(特殊医療車輛)が、病院の建物か何かに乗り込んでエレベーターでバスごと、この建物に入った時(まだ、この時点で愛子はシャトルに乗っているとは思っていなかった。)、自分に接する軍人さんやビックリする位の美人の金髪ドクター達は(ミリューシャ・シーカ・ラファド・エリスカの異星人たち)は自分の事、愛ちゃん愛ちゃんと言っていた。多分パンダ隊長の上官、スミス中佐から聞いてたのかなぁとか、ボンヤリと考えていた。
 
 そういえば愛子の耳に残る、優しくて日本語の発音が綺麗な外人さんの女性の声。
 その内、自分達を何度も(愛ちゃん、愛ちゃん。)と助言して助けてくれたスミス中佐にも会いたいなぁと思っていた。
 
「スミス中佐かぁ。綺麗な声だった……。ふふふっ。美人さんなんだろうなぁ。会ってみたいなぁ。うふふ、スミス中佐!スミス中佐かぁ。うふふ。ジェシカなんちゃらスミスですって。外人さんだよね。どこの国の人かなぁ。会ってお礼も言いたいなぁ……。うふふ。」
 
 スミスという名前だから綺麗な金髪の外人さんなんだろう。絶~対!美人に違いないと、勝手に思う愛子だった。
 

 それも、愛子。大正解!
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