レスカー帝国物語

海野 入鹿

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優雅なる貴族社会

大臣会議

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ヤヌスたちが入室すると、そこには円卓と五つの椅子があった。円卓を囲んでいた五つの椅子の内、すでに三つが埋まっていた。各椅子の後方には当主の次に発言権がある者たちが立っていた。

そしてヤヌスが椅子に座り、
大臣会議が始まった。

四大貴族は北はバユセイユ、南はサステリア、西はヒンラル、東はバルサークとそれぞれの地方の統轄をしている。ゆえに、例えばバユセイユ家が統轄する北部では、バユセイユ家に縁のある貴族たちが各都市の首長をしているという、各地方ごとに派閥で固まっているのだ。

大臣会議では、そんな四大貴族と皇帝が各地方の軍備の状況や産業の振興状況、事業計画の経過などの情報の共有や、様々な問題となっている事案の解決策についての意見を交わして意思決定をする。

このように、四大貴族は皇帝の政治を支えているのだ。

「事態は思った以上に深刻ですわ。」

煌びやかなドレスを身に纏った、いかにも貴族らしいマダム、ロザリア=サステリアが口を開く。

「北のテテンドに兵を集中させたことで、野蛮な下民の反乱の鎮圧ができませんでしたわ。これでさらに勢いづいて、鎮圧がますます困難になると思われますわ。」

「ふん、それだけではないぞ。」

目がギョロッとしている小柄な老人、コーズウェ=ヒンラルがロザリアを睨みつけながら言う。

「此度の鎮圧失敗で、各地に反乱の機運が高まるやもしれん。早く鎮圧をしないと手遅れになるぞ。」

「それだけではないですねえ。」

ヤヌス=バユセイユが口を挟む。

「停戦協定が結ばれて以降、皇太后が着々と勢力を拡大しています。こちらも早めに潰さないと手遅れになりかねませんよ。」

「どうやら、わしらがいがみ合っている場合ではなさそうじゃ。」

「そうですわね。」

「皇帝の治世を脅かす者たちには罰を与えましょう。」

と三人が協力の姿勢を見せる中、テユラン=バルサークも

「ええ、そうですね。」

と協力の姿勢を見せたが、

いつもは対立しているくせに、自らを脅かす者が出てきたら途端に協力しあう醜い貴族共が。
貴様らこそ、罰を受けるがいい!

とテユランは、三人に対して激しい怒りを抱いていた。

「とりあえず、皇太后に牽制をするためにも大規模なパーティーを開いて、わたくしたちの人望と権力を見せつけてはいかが?」

「なかなかいいアイディアじゃ!
なれば、皇帝主催で開こうぞ。さすれば、より泊がつくというもの。」

「費用はすべて民の税で賄いましょう。彼らも私たちのためならば、喜んで納めてくれるでしょう。」

「開催する時期はなるべく早めがよいな。」

などと様々な話し合いが行われた後、会議は解散となった。

それから数日後、エラシス軍が帝都に到着した。







 
    
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