「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第8章 核の恐怖。

第1話 対馬日本国軍・自衛隊共同作戦臨時本部テント。

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 対馬市、厳原港の臨時の日本国軍・自衛隊の共同作戦本部テント。
 
 対馬基地より引き上げた機器類がズラッと並んだテント内だった。
 その端に大きな平面モニターと会議テーブルにモニターが埋め込まれた戦術ミーティング・情報テーブルモニター。
 田中対馬司令長官と生き残った自衛隊幹部や日本国軍の上級士官たちが見つめている。
 千歳シーラスワンから送られてくる衛星戦術画像や情報テーブルを囲んで緊張した趣きで確認作業をしていた。
 
 刻々と変化する戦況。
 
 きよし・布村タンデムモービルと同じ映像がテーブルモニターに映されている。
 これらは御舩らが荷揚げのシーラスの伊号潜水艦で、田中宛にこっそりよこした通信機器類だった。
 木箱や各情報端末や情報ワークステーションにはシーラスのロゴが入っていた。

( ピロロピロロッ♪ピロロピロロッ♪ )

 田中のスマハンドが鳴る。スマハンドが復活した。御舩のAd.Mifuneの3D文字が浮かぶ。
 
「お、スマハンドも通信復活っかぁ。ちょっと、失礼。」
 
 司令官達の場からテントの外に出る田中対馬司令。
 手の平を左耳につける。
 
「はい、田中です。閣下。」

( 田中司令っ。君や、君たちの活躍は宇宙そらから見ていたよ。 )

「有難うございます閣下。そして、これらの沢山の機材、内方大尉から、」
 
 テントの奥を見る田中。
 情報士官達が大忙しでシーラスワンの情報端末で作業している。
 
「これらの機器預かりました。特殊車両も、本当にありがとうございました。閣下、窓口のスミス中佐、シーラスワンのJ博士達、スタッフのおかげ様でマザーとの全ての接続、完了致しました。いつでも反抗作戦が可能です。」

( よし!そうか。その前に、まず君に朗報。田中君の奥様とお嬢さんは福岡で無事に保護している。 )

「えっ!本当ですか!福岡でっ!えー!閣下ぁっ、有難うございますっ!本当に有難うございます。生きてたっ!よしっ!うぅぅ。」
 
 いきなり男泣きする田中対馬司令だった。
 御舩の会議室ではサイオン秘書官を横に立たせて腕組をしながら話す御舩。
 秘書官より各種詳細情報も御舩少将に入っているのだった。
 秘書の手のひらの、小さな黒い棒の様な情報端末から浮かび上がる3Dの文字情報を見ながら話す御舩少将。文章を読んで、ニヤッとする御舩。

( おいおい!田中司令?田中司令? )

「うっ。な、なんでしょう閣下。」

( 田中君、泣くのはいいが、なんか奥様に頼んでなかったか?忘れてない? )

「え?えーと。なんでしたっけ。」
 
 泣き顔のまま、銃撃戦の光と音が反射する低い雲を見上げて思い出す田中対馬司令。

( 君の制服!制服だよ。制服。)

「あ“っ!えっ。そういえば、あ~っ!……あ~ぁ。」

( あ~ぁ、じゃないよ。ハハハッ。まぁ良かった良かった。 )

「いや~お恥ずかしいっ!てっきり連絡が取れないから。失礼いたしました。そういえば……福岡まで高速船で取りに行くとか何とか、朝、言ってましたっ。うわ~っ。面目ないっ。もうAXISに2人共やられたものと……色々心配していました。閣下、まっことにお恥ずかしい限りです。」
 
 御舩は横に立つサイオン秘書官へニッコリと合図した。敬礼をして足早に会議室を出る美人のサイオン秘書官。いきなり笑いながら話す御舩長官。

( アハハハッ。なっ!君が新しく購入した自衛隊の制服を取りに福岡へ上陸していたんだな。今、福岡のジャパホテルに滞在しているよ。解放された裸の女性達も同様にジャパホテルで保護されているよ。九州全域の空き部屋が全部埋まるまでこのホテルは対馬の人を受け入れるらしいが。 )

「そうなんですか!ありがたいです。素晴らしホテルです。しかし、いや~私事でお恥ずかしい。でも良かった。良かった。ところで、」

( うん、すでに空爆予定のムーンリバー中隊はE I (大気圏再突入)に入った。後、35分で対馬上空に到達する。君に頼みたい事が……、いま実は訓練予備役兵のパイロットが、 )

「はい、閣下。敵の鹵獲したHARMORは予備役の椎葉少尉が乗っているんですね。スミス中佐から情報のバックアップ依頼がありました。先ほどジャンプしてこちら方面に向かっているのを確認したばかりです。先ほど潜水艦で送っていただいた情報戦術テーブルで少尉の動きをトレースしています。鹵獲した機体のコード名は003バードワンとお聞きしました。現在、誤射しないよう自衛隊と軍に周知している所です。今はスミス中佐から交代して、シーラスワンの各国の技術武官と随時連絡を取り合って、作戦行動を臨時参謀達と練っています。」

( よっしゃ。あと敵HARMORは28機だ。軍も、そして自衛隊、よく持ちこたえてる。君達は敵HARMORを通常装備で20数機倒したな。素晴らしい活躍だ。それにしても凄いぞ椎葉少尉は!少尉もスタンドアローンで50機以上か。君たちと椎葉少尉の活躍で敵HARMORが109機から現在の28機だ。タイミングにもよるが、すべて倒したら日本政府も全面攻勢に出られる。しかしだ。 )

「なんでしょう閣下。」
 
 あごを親指で掻きながら、嫌な予感がする田中対馬司令長官だった。

( それから、いいか田中君、遂にAXISはやってはいけない事をやってしまったのだ。)

「ん?ん、まさか閣下、まさか戦術核……。」

( そのまさかだ!困ってしまった。……AXISどもは戦略熱核ミサイル搭載の爆撃機を出してきた。大陸弾道ミサイルではないのが唯一の救いだがな。 )
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