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しおりを挟む「澪、本当に一人で大丈夫なのか。」
朝から陽斗さんが心配そうに声を掛けた。
雫が生まれてから初めての陽斗さんの出張なのだ。
今回は10日間ということもあり、陽斗は心配で仕方ない様子だった。
「大丈夫ですから…心配しないでくださいね。」
陽斗は雫と私の頬にいつもより長くキスをした。
「何かればすぐに連絡してくれ!」
陽斗は玄関で後ろ髪を引かれる思いのようだ。
「パパ~行ってらっしゃい。」
雫はまだしっかり話せないが、私が雫の手を振らせて陽斗を送り出した。
「パパは心配症で困りまちゅねぇ」
私は雫をベビーカーに寝かせてお買い物に出ることにした。
ベビーカーに鞄を掛けて、雫を寝かせると出発だ。
ベビーカーを押しながら歩いていると、後ろから誰かが私の名前を呼んだのだ。
「西園寺さん、西園寺澪さんですよね。」
私が振り返ると、そこに居たのはパパの育児教室で先生をしている女性だった。
「あっ先生、こんにちは。」
「私はパパの育児教室を担当している、萩原と言います。お一人でお買い物ですか?」
「はい、今日から主人は出張なんです。」
「あら、それは寂しいですね。」
私はこの時油断していたのだった。
陽斗が出張という事は、周りに言うなと言われていたのだ。
しかし、この人は幼児教育の先生なので問題ないと思っていたのだった。
スーパーマーケットに萩原も向かうところだと言っていたので、一緒に向かう事にした。
萩原は物腰が柔らかく、とても優しい雰囲気の女性だ。
話も楽しく意気投合したことから、一緒にカフェへ行こうと誘われた。
私は何かを断ることが苦手なのだ。
気が進まないが、一緒にカフェへ行くことにしてしまった。
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