8 / 15
離縁できるまで、あと三日ですわ旦那様。
しおりを挟む
翌日。いつものように朝食を食べた後、旦那様は執務室で仕事をこなし、私は傍の簡易机でプレゼン資料とレシピ作りに勤しんでいる。プレゼン資料は昨日のうちにある程度できているので、あとは推敲するぐらいだ。
レシピ作りは結構楽しくて夢が広がるばかりで、オープン用のスイーツを厳選するのが難しい。贅沢な悩みだけれど。
ふと旦那様の仕事姿を見たら超スピードで書類を確認、サインを繰り返していた。しかもしっかりと赤ペンで問題事項は丸を付けつつ、コメントを残している。有能すぎません?
白銀の長い髪が微かに揺らぎ、眼鏡をかけた姿は貴重かつ美しい。姿勢も良いのよね!
うっとりしていると、私の視線に気付いたのか書類から目を逸らして目が合った。口元がもしかしたら数ミリほど吊り上がったかもしれないが、実際は無表情だ。もっとも尻尾がそれを補うぐらいにパタパタと動いているので、間違いなく上機嫌だわ。
「フランカ、なにか気になることでも?」
「仕事をしている旦那様が格好いいなと見惚れていただけですわ」
「そうか──私にみ──っ!?」
相当嬉しかったのか、ブンブンブンと激しく尻尾が揺れて床を叩いた。痛くないのかしら?
今日もロータスから付けて貰ったブレスレットを着けているけれど、心の声は聞こえてこない。あれは一時的なものだったのかしら?
あの時の私たちには必要だったものだけれど、今は心の声が聞こえなくても意思疎通ができている。落ち着いたら、どういうことだったのかロータスに聞いてみましょう。
ほんわかしたことがありつつ、お昼を一緒にとって午後は中庭でのんびり過ごす。私はレシピ本で、旦那様は旅行雑誌を見ている。付箋がたくさん貼っていてびっくりした。私と一緒に行きたいところがたくさんあると言ってくれて、また胸がキュンキュンする。
どんどん旦那様の素敵な所を見つけて、好きになっていくわ。
「オーロラが見られる北の魔法都市もいいし、一年に一度しか咲かない桃色の大樹を見に行くのも面白くないか?」
「まあ、素敵な町並み。あ、旦那様。ここの場所だと中々手に入らない紅茶があるみたいですよ。こっちは桃色の大樹の花びらを使ったスイーツが人気で、夫婦や恋人が食べると永遠の愛を得られるとか言い伝えがあるんです」
「絶対にいこう」
「ふふっ、はい」
次々に約束ができて、お互いの興味や関心のあるものが分かっていく。旦那様は緻密なガラス細工が結構好きで、美術館や雑貨店を巡るのが好きらしい。それは私も知らなかったので、「じゃあ次の誕生日は旦那様の好きな物を贈りますね」と言ったら、嬉し泣きしてしまった。それにつられて私もちょっとだけ涙ぐんだのは秘密だ。
庭でのお喋りはとても楽しくて、また昼下がりにお茶をしましょうと旦那様と『次』の約束を取り付ける。そうやって積み重ねていこう。
食休みも終わってから、一緒に手を繋いで厨房に向かった。旦那様が厨房に入るのは初めてだったようで、使用人や料理人たちは涙ぐんでいた。思えば最初から屋敷の人たちは優しかったわ。使用人たちはほとんど私たちより年配で、親子ほどの歳が離れていて、旦那様のことを大事にしているのが伝わってくる。
私は動きやすい侍女服に似た恰好に着替えて、自前のエプロンを着ける。その姿に旦那様は目を細めた。
「その姿も可愛らしい。ギュッと抱きしめて離したくないぐらいに良い」
「ありがとうございます。でも、スイーツを作るのでハグは後で、ですわ」
「う……わかった」
コクンと素直に頷く旦那様が可愛いいし、腕まくりをする姿も素敵だわ。今回は旦那様も一緒に作るので、簡単なチョコブラウニーだ。
下準備には旦那様に手伝って貰って、薄力粉にココア、ベーキングパウダーを合わせてふるってもらった。その間に私は溶かしたチョコレートとバターを混ぜ混ぜ。旦那様にはボウルに卵、砂糖、牛乳を投下したものを混ぜて貰った。ここまで終わったら、旦那様に手伝って貰ってちょっとずつ私のボウルに卵をといたものを入れていく。それから艶が出るまで更に混ぜ込んで、途中でラムエッセンスを二滴たらした。
「あとは旦那様が合わせてふるった粉を加えてください」
「ああ」
「あとは混ぜるだけです」
「こんなに工程を踏むのだな」
「ふふっ、いつも私たちが食べている料理はもっと複雑で下準備やら色々してくださっているのですよ」
「そうなのか」
「はい」
貴族が厨房に入ることなど殆ど無い。知らないことを旦那様は興味深そうにしていて、表情は硬いままだけれど、その目はとても優しいものだった。それからオーブンで二十分ほど焼いたら完成となる。
生クリームを用意して、お茶の時間に出して貰うことにした。たくさん作ったので、半分は使用人たちに振る舞うことに。
やっぱり、使用人たち──顔見知りには私が作ったものでも不服そうな顔はしないのね。「ふむふむ」とその様子を見ながら、これなら妥協点を見いだせそうな気がした。
定番の旦那様の膝の上で、できあがって少し冷やしたチョコブラウニーを食べさせる。いつになく嬉しそうで、味わって咀嚼していた。
「んん……。妻の手作り。至高の一品だといっても良い」
「ありがとうございます。でも旦那様との合作ですよ」
「一緒の、共同作業!」
「そうですわね」
こんなに喜んでくださるなら、もっと前から自分で届ければよかったわ。
「妻がスイーツを作って私に食べさせてくれるなんて……夢のようだ」
「ふふっ。食べさせるのは最近ですけれど、これまでも時間がある時に旦那様の職場に送っていたでしょう」
「は?」
「え?」
瞳孔を開いている上に、旦那様の低い声によってその場が一瞬で凍り付いた。傍に控えていた使用人たちも、背筋に凍るような寒気を感じたようだった。
「……フランカ、もしかして以前から王城にスイーツを届けてくれていたのか?」
「はい。日持ちするクッキーやマフィン、フィナンシェとかですが……」
私もハッとなって嫌な予感がした。呪いの件で王城がピリピリしていた頃でもあったのだろう。
「月にどのくらいで、いつから?」
「え、ええっと……。一年ぐらい前から、だいたい月に一度の頻度でしたが……」
「スイーツはロータスが届けたのか?」
「ええ」
「ロータス」
「はい。私が責任を持って届けましたが、旦那様が不在と言われたため財務課のカストという部下の方にお渡ししました」
「カスト……。カスト・フォルジュか。ああ、なるほど」
旦那様の顔が険しくなっていく。部屋の空気が一気に氷点下になりそうだったので、旦那様のギュッと抱きついた。
「旦那様、殺気を抑えてください」
「あ。すまない」
「イライラした時は甘い物が一番なのですよ」
「もぐっ…………ん、幸せの味がする」
「じゃあ、私にもお裾分けしてください」
そう言ったら旦那様から唇にキスをされた。違う、私はブラウニーをたべさせてほしかったのだ。そう思ったのだけれど、旦那様とのキスはとても甘くて、たしかに幸せの味がした。だから私に魔の手が忍び寄っているなんてことに、まったく気付いていなかったのだ。
レシピ作りは結構楽しくて夢が広がるばかりで、オープン用のスイーツを厳選するのが難しい。贅沢な悩みだけれど。
ふと旦那様の仕事姿を見たら超スピードで書類を確認、サインを繰り返していた。しかもしっかりと赤ペンで問題事項は丸を付けつつ、コメントを残している。有能すぎません?
白銀の長い髪が微かに揺らぎ、眼鏡をかけた姿は貴重かつ美しい。姿勢も良いのよね!
うっとりしていると、私の視線に気付いたのか書類から目を逸らして目が合った。口元がもしかしたら数ミリほど吊り上がったかもしれないが、実際は無表情だ。もっとも尻尾がそれを補うぐらいにパタパタと動いているので、間違いなく上機嫌だわ。
「フランカ、なにか気になることでも?」
「仕事をしている旦那様が格好いいなと見惚れていただけですわ」
「そうか──私にみ──っ!?」
相当嬉しかったのか、ブンブンブンと激しく尻尾が揺れて床を叩いた。痛くないのかしら?
今日もロータスから付けて貰ったブレスレットを着けているけれど、心の声は聞こえてこない。あれは一時的なものだったのかしら?
あの時の私たちには必要だったものだけれど、今は心の声が聞こえなくても意思疎通ができている。落ち着いたら、どういうことだったのかロータスに聞いてみましょう。
ほんわかしたことがありつつ、お昼を一緒にとって午後は中庭でのんびり過ごす。私はレシピ本で、旦那様は旅行雑誌を見ている。付箋がたくさん貼っていてびっくりした。私と一緒に行きたいところがたくさんあると言ってくれて、また胸がキュンキュンする。
どんどん旦那様の素敵な所を見つけて、好きになっていくわ。
「オーロラが見られる北の魔法都市もいいし、一年に一度しか咲かない桃色の大樹を見に行くのも面白くないか?」
「まあ、素敵な町並み。あ、旦那様。ここの場所だと中々手に入らない紅茶があるみたいですよ。こっちは桃色の大樹の花びらを使ったスイーツが人気で、夫婦や恋人が食べると永遠の愛を得られるとか言い伝えがあるんです」
「絶対にいこう」
「ふふっ、はい」
次々に約束ができて、お互いの興味や関心のあるものが分かっていく。旦那様は緻密なガラス細工が結構好きで、美術館や雑貨店を巡るのが好きらしい。それは私も知らなかったので、「じゃあ次の誕生日は旦那様の好きな物を贈りますね」と言ったら、嬉し泣きしてしまった。それにつられて私もちょっとだけ涙ぐんだのは秘密だ。
庭でのお喋りはとても楽しくて、また昼下がりにお茶をしましょうと旦那様と『次』の約束を取り付ける。そうやって積み重ねていこう。
食休みも終わってから、一緒に手を繋いで厨房に向かった。旦那様が厨房に入るのは初めてだったようで、使用人や料理人たちは涙ぐんでいた。思えば最初から屋敷の人たちは優しかったわ。使用人たちはほとんど私たちより年配で、親子ほどの歳が離れていて、旦那様のことを大事にしているのが伝わってくる。
私は動きやすい侍女服に似た恰好に着替えて、自前のエプロンを着ける。その姿に旦那様は目を細めた。
「その姿も可愛らしい。ギュッと抱きしめて離したくないぐらいに良い」
「ありがとうございます。でも、スイーツを作るのでハグは後で、ですわ」
「う……わかった」
コクンと素直に頷く旦那様が可愛いいし、腕まくりをする姿も素敵だわ。今回は旦那様も一緒に作るので、簡単なチョコブラウニーだ。
下準備には旦那様に手伝って貰って、薄力粉にココア、ベーキングパウダーを合わせてふるってもらった。その間に私は溶かしたチョコレートとバターを混ぜ混ぜ。旦那様にはボウルに卵、砂糖、牛乳を投下したものを混ぜて貰った。ここまで終わったら、旦那様に手伝って貰ってちょっとずつ私のボウルに卵をといたものを入れていく。それから艶が出るまで更に混ぜ込んで、途中でラムエッセンスを二滴たらした。
「あとは旦那様が合わせてふるった粉を加えてください」
「ああ」
「あとは混ぜるだけです」
「こんなに工程を踏むのだな」
「ふふっ、いつも私たちが食べている料理はもっと複雑で下準備やら色々してくださっているのですよ」
「そうなのか」
「はい」
貴族が厨房に入ることなど殆ど無い。知らないことを旦那様は興味深そうにしていて、表情は硬いままだけれど、その目はとても優しいものだった。それからオーブンで二十分ほど焼いたら完成となる。
生クリームを用意して、お茶の時間に出して貰うことにした。たくさん作ったので、半分は使用人たちに振る舞うことに。
やっぱり、使用人たち──顔見知りには私が作ったものでも不服そうな顔はしないのね。「ふむふむ」とその様子を見ながら、これなら妥協点を見いだせそうな気がした。
定番の旦那様の膝の上で、できあがって少し冷やしたチョコブラウニーを食べさせる。いつになく嬉しそうで、味わって咀嚼していた。
「んん……。妻の手作り。至高の一品だといっても良い」
「ありがとうございます。でも旦那様との合作ですよ」
「一緒の、共同作業!」
「そうですわね」
こんなに喜んでくださるなら、もっと前から自分で届ければよかったわ。
「妻がスイーツを作って私に食べさせてくれるなんて……夢のようだ」
「ふふっ。食べさせるのは最近ですけれど、これまでも時間がある時に旦那様の職場に送っていたでしょう」
「は?」
「え?」
瞳孔を開いている上に、旦那様の低い声によってその場が一瞬で凍り付いた。傍に控えていた使用人たちも、背筋に凍るような寒気を感じたようだった。
「……フランカ、もしかして以前から王城にスイーツを届けてくれていたのか?」
「はい。日持ちするクッキーやマフィン、フィナンシェとかですが……」
私もハッとなって嫌な予感がした。呪いの件で王城がピリピリしていた頃でもあったのだろう。
「月にどのくらいで、いつから?」
「え、ええっと……。一年ぐらい前から、だいたい月に一度の頻度でしたが……」
「スイーツはロータスが届けたのか?」
「ええ」
「ロータス」
「はい。私が責任を持って届けましたが、旦那様が不在と言われたため財務課のカストという部下の方にお渡ししました」
「カスト……。カスト・フォルジュか。ああ、なるほど」
旦那様の顔が険しくなっていく。部屋の空気が一気に氷点下になりそうだったので、旦那様のギュッと抱きついた。
「旦那様、殺気を抑えてください」
「あ。すまない」
「イライラした時は甘い物が一番なのですよ」
「もぐっ…………ん、幸せの味がする」
「じゃあ、私にもお裾分けしてください」
そう言ったら旦那様から唇にキスをされた。違う、私はブラウニーをたべさせてほしかったのだ。そう思ったのだけれど、旦那様とのキスはとても甘くて、たしかに幸せの味がした。だから私に魔の手が忍び寄っているなんてことに、まったく気付いていなかったのだ。
1,108
お気に入りに追加
2,322
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
おかえりなさい。どうぞ、お幸せに。さようなら。
石河 翠
恋愛
主人公は神託により災厄と呼ばれ、蔑まれてきた。家族もなく、神殿で罪人のように暮らしている。
ある時彼女のもとに、見目麗しい騎士がやってくる。警戒する彼女だったが、彼は傷つき怯えた彼女に救いの手を差し伸べた。
騎士のもとで、子ども時代をやり直すように穏やかに過ごす彼女。やがて彼女は騎士に恋心を抱くようになる。騎士に想いが伝わらなくても、彼女はこの生活に満足していた。
ところが神殿から疎まれた騎士は、戦場の最前線に送られることになる。無事を祈る彼女だったが、騎士の訃報が届いたことにより彼女は絶望する。
力を手に入れた彼女は世界を滅ぼすことを望むが……。
騎士の幸せを願ったヒロインと、ヒロインを心から愛していたヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:25824590)をお借りしています。
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる