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しおりを挟むカフェで珈琲を飲んでいると、私はトイレに行きたくなってしまった。
萩原なら大丈夫だと思い、雫を少し見てもらうよう頼んでしまったのだ。
「萩原先生、申し訳ないのですが、トイレに行きたいので少し雫を見ていてくれませんか。」
萩原は笑顔で応えた。
「もちろん、大丈夫ですよ。ゆっくり行ってきてくださいね。」
私は安心してトイレに向かった。
トイレを出て自分の席に戻ると、私の荷物は置いてあるが、萩原と雫が見当たらなくなっていたのだ。
私は咄嗟に隣に座っている女性に声を掛けた。
「ここに座っていた女性とベビーカーの子供を知りませんか?」
すると、その女性は驚くことを言ったのだ。
「あなたが立ってすぐにその女性はベビーカーを押して店を出て行ったわよ。私はてっきり知り合いだと思っていたけど、まさか違うの?」
私は全身から血が引いていた。
顔も手も冷たくなり、震えも出て来た。
私は店を出て、萩原を探すために走り出した。
どこをどう走ったか自分でも分からないほどに探し回ったのだ。
しかし、どこにも雫の姿は見えないのだった。
「どうしよう…陽斗さんもいないし…。」
陽斗は出張中で迷惑はかけられない。
私は陽斗の実家である西園寺家へと走ったのだ。
「私がすべて悪いのです…雫が…雫が…。」
お義母さんは私の慌て方に驚き、私の肩に両手を置いた。
「澪さん、大丈夫ですよ。ゆっくり話をして。」
「お義母さん、雫が…雫が…誘拐されたみたいなんです!」
「なんですって!!」
私達の声を聞いて、お義父さんと村瀬が駆け寄って来た。
「澪さん、状況を詳しく教えてくれないか。そして陽斗はこのことを知っているのかい。」
「陽斗さんは出張中でお話していません。雫を連れて行ったのは、パパの育児教室で先生をしている萩原という女性なんです。」
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