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第49話「ミケの思惑」

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 三人になり、レイは箸を手に取りご飯とお吸い物を交互に食した。


「ミケも食べろ」


 レイがミケに食べるように促し、ミケも一口一口ご飯を口に運んだ。


「今日もソウルさんのご飯は美味しいです」


 ご飯をお腹に取り入れると、ミケのフェロモンはどんどん落ち着いていった。ユーデル、マゼンダ、リリックが来るころにはだいぶ収まっていて、さきほどのような、ユーデルが汗だくになるほどのことは三人には見られなかった。

 皆が食事を始め、食事を終える頃にレイは口を開いた。


「皆に聞いてほしい。ミケのフェロモンに充てられている人物が城内には多く潜んでいる。私は、ポルニア国の住民には愛という感情は私含めて存在していないと思っているが、それでもミケのことを愛していると思い込んでしまっているヤツがいる。ミケに関して今後、不特定多数の人物と身体の関係は許可しているし、子も宿してもらっていいと伝えているが、甚だしい思い込みでミケを独占しないでいただきたい。以上だ」


 この場の空気が静まり返る。次に口を開いたのは、先ほどミケと身体を重ねていたリリックだった。


「ミケが不特定多数と関係を持ってしまうと、宿ったときに誰の子か分からないと思うのですが……?」

「むしろ知らない方がいいと思うが。誰の子か分かってしまうと、ミケに想いを寄せている何者かが嫌がらせをしてくるヤツも出てくるかもしれないだろ」


 子の親が誰なのかが知りたいと願うリリックと子の親の存在は知らなくてもいいと意見するレイ。リリックの考えも分かるし、レイの考えも腑に落ちる。俺は口を挟まず聞くことに徹した。けど一番大事なのはやっぱりミケの気持ちだ。


 聞くことに徹しようと思ったが、

「おい、ミケ。おまえはどう思ってるんだ?」


 一番気になっていることをミケに問いただす。


「僕は……まだ子を宿したいという願望はございませんが、王の子を授からなくてもいいという契約の元、不特定多数と体の関係を持っていきたいと思います。なので、子を授かる場合は一番相性が合う方の子種をいただきたいと考えております」


 淡々と自分の意を語るミケ。俺を部屋に誘ってきたのは、身体を重ねるためだったのかということが確認できた。


「そして、ソウル様、あなた様が他国の王ということは存じておりますが、私と身体を重ねていただきたく思います。どうか、よろしくお願いします」


 深々と頭を下げるミケ。堂々と身体を重ねてほしいとお願いしてくるその姿は、俺を含め皆を唖然とさせた。


「い、いや、まて。俺はレイ以外と体の関係を持つ気はない」

「では一つ聞きますが、あなた様はいつまでポルニア国へ居られるのです? ここへ来られてもう三ヵ月経ちますが、いつシャドウ国へお戻りで?」

「そ、それは…………まだ、分からない」

「あなた様はうちの国から多額な金銭を受け取っておられますよね? お金を溜めに溜めていずれはポルニア国をシャドウ国に取り囲もうと思っているのでしょう? となれば、あなた様も自ずとポルニア国の第二王子と成り得るのですよ。それに、周囲も気づき始めておられますよ、あなた様が力を所有していないことを」


 …………な。逆ギレか?や、やべぇ、落ち着け。力がないことを悟られるな。

 ーー動揺したら負けだ。


「確かに、この国から多額の支援を頂いていた。けれど、その金はきちんとシャドウ国の国民の充てに回している。俺が言うのもなんだが、シャドウ国には連れ去ってしまった多くのポルニア人の国民もいる。だから、ポルニア国を取り囲むお金は残っていない。レイが幸せになっていく中で俺の国もこの国も平和を取り戻せたらいいと思っている」


 ーーそう、今は本心で思っている。


「綺麗ごとを言わないでいただけますか! 以前のあなたがどのような人だったか……レイ様含め、皆お忘れではないでしょうね!? この国の民が何千人攫われたか……城内に住み仕える人たちが何百人殺されたか……この国の愛を奪ったのはあなたですよ、ソウル!」


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