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第3章 ジェシカ・スミス中佐と佐藤結衣。
第3話 怪物、佐藤結衣。
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スミス中佐の画面に、布村とアナログ回線が繋がった事を示すマークが点滅した。
涙ながらに、可愛い鼻を赤くしたままニッコリ微笑んで話始めるスミス中佐。
「布村さん?エイモス?聞こえる?愛ちゃん?愛ちゃん?」
ジェシカの元に走って行く5名のスタッフたち。背後から全員でジェシカの操作する端末を見た。
きよしと布村は、敵AXISのHARMOR部隊が駐屯している補給キャンプテント背後の丘に居た。
うつ伏せになって双眼鏡を除くきよしと布村。
正面の駐屯所には多数の敵が居た。
テントを張り、焚火をして大勢の敵のパイロットや通常軍服の兵士が食事を採っていた。
手前の焚火では、ロープで手首を繋がれた下着姿の4人の若い少女が居た。
その前で食事をとっているパイロット2名と戦闘服の1人の男。
おそらく軍の中でも上級将官達なのであろうか、他のテントとも違う上質の装備ぞろいだった。
いやらしい目つきで少女達を撫でるように見ながら食事を摂る3人の兵士達。
そこへ、笑いながら司令官風の太った男がジープの様な車両から降りてきた。
肩から拡声器の様な物をさげていた。
そのまま拡声器を地面に置いて、一直線に少女達へ近寄って行く。
そして、一番背が高く色白、グラマラスな少女の胸やお尻、股をまさぐる太った司令官。
その少女の下着をはぎ取り、ズボンとパンツを脱ぐ司令官。
笑いながら急いで少女のローブをほどいて、その場で少女にのしかかった。
( キャー助けてー! )
( キャー!やめてー! )
叫ぶ少女達。
そのテントから距離を置いて一般将兵のテント。
画面から奥の、他のテントの兵士たちは笑いながら見向きもしないで何気なく食事をしたままだった。
いつもの事なんだろう。怒りの頂点に達する布村。
「気持ち悪いーこの野郎ー!キャー!この野郎っ!」
「布村さん……。」
どんなに大声を出しても、ヘッドギアから声は漏れない。
モニターに映る残りの3人の少女達は嫌がって、顔を後ろにそむける。食事をしていた兵士もズボンを脱いで、下半身裸のまま、少女達に飛びついた。
「くっ、くっ。黙ってらんない!あっ!あっー!」
きよしのイヤホンから聞こえる布村の叫び!思わず、きよしの肩を叩く。
「何、何っ、どうしたの?」
「私のはぐれた友達がぁー!キャー助けてきよしぃ!なんとかしてー!」
「なーにー!布村さんのはぐれた……、う~。」
その時また、胸を押さえるきよし。
「ううっ!はぁ、はぁ、う~。」
布村のモニターには、嫌がる少女の股を開いたり、よつん這いになる少女を舐めまわす映像が映っていた。
目をつぶって叫ぶ布村。
「嫌やー!気持ち悪いー!助けてパンダ隊長ー!」
手を差し出すと、いつの間にかきよしが居なかった。
代わりにパイロットスーツが脱ぎっぱなしで置いてある。
パイロットスーツを持ち上げる布村。
同時に、エイモスが回答する。
( 椎葉少尉をロスト。……訂正。布村さんの正面40メートルの下方、全力で走る、椎葉少尉を確認致しました。 )
「えっ、えっ!何!何っ今、横に居たのに、何故に正面40メートル先って?えっ?」
ヘッドギアのモニターがきよしを自動追尾始めた。
映像が拡大されると、走って来たきよしの後ろまわし蹴りで、高速の車に追突したように布切れの様にぶっ飛ぶ、AIXIS中央委員会の漢人の司令官だった。
「ひえぇぇ、人間があんなにすっ飛ぶの、ひえぇぇ。」
ビビる布村。
そして、隣で、少女を襲おうとしている兵士を、すぐさまきよしが側面の開脚蹴りをヒット。
同じく横回転しながら5メートル程、左へ大の字で回転しながら吹き飛ぶ兵士。
「ぎゃー!パンダ隊長スゴ過ぎー!きゃー!」
それをまじかに見て、尻もちをついて驚く敵のHARMORパイロットの2人。
興奮した布村が、その脱ぎ棄てられたパイロットスーツを改めてパンパンと叩く。
「でも、さっきまでいたのに。えー、どういう事?えっ?えっ?あ!パンダ隊長、後ろ!後ろっ!」
きよしに2人同時飛び掛かる兵士。
布村の通信を聞いて、中腰で振り向いた。
( ぐわーっ! )
( うぎゃー! )
すでに、きよしの拳が2人の腹から背中にかけて貫通していた。
飛び散る内臓と鮮血。きよしの上で、ぐったりとなり絶命するパイロット兵士。
その2人のパイロットを、腕を振って左右に落とした。
「えっ!えーっ!あわわっ。パンダ隊長!どういう人なのぉ。えー、ゴクッ。うわぁみんな、敵とはいえ、可愛そう。」
恐怖と驚きで生唾を飲み、モニターを見つづける布村。
4人の少女に背中を向けたままテントに入るきよし。
少女たちは体育座りで、泣きながら動かなかった。
その少女達の前に、テントからきよしがペットボトルの段ボール箱を胸に抱きかかえて戻った。そして、4人に配り始めた。
唇に人差し指を充てながらしゃがむきよし。
少女たちがしゃがんできよしを囲んだ。
座りながら、うなずく4人の少女たち。
きよしが、少女の肩を叩いて、布村に指を差した。きよしも首を伸ばして、笑顔で手を振って来た。
( うぉー!よっしゃーパンダ隊長!えらい!えらい!パンダ隊長指示を。うわーん!ありがとう~パンダ隊長~。 )
また、泣き始める布村。
布村の鳴き声が音声に入ったのか、それに気が付き首を上げて布村を見るきよし。瞬間、目が笑顔になる。
「きゃー!パンダ隊長ー!キャー!ありがとう。うっ、うっ。」
再び、よつん這いになったきよしは、小さな声で少女たちに続けて話す。
「いい?みんな。僕の指示通りに。ペットボトルの水はひとり2本持ってきて。体を洗ってから、布村さんが配るそのスーツを着て。絶対着て。命を守るスーツだから、絶対着て。」
( 解りました。 )
小さな声で返答する少女達。
「ちょっと待って、」
また、首を上げた。
「エイモス、布村さんにつないで。送れ。」
( はい。光通信、愛ちゃんとつながりました。 )
顔上げて、顔を布村にむけて光通信で会話するきよし。
「よし。布村さん、リュクの中のアーマースーツ、確か~残り4セットか5セットあるから出しておいて。」
「1つ美紀さんにあげたから、4つあるはず。あっ、また嫌な事思い出した。フンっ。」
「あっ、フフッ。了解。体洗ってから皆に着てもらうから。洗剤も。エイモス、あと猶予何分?送れ。」
イヤホンを押さえるきよし。
( あと42分です。 )
「了解。では、みんないいかい?茂みの、茂みを超えた丘に行く。いい、あの~見えるかな~小さな青い光。」
振り向いて除く少女達。
「アッ!解りました。あれですね。」
また、手をふる少女達。見えないだろうが手を振る布村。
「布村さんに全て指示してある。サッ、しゃがんで行ってね。あっ、さっきの敵のパイロット2人、どのモービルから来たか、覚えてる?。」
しゃがんだままの4人の少女は一番奥の、黒と黄色の塗装をした品の無いモービルを指差した。すると、間髪入れずにエイモスからきよしに光通信が入る。人工頭脳のAIは凄い速攻能力なのだ。
( 機体認識終了。現在光通信でモリガン1へデータ伝送中。伝送終了。モリガン1よりデータ受信確認報告。椎葉少尉、データ返信が入りました。シーラス情報特務隊データベースと機体形式のデータ照合が終わりました。シーラス情報特務隊、チャイニーズ・アクシス本部へ、ハッキング中とのことです。送れ。 )
「了解、エイモス。パスコード解析時間とこのモービルの機体形式を報告せよ。送れ。」
( 了解しました。シーラス情報特務隊ゴブリンより回答が来ました。パスコード探査中、約10分で回答できると返信を受けました。エイモス解析ではこの機体、教官教習用か、探査調査用のタンデムモービルです。シーラス・データベースでは突撃人型装甲機「壊撃-3型改」アップデート版type-2です。送れ。 )
きよしが顔を上げた。
「エイモス了解。敵HARMOR・ポジション登録。千歳へデータ伝送開始。ついでに、戦略的分析報告も。」
( すでに敵戦力、敵ポジション、通信データここから半径約1キロメートル全て、スミス中佐にアナログデータで転送済です。監視衛星「すみれ」とのマッチング完了。少尉、戦術的ご指示を。送れ。 )
「了解。思案後、送る。」
インカムを押さえるきよし。そのきよしの顔を見ながら安心し始めた少女たち。お互いの肩を音をしないように叩き合っている。
「ここから君たちには、もぅひと戦いがある。あの青い光までしゃがんで歩いて行って。もし、どんな爆発音や機関銃の音がしても振り向かないで。必ず助かる。さぁっ!行ってください。」
大きなペットボトル2本を持った裸の少女4人がしゃがみながら山の斜面の沢を進んでいく。
その4人を敵がいるキャンプ方面を警戒しながら、見守る忍者きよし。
4人が茂みに入ったのを確認してキャンプ地での爆破計画を思案はじめたきよしだった。
その時、一人の背の高い可愛い子が急いで戻って来た。
しゃがんで様子を見ているきよしに、一緒にしゃがんで背中を指で突いた。振り向くきよし。
「あっ、早く行かないと。早く。」
「ありがとう。私のお子ちゃまきよし。」
「あっ、あっ!」
そのきよしの首筋に抱き着いて熱いキスをした。
布村の友達の中でも有名なミリオタの佐藤結衣だった。
目が大きくなるきよし。
引き離そうと両手の平を充てると、大きな胸に手の平が当たり、慌てて、手を放すきよし。
その手を無理に胸にあてがって、きよしに腕を回しキスをし続ける佐藤結衣。
そのまま20秒程抱き着いてキスをし続ける少女。
その真っ白な背中に気が付いた布村愛子。
「あ~結衣~!あ~コラっ!こんな所で!馬鹿じゃない。もう、わたしのパンダ隊長の唇、奪いやがって!キスの更新しやがって~!もぅ……。またキスしなきゃならないじゃない。バカ女っ!」
と、唇を噛んでニコッとする布村だった。
「続きはまたあとで。うふっ。助けてくれてありがと。じゃね。うふふ。チュ。」
また、軽くキスをしてペットボトルを拾って沢に消えた少女。
上を向いて、ゲッソリして顔を撫でるきよし。
そして、気合を入れ直した。
振り向いて光通信。
「エイモス。カウントダウン。分刻み報告。送れ。」
( 了解しました。あと36分です。 )
「了(了解の略)~!」
小さく頷いて、スルスルっと忍者走りで敵のキャンプの暗闇に消えるきよし。
「もう、結衣ったら、もぅ。」
腕を組んでアグラをかく布村。そこへ少女たちが登って来た。
「えっ、布村?愛子?愛ちゃんなの?」
最終形態のバトルモードになったアーマースーツ。
布村のイメージと全く違う、SF映画に出てくるような姿だった。でもちっちゃな女の子。それが、みんなが愛子を識別する決め手だった。
それが腕を組み、胡坐をかいたまま座っている。
その横で立ち止まる3人の少女達。
( 布村さん。お友達が上がってきました。認識しやすいように正面シールドカバーをオープンします。 )
「えっ!」
ヘッドギア内の額や頬にあてて保護をしているクッションが引っ込み、薄っすらと頬が光るヘッドギア内。
布村の顔が認識しやすいようになった。
それを見た3人。
( 愛っ~! )
布村を囲み、みんなが抱き着いた。
後から登って来た佐藤結衣が、ペットボトルを落とした。
そして、みんなと同じように布村に抱き着いたのだ。
( あー!愛ちゃん!愛ちゃんー!わぁ~ん! )
( みんなー!助かったのねー!わぁーん! )
バトルスーツ姿の布村と4人の裸の少女達は輪になって抱き合って地面にしゃがんだ。
そして泣き合った。
その歓喜の声や鳴き声が山合いに広がる。
涙ながらに、可愛い鼻を赤くしたままニッコリ微笑んで話始めるスミス中佐。
「布村さん?エイモス?聞こえる?愛ちゃん?愛ちゃん?」
ジェシカの元に走って行く5名のスタッフたち。背後から全員でジェシカの操作する端末を見た。
きよしと布村は、敵AXISのHARMOR部隊が駐屯している補給キャンプテント背後の丘に居た。
うつ伏せになって双眼鏡を除くきよしと布村。
正面の駐屯所には多数の敵が居た。
テントを張り、焚火をして大勢の敵のパイロットや通常軍服の兵士が食事を採っていた。
手前の焚火では、ロープで手首を繋がれた下着姿の4人の若い少女が居た。
その前で食事をとっているパイロット2名と戦闘服の1人の男。
おそらく軍の中でも上級将官達なのであろうか、他のテントとも違う上質の装備ぞろいだった。
いやらしい目つきで少女達を撫でるように見ながら食事を摂る3人の兵士達。
そこへ、笑いながら司令官風の太った男がジープの様な車両から降りてきた。
肩から拡声器の様な物をさげていた。
そのまま拡声器を地面に置いて、一直線に少女達へ近寄って行く。
そして、一番背が高く色白、グラマラスな少女の胸やお尻、股をまさぐる太った司令官。
その少女の下着をはぎ取り、ズボンとパンツを脱ぐ司令官。
笑いながら急いで少女のローブをほどいて、その場で少女にのしかかった。
( キャー助けてー! )
( キャー!やめてー! )
叫ぶ少女達。
そのテントから距離を置いて一般将兵のテント。
画面から奥の、他のテントの兵士たちは笑いながら見向きもしないで何気なく食事をしたままだった。
いつもの事なんだろう。怒りの頂点に達する布村。
「気持ち悪いーこの野郎ー!キャー!この野郎っ!」
「布村さん……。」
どんなに大声を出しても、ヘッドギアから声は漏れない。
モニターに映る残りの3人の少女達は嫌がって、顔を後ろにそむける。食事をしていた兵士もズボンを脱いで、下半身裸のまま、少女達に飛びついた。
「くっ、くっ。黙ってらんない!あっ!あっー!」
きよしのイヤホンから聞こえる布村の叫び!思わず、きよしの肩を叩く。
「何、何っ、どうしたの?」
「私のはぐれた友達がぁー!キャー助けてきよしぃ!なんとかしてー!」
「なーにー!布村さんのはぐれた……、う~。」
その時また、胸を押さえるきよし。
「ううっ!はぁ、はぁ、う~。」
布村のモニターには、嫌がる少女の股を開いたり、よつん這いになる少女を舐めまわす映像が映っていた。
目をつぶって叫ぶ布村。
「嫌やー!気持ち悪いー!助けてパンダ隊長ー!」
手を差し出すと、いつの間にかきよしが居なかった。
代わりにパイロットスーツが脱ぎっぱなしで置いてある。
パイロットスーツを持ち上げる布村。
同時に、エイモスが回答する。
( 椎葉少尉をロスト。……訂正。布村さんの正面40メートルの下方、全力で走る、椎葉少尉を確認致しました。 )
「えっ、えっ!何!何っ今、横に居たのに、何故に正面40メートル先って?えっ?」
ヘッドギアのモニターがきよしを自動追尾始めた。
映像が拡大されると、走って来たきよしの後ろまわし蹴りで、高速の車に追突したように布切れの様にぶっ飛ぶ、AIXIS中央委員会の漢人の司令官だった。
「ひえぇぇ、人間があんなにすっ飛ぶの、ひえぇぇ。」
ビビる布村。
そして、隣で、少女を襲おうとしている兵士を、すぐさまきよしが側面の開脚蹴りをヒット。
同じく横回転しながら5メートル程、左へ大の字で回転しながら吹き飛ぶ兵士。
「ぎゃー!パンダ隊長スゴ過ぎー!きゃー!」
それをまじかに見て、尻もちをついて驚く敵のHARMORパイロットの2人。
興奮した布村が、その脱ぎ棄てられたパイロットスーツを改めてパンパンと叩く。
「でも、さっきまでいたのに。えー、どういう事?えっ?えっ?あ!パンダ隊長、後ろ!後ろっ!」
きよしに2人同時飛び掛かる兵士。
布村の通信を聞いて、中腰で振り向いた。
( ぐわーっ! )
( うぎゃー! )
すでに、きよしの拳が2人の腹から背中にかけて貫通していた。
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「えっ!えーっ!あわわっ。パンダ隊長!どういう人なのぉ。えー、ゴクッ。うわぁみんな、敵とはいえ、可愛そう。」
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( うぉー!よっしゃーパンダ隊長!えらい!えらい!パンダ隊長指示を。うわーん!ありがとう~パンダ隊長~。 )
また、泣き始める布村。
布村の鳴き声が音声に入ったのか、それに気が付き首を上げて布村を見るきよし。瞬間、目が笑顔になる。
「きゃー!パンダ隊長ー!キャー!ありがとう。うっ、うっ。」
再び、よつん這いになったきよしは、小さな声で少女たちに続けて話す。
「いい?みんな。僕の指示通りに。ペットボトルの水はひとり2本持ってきて。体を洗ってから、布村さんが配るそのスーツを着て。絶対着て。命を守るスーツだから、絶対着て。」
( 解りました。 )
小さな声で返答する少女達。
「ちょっと待って、」
また、首を上げた。
「エイモス、布村さんにつないで。送れ。」
( はい。光通信、愛ちゃんとつながりました。 )
顔上げて、顔を布村にむけて光通信で会話するきよし。
「よし。布村さん、リュクの中のアーマースーツ、確か~残り4セットか5セットあるから出しておいて。」
「1つ美紀さんにあげたから、4つあるはず。あっ、また嫌な事思い出した。フンっ。」
「あっ、フフッ。了解。体洗ってから皆に着てもらうから。洗剤も。エイモス、あと猶予何分?送れ。」
イヤホンを押さえるきよし。
( あと42分です。 )
「了解。では、みんないいかい?茂みの、茂みを超えた丘に行く。いい、あの~見えるかな~小さな青い光。」
振り向いて除く少女達。
「アッ!解りました。あれですね。」
また、手をふる少女達。見えないだろうが手を振る布村。
「布村さんに全て指示してある。サッ、しゃがんで行ってね。あっ、さっきの敵のパイロット2人、どのモービルから来たか、覚えてる?。」
しゃがんだままの4人の少女は一番奥の、黒と黄色の塗装をした品の無いモービルを指差した。すると、間髪入れずにエイモスからきよしに光通信が入る。人工頭脳のAIは凄い速攻能力なのだ。
( 機体認識終了。現在光通信でモリガン1へデータ伝送中。伝送終了。モリガン1よりデータ受信確認報告。椎葉少尉、データ返信が入りました。シーラス情報特務隊データベースと機体形式のデータ照合が終わりました。シーラス情報特務隊、チャイニーズ・アクシス本部へ、ハッキング中とのことです。送れ。 )
「了解、エイモス。パスコード解析時間とこのモービルの機体形式を報告せよ。送れ。」
( 了解しました。シーラス情報特務隊ゴブリンより回答が来ました。パスコード探査中、約10分で回答できると返信を受けました。エイモス解析ではこの機体、教官教習用か、探査調査用のタンデムモービルです。シーラス・データベースでは突撃人型装甲機「壊撃-3型改」アップデート版type-2です。送れ。 )
きよしが顔を上げた。
「エイモス了解。敵HARMOR・ポジション登録。千歳へデータ伝送開始。ついでに、戦略的分析報告も。」
( すでに敵戦力、敵ポジション、通信データここから半径約1キロメートル全て、スミス中佐にアナログデータで転送済です。監視衛星「すみれ」とのマッチング完了。少尉、戦術的ご指示を。送れ。 )
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インカムを押さえるきよし。そのきよしの顔を見ながら安心し始めた少女たち。お互いの肩を音をしないように叩き合っている。
「ここから君たちには、もぅひと戦いがある。あの青い光までしゃがんで歩いて行って。もし、どんな爆発音や機関銃の音がしても振り向かないで。必ず助かる。さぁっ!行ってください。」
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その時、一人の背の高い可愛い子が急いで戻って来た。
しゃがんで様子を見ているきよしに、一緒にしゃがんで背中を指で突いた。振り向くきよし。
「あっ、早く行かないと。早く。」
「ありがとう。私のお子ちゃまきよし。」
「あっ、あっ!」
そのきよしの首筋に抱き着いて熱いキスをした。
布村の友達の中でも有名なミリオタの佐藤結衣だった。
目が大きくなるきよし。
引き離そうと両手の平を充てると、大きな胸に手の平が当たり、慌てて、手を放すきよし。
その手を無理に胸にあてがって、きよしに腕を回しキスをし続ける佐藤結衣。
そのまま20秒程抱き着いてキスをし続ける少女。
その真っ白な背中に気が付いた布村愛子。
「あ~結衣~!あ~コラっ!こんな所で!馬鹿じゃない。もう、わたしのパンダ隊長の唇、奪いやがって!キスの更新しやがって~!もぅ……。またキスしなきゃならないじゃない。バカ女っ!」
と、唇を噛んでニコッとする布村だった。
「続きはまたあとで。うふっ。助けてくれてありがと。じゃね。うふふ。チュ。」
また、軽くキスをしてペットボトルを拾って沢に消えた少女。
上を向いて、ゲッソリして顔を撫でるきよし。
そして、気合を入れ直した。
振り向いて光通信。
「エイモス。カウントダウン。分刻み報告。送れ。」
( 了解しました。あと36分です。 )
「了(了解の略)~!」
小さく頷いて、スルスルっと忍者走りで敵のキャンプの暗闇に消えるきよし。
「もう、結衣ったら、もぅ。」
腕を組んでアグラをかく布村。そこへ少女たちが登って来た。
「えっ、布村?愛子?愛ちゃんなの?」
最終形態のバトルモードになったアーマースーツ。
布村のイメージと全く違う、SF映画に出てくるような姿だった。でもちっちゃな女の子。それが、みんなが愛子を識別する決め手だった。
それが腕を組み、胡坐をかいたまま座っている。
その横で立ち止まる3人の少女達。
( 布村さん。お友達が上がってきました。認識しやすいように正面シールドカバーをオープンします。 )
「えっ!」
ヘッドギア内の額や頬にあてて保護をしているクッションが引っ込み、薄っすらと頬が光るヘッドギア内。
布村の顔が認識しやすいようになった。
それを見た3人。
( 愛っ~! )
布村を囲み、みんなが抱き着いた。
後から登って来た佐藤結衣が、ペットボトルを落とした。
そして、みんなと同じように布村に抱き着いたのだ。
( あー!愛ちゃん!愛ちゃんー!わぁ~ん! )
( みんなー!助かったのねー!わぁーん! )
バトルスーツ姿の布村と4人の裸の少女達は輪になって抱き合って地面にしゃがんだ。
そして泣き合った。
その歓喜の声や鳴き声が山合いに広がる。
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第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
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