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第6章 千歳シーラスワン配属式。
第1話 台湾冷麺と鉄人リーリン。
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千歳市の南。
津軽海峡へ向かって広大に広がる「千歳宙空ステーション」。
ここ十数年で一般旅客機発着のハブ空港から、宇宙を往来するスペースシャトル・オービターの運行など民生用と軍生用へと、多目的な北海道の窓口となり大幅拡張を果たしたのだ。
そのステーションの北東部の高台に広がる住宅地。
グランド・ヒルズ柏と呼ばれたこの宅地には世界各国の軍属のファミリーが住んでいた。
その中でも上品で小作りの家があった。
黄技術部長の家だった。
そこでは、楽しいファミリー・パーティーが続いていた。
「さぁ、さぁ出来たわよ。ドンドン食べて、ドンドン。」
リーリンが台所から氷で冷やした白麺の大皿を持ってきてテーブルに置いた。小皿に取り分けて、冷えた白麺にキュウリの千切りを乗せて、アツアツのあんかけをかけて皆に回した。
京子が料理を持った取り皿を息子のきよしの前に、無造作に置いた。
「ちょっときよし、食べてみ。ほれっ。(トンっ。)」
両膝の頬杖をテーブルについて、きよしに言う京子。
「かあちゃん?これは冷麺?うどん?なに?」
アゴで、食ってみ!ときよしに合図する京子。
横では即座に食べる小林未央。
「ズルズル~っ。ん、ん、うまっ!うっまっ~!でも辛い~。うあ辛い!でも、麺がプリプり感、凄い~!」
「辛いけど、旨いだろ~?」
満面笑顔の黄。
とっさに小林がコーラを飲み干す。
「うん、辛いけど、旨い!肉の旨味すごい。リーリン叔母さん。なんていうの?」
「フフフッ。」
夫の黄を見て笑うリーリンだった。
「旨いだろ~!未央ちゃん。我が家自慢の台湾冷麺。冷やし担々麺だ。それもリーリンスペシャル!」
次に食べるきよし。
「ズルズルっ、ズルズル~っ。ん~、んっ~!旨いっ!リーリン叔母さんスペシャル凄い旨い!ルオ~めっちゃ旨い。ん~っ辛~っ。ん~でも旨い!あっ辛~っ!辛~!かぁちゃん、めっちゃ辛~っ。でも旨っ!」
リーリンから配られたオリジナル台湾担々麵を上品にお箸で食べる京子とオリエッタ。
「どれ、ズル、ズルッ。ん、ん~!リーリン旨いわぁ~。え~旨い。味付け最高!旨いわ~。私、辛いの好きだし。ズルッ、ズルッ。ん~っ、旨いっ、お~いしい。」
きよしが辛い、辛いと言いながら食べ続ける。
「ズルっ、ん、ん、でも、モグモグっ。辛っ。か~らっ。唇も痛い。かあちゃん水。」
「はいよ。(トンっ!)」
( わはははっ! )
大笑いの黄。夢中になってオリエッタが麺を頬張る。
「ん!ん!ん~っ!旨いわ~、ものすごく美味しい!(ポーランド語)」
「有難う、光栄だわ。(ポーランド語)」
ポーランド語で返すリーリンだった。
「実は台湾のお店で出す冷麺はシンプルで、麺とキュウリに胡麻ダレをかけて食べるの。だけど、私の実家というか祖先は、高砂族で第2次大戦の時ね、四国の訓練部隊に居たらしいの。以来、実家では麺は今でも四国の讃岐うどん、中でも細麺を取り寄せて食べてるのよ。我が家の台湾冷麺は、四国のツヤがあり、コシの強い讃岐を氷で冷やしてオリジナルの担々麵の具をかけるのよ。オリジナル。勝手に台湾冷麺と言っているだけよ。うほほっ。」
お盆を持つリーリンの腕をつかむオリエッタ。よほど美味しいのだろう。
「リーリン。いや、これ旨い!また、作り方教えて!明後日戻ったら、ポーランドで子供たちに作ってやりたい。」
また、リーリンから手を離して、オリエッタが真剣に食べ始める。
「じゃ、千歳の売店で讃岐うどん買ってね。冷凍の方がコシもあるから。ポーランドで日持ちさせるなら乾燥のでもいいけどちょっと腰が弱いかな。具の作り方や味付けレシピ教えるわね。」
「リーリンお願い。後でまたレシピ聞くから。うわぁーこれ私大好き。シルビアとエッラ(エルジビエタ)に作ってあげたい。料理好きなシルビアならすぐ再現するわね。」
にやけながら、なにやら考えた京子が氷で冷やした水を入れたコップをみんなに回しながら話した。
「あーた、ねっ、リーリン!これで黄ちゃんを落としたのね!胃袋ワシづかみ~っ!でしょ~?あははっ!」
エッチな横目で、両手でワシずかみのアクションをする京子。
「もう、京子っ!子供たちの前で。でも、正解!アハハハッ!」
きよしたちに見られて、頭をかいて照れる黄だった。
誤魔化しながら、息子のルオに質問を振る黄だった。
津軽海峡へ向かって広大に広がる「千歳宙空ステーション」。
ここ十数年で一般旅客機発着のハブ空港から、宇宙を往来するスペースシャトル・オービターの運行など民生用と軍生用へと、多目的な北海道の窓口となり大幅拡張を果たしたのだ。
そのステーションの北東部の高台に広がる住宅地。
グランド・ヒルズ柏と呼ばれたこの宅地には世界各国の軍属のファミリーが住んでいた。
その中でも上品で小作りの家があった。
黄技術部長の家だった。
そこでは、楽しいファミリー・パーティーが続いていた。
「さぁ、さぁ出来たわよ。ドンドン食べて、ドンドン。」
リーリンが台所から氷で冷やした白麺の大皿を持ってきてテーブルに置いた。小皿に取り分けて、冷えた白麺にキュウリの千切りを乗せて、アツアツのあんかけをかけて皆に回した。
京子が料理を持った取り皿を息子のきよしの前に、無造作に置いた。
「ちょっときよし、食べてみ。ほれっ。(トンっ。)」
両膝の頬杖をテーブルについて、きよしに言う京子。
「かあちゃん?これは冷麺?うどん?なに?」
アゴで、食ってみ!ときよしに合図する京子。
横では即座に食べる小林未央。
「ズルズル~っ。ん、ん、うまっ!うっまっ~!でも辛い~。うあ辛い!でも、麺がプリプり感、凄い~!」
「辛いけど、旨いだろ~?」
満面笑顔の黄。
とっさに小林がコーラを飲み干す。
「うん、辛いけど、旨い!肉の旨味すごい。リーリン叔母さん。なんていうの?」
「フフフッ。」
夫の黄を見て笑うリーリンだった。
「旨いだろ~!未央ちゃん。我が家自慢の台湾冷麺。冷やし担々麺だ。それもリーリンスペシャル!」
次に食べるきよし。
「ズルズルっ、ズルズル~っ。ん~、んっ~!旨いっ!リーリン叔母さんスペシャル凄い旨い!ルオ~めっちゃ旨い。ん~っ辛~っ。ん~でも旨い!あっ辛~っ!辛~!かぁちゃん、めっちゃ辛~っ。でも旨っ!」
リーリンから配られたオリジナル台湾担々麵を上品にお箸で食べる京子とオリエッタ。
「どれ、ズル、ズルッ。ん、ん~!リーリン旨いわぁ~。え~旨い。味付け最高!旨いわ~。私、辛いの好きだし。ズルッ、ズルッ。ん~っ、旨いっ、お~いしい。」
きよしが辛い、辛いと言いながら食べ続ける。
「ズルっ、ん、ん、でも、モグモグっ。辛っ。か~らっ。唇も痛い。かあちゃん水。」
「はいよ。(トンっ!)」
( わはははっ! )
大笑いの黄。夢中になってオリエッタが麺を頬張る。
「ん!ん!ん~っ!旨いわ~、ものすごく美味しい!(ポーランド語)」
「有難う、光栄だわ。(ポーランド語)」
ポーランド語で返すリーリンだった。
「実は台湾のお店で出す冷麺はシンプルで、麺とキュウリに胡麻ダレをかけて食べるの。だけど、私の実家というか祖先は、高砂族で第2次大戦の時ね、四国の訓練部隊に居たらしいの。以来、実家では麺は今でも四国の讃岐うどん、中でも細麺を取り寄せて食べてるのよ。我が家の台湾冷麺は、四国のツヤがあり、コシの強い讃岐を氷で冷やしてオリジナルの担々麵の具をかけるのよ。オリジナル。勝手に台湾冷麺と言っているだけよ。うほほっ。」
お盆を持つリーリンの腕をつかむオリエッタ。よほど美味しいのだろう。
「リーリン。いや、これ旨い!また、作り方教えて!明後日戻ったら、ポーランドで子供たちに作ってやりたい。」
また、リーリンから手を離して、オリエッタが真剣に食べ始める。
「じゃ、千歳の売店で讃岐うどん買ってね。冷凍の方がコシもあるから。ポーランドで日持ちさせるなら乾燥のでもいいけどちょっと腰が弱いかな。具の作り方や味付けレシピ教えるわね。」
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「あーた、ねっ、リーリン!これで黄ちゃんを落としたのね!胃袋ワシづかみ~っ!でしょ~?あははっ!」
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「もう、京子っ!子供たちの前で。でも、正解!アハハハッ!」
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