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第11章 オペレーション「ハリケーン」。

第4話 宴会も終わり……。

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 深夜前の定山渓第1雅ホテル。
 
 対馬の同志達や家族の集まった宴会も終わり、各々の家族や友人たちが残りの夜の時間を満喫していた。
 
 ホテル地下のバーカウンター。
 2人でゆっくり酒を嗜む浴衣姿のバルトシュとエレナのカミンスキ夫妻が居た。

 そのカミンスキ夫婦の泊まる特別迎賓室では、バーへ、飲みに行った夫妻の代わりに、エレナが子供の面倒を見ていた。
 
 広い和室で寝ている双子ちゃんと一緒に川の字になって横になるジュリア。
 
 ひじをついて双子ちゃんの寝顔を幸せそうに見ていた。

 折角の小旅行。敢えて夫婦水入らずで飲みに行くように勧めたのもジュリアだった。

 その横になるジュリアナの元へ、お盆にスナックやカクテルとジュースを運んでくるマメな小林。

 小さな声で、ジュリアに告げた。
 

「……お、寝てる。はいはい、ジュリー。適当に持って来た。一息付こう。」
 

 胡坐をかいてニコニコする小林。その小林の腕を引いて、身を乗り出しキスをするジュリアだった。
 
「有難う未央。少しお話、しましょう。うふふ。」


 ホテルの新館の部屋の椎葉家族。

 
 ベットエリアもあるのに、お部屋中心にある和室エリアでわざわざ布団を用意してもらった椎葉夫婦。 

 夫婦が寝支度をしていた。

 何処へ行っても、オディアのペースに合わせる椎葉夫婦だった。
 
 友人のオース皇国皇太子のリチャード夫婦の忘れ形見。

 オディア。

 実の子以上に可愛くて、可愛くて仕方がなかった。
 
 オディアが宴会場できよしのあぐらの上で、疲れが出たのかウトウト寝を始めたので、皆より早く宴会場を去り自室に戻った椎葉繁夫婦だった。

 マーシャも小林のあぐらの上で、少しウトウト始めたのでオースティン夫妻も新館の自室に戻ったのだ。
 
 椎葉夫婦も京子の同級生の女将、布村恵子ママ(エビちゃん)と工藤主任を交え、5人で用意してもらった夜鳴き蕎麦をさらさらと食べて歓談をした。

 それから部屋に付いている露天風呂に、オディアと繁と京子の家族3人でのんびりと入った。

 
 温泉で疲れを取り、ホッコリしてから寝支度に入ったのだ。

 京子の布団には早々と先にもぐったオディアが、スースー息を立てて寝ていた。 

 ツルンと、オディアの顔を撫でる京子。

 無意識にニッコリするオディア。
 
「お父さん、明日早いんでしょ。私はオディ子と朝、未央ちゃん達と朝食食べてゆっくり帰ろうかなぁ。日曜日だし。朝食の時、愛ちゃんたちのエイモス5のお披露目もあるみたいだし。」
 
 オディアの肩に布団を掛け直す京子。
 
「お父さん?」
 
「ん~?」
 
「日本酒、宴会なんかで飲むとさぁ……。みんなで美味しい日本酒をさ……。」
 
 優しくオディアの頭を、撫でる京子。

 ふふっと笑うと、布団に入った。

 繁が布団から手を伸ばし、オディアの頭を優しく撫でている。

 オディアの頭を撫でながら、チラッと京子を見る繁。
 
「……あ~日本酒好きのエダちゃん。思い出すなぁ。俺の場合、おっちょこちょいのリチャードも。はははっ。こうやって2人を思い出す度に、あの世で喜んでる様な気がする。な?」
 
 ニッコリして目を閉じたままうなずく京子。
 
 オディアが寝返りをした。

 可愛いちっちゃな目でチラッと、繁を見てからニッコリ笑顔で目をつむるオディア。
 
 再び寝返りをうって、京子の左腕を腕枕にして、京子の胸にもぐった。
 
 オディアのちっちゃな襟足を見つめる繁。
 
 繁は2週間後の5月末、月の衛星軌道上の日本国軍・自衛隊共同衛星基地へ、新たな特別任務を受けて旅立つのだった。それもあってか、今日の日を楽しみにしていた。
 
 特別任務とは、イギリス・スコットランドのアルフレッド・ウィルソン少将とアルフレッドの実の孫、オディアが生まれ故郷に戻る為、その警護と式典に参加する為だった。 
 との名目で繁が行くのだ。

 しかし、実際にはオディアの生まれ故郷、ネイジェア星域帝国にオディアと共に帰省するのだ。


 ――― 天の川銀河の中心を起点に、私達の太陽系の真反対にある大星域星間国家「ネイジェア星域皇国」。
 ( Stellarion of Nejjea Empire: ステラリオン・オブ・ネイジェア・エンパイア )と、地球側は言う。

 
 その中の名家のウィルソン家の総本家、本拠地のイゼムライゼムへ、月裏の55スーリアから繁はオディアと2人でジャンプするのだ。

 皇室の伝統行事、「数え5歳の儀式」のために。
 
 イゼムライゼムでの滞在日程は約3週間の予定だった。

 椎葉繁はこの宴会から、2週間しか地球に居ないため、農作業を急いでいたのだ。

 連日の訓練で大変なきよしに農作業の手間を少しでも減らそうとしていた。
 
 そして今日、息子のきよしと、新しい彼女のジェシカと仲間たち、そしてポーランドの弟子やこれから一緒に仕事するであろう同志をジックリ見ることが出来て、繁にとって大満足した一日だった。
 
 京子は身を乗り出して室内灯を消して小さな明かりだけにした。

 その優しいミカン色の明かりに浮かぶ、ニッコリしながら目を閉じている繁。

 また、京子の胸にもぐり直すオディア。
 
 夫とオディアを見て、今日も幸せな日だったなぁと、優しい微笑みのまま目を閉じる京子だった。
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