28 / 97
27.専属侍女が増えたんです
しおりを挟む
お風呂に入りさっぱりした後、肌着のまま寝室に戻ると髪を丁寧に拭いてから、何時ものように肌の手入れをされる。
化粧水、乳液で顔を整え、手足とデコルテと背中に保湿性のあるクリームを塗って、髪に香油を馴染ませてから櫛で梳かす迄が毎日のワンセット。
どんなに眠くても必ずやられる。やらないと寝かせてもらえない。
王太子殿下の婚約者として何時なん時、誰に見られても良いように婚約してから毎日欠かさずやって来たらしい。初めは慣れない俺のために簡単にやってくれてたけど、王都に来てから元に戻したとの事。
今は、ほぼ毎日殿下に会うから妥協は許されないらしい。
髪の香油は、お風呂でトリートメントしてるんだから良いんじゃないのかと言ったが、両方するから意味があると怒られた。
社交デビューしたら、もっとグレードアップした手入れになるらしく、髪だけじゃなくて、体にも体用の香油でマッサージされるらしい。
これ以上なんて、それどんな拷問だよ。
数年後に来る未来が怖い。
全部の手入れが終わって寝間着に着替える。
前は保湿クリームは免除してくれてたから、風呂場で着てたけど、どうせ脱がされるのだから、終わってから着替えるようになった。
寝室の隣の部屋に行くと、丁度ご飯を並べてる所だった。寝る場所が別なだけで、基本は過ごす部屋はここだ。
寝る部屋と過ごす部屋が別で専用風呂場があるなんて貴族凄いと最初は思ったが、基本の伯爵家は1部屋と専用風呂場が基本だとか……辺境伯家だからと教えてもらった。
子爵や男爵位だと個別のお風呂はない所が多いのも聞いた。男爵は貴族としての扱いだけど、庶民より少し裕福なぐらいが多くて、一代限りで爵位を与えられてる人は大体男爵が多いらしい。
下手したら裕福な商家の方が良い暮らししてるとかなんとか……
そう言えば男爵が一番下と思ってたけど、まだ騎士の爵位があるようだ。クラスに騎士爵の息子がいるから知ったんだけどさ。
それで、リーチェに聞いてみたら、大体男爵と同じと思って良いらしい。
騎士爵は完全に一代限りで、武功を上げれば、ちゃんとした爵位が与えられるそうだ。大体は男爵や子爵辺りらしいけど。
ソファーに座って目の前の夕食を見る。
一番手前に置いてあるシチューぽい物から湯気が立ち込めてて美味しそうだ。
お兄様が帰ってくるまで一人で、広い食堂でボッチ飯は寂しすぎるので、頼んで部屋までご飯運んでもらっているのだ。頼んでもリーチェ達、使用人は一緒に食べてくれないからな。
「お嬢様、お待たせいたしました。本日のメインは鶏肉のクリーム煮込みです。お嬢様の好きなライ麦パンと前菜に温野菜。デザートは木の実と木苺がたっぷり入ったケーキです」
「有難う、ナタリー。美味しそう!」
献立を言い終わるとナタリーは、一礼して部屋の隅に立った。
ナタリーは最近、俺の専属侍女になった女の子だ。
元々リーチェ1人だったけど、本来なら3人ぐらい居るのものらしい。
まあ、お風呂の世話とか今みたいに食事の用意とか分担してやるからなのだが、俺はお風呂は1人で入るし、俺の事情の知ってるリーチェ以外は傍にいられると気が抜けないから嫌だったけど、リーチェ1人だと負担が半端ないから、もう一人は付けなさいと、お兄様に付けられたのがナタリーだった。
歳は18歳だったかな。黄土色の髪を三つ編みにしてて、素朴な顔だけど、笑顔が愛嬌あって可愛い。
この屋敷で働きだして、まだ一年程で初々しさの残る侍女さんだ。
この屋敷の使用人の中では最年少で歳が近いから親しみやすいだろうと、お兄様が選んでくれたらしい。
こちらの世界の【いただきます】になる祈りを捧げて、温野菜の人参にソースを付けてから口に運ぶ。ソースがマスタードみたいな味で旨い。
「お嬢様、本日、お嬢様にお手紙が届いております」
「手紙?誰から?」
「殿下からですわ。砦から送ってくださったようです」
「わざわざ?暇なのかな?」
後でご覧くださいと言われ、食事を進めるが、チェストの上に置かれた手紙が気になり、チラチラと見てしまい、リーチェに苦笑された。
お食事が終わってから伝えれば良かったと謝られた。
たった数日会えないだけで手紙送ってくるなんて、何かあったのかと思うじゃん?
こっちの世界はスマホなんて便利なものはないからその代わりなのだろうか。
……これって、俺も返事書かなきゃダメ?
化粧水、乳液で顔を整え、手足とデコルテと背中に保湿性のあるクリームを塗って、髪に香油を馴染ませてから櫛で梳かす迄が毎日のワンセット。
どんなに眠くても必ずやられる。やらないと寝かせてもらえない。
王太子殿下の婚約者として何時なん時、誰に見られても良いように婚約してから毎日欠かさずやって来たらしい。初めは慣れない俺のために簡単にやってくれてたけど、王都に来てから元に戻したとの事。
今は、ほぼ毎日殿下に会うから妥協は許されないらしい。
髪の香油は、お風呂でトリートメントしてるんだから良いんじゃないのかと言ったが、両方するから意味があると怒られた。
社交デビューしたら、もっとグレードアップした手入れになるらしく、髪だけじゃなくて、体にも体用の香油でマッサージされるらしい。
これ以上なんて、それどんな拷問だよ。
数年後に来る未来が怖い。
全部の手入れが終わって寝間着に着替える。
前は保湿クリームは免除してくれてたから、風呂場で着てたけど、どうせ脱がされるのだから、終わってから着替えるようになった。
寝室の隣の部屋に行くと、丁度ご飯を並べてる所だった。寝る場所が別なだけで、基本は過ごす部屋はここだ。
寝る部屋と過ごす部屋が別で専用風呂場があるなんて貴族凄いと最初は思ったが、基本の伯爵家は1部屋と専用風呂場が基本だとか……辺境伯家だからと教えてもらった。
子爵や男爵位だと個別のお風呂はない所が多いのも聞いた。男爵は貴族としての扱いだけど、庶民より少し裕福なぐらいが多くて、一代限りで爵位を与えられてる人は大体男爵が多いらしい。
下手したら裕福な商家の方が良い暮らししてるとかなんとか……
そう言えば男爵が一番下と思ってたけど、まだ騎士の爵位があるようだ。クラスに騎士爵の息子がいるから知ったんだけどさ。
それで、リーチェに聞いてみたら、大体男爵と同じと思って良いらしい。
騎士爵は完全に一代限りで、武功を上げれば、ちゃんとした爵位が与えられるそうだ。大体は男爵や子爵辺りらしいけど。
ソファーに座って目の前の夕食を見る。
一番手前に置いてあるシチューぽい物から湯気が立ち込めてて美味しそうだ。
お兄様が帰ってくるまで一人で、広い食堂でボッチ飯は寂しすぎるので、頼んで部屋までご飯運んでもらっているのだ。頼んでもリーチェ達、使用人は一緒に食べてくれないからな。
「お嬢様、お待たせいたしました。本日のメインは鶏肉のクリーム煮込みです。お嬢様の好きなライ麦パンと前菜に温野菜。デザートは木の実と木苺がたっぷり入ったケーキです」
「有難う、ナタリー。美味しそう!」
献立を言い終わるとナタリーは、一礼して部屋の隅に立った。
ナタリーは最近、俺の専属侍女になった女の子だ。
元々リーチェ1人だったけど、本来なら3人ぐらい居るのものらしい。
まあ、お風呂の世話とか今みたいに食事の用意とか分担してやるからなのだが、俺はお風呂は1人で入るし、俺の事情の知ってるリーチェ以外は傍にいられると気が抜けないから嫌だったけど、リーチェ1人だと負担が半端ないから、もう一人は付けなさいと、お兄様に付けられたのがナタリーだった。
歳は18歳だったかな。黄土色の髪を三つ編みにしてて、素朴な顔だけど、笑顔が愛嬌あって可愛い。
この屋敷で働きだして、まだ一年程で初々しさの残る侍女さんだ。
この屋敷の使用人の中では最年少で歳が近いから親しみやすいだろうと、お兄様が選んでくれたらしい。
こちらの世界の【いただきます】になる祈りを捧げて、温野菜の人参にソースを付けてから口に運ぶ。ソースがマスタードみたいな味で旨い。
「お嬢様、本日、お嬢様にお手紙が届いております」
「手紙?誰から?」
「殿下からですわ。砦から送ってくださったようです」
「わざわざ?暇なのかな?」
後でご覧くださいと言われ、食事を進めるが、チェストの上に置かれた手紙が気になり、チラチラと見てしまい、リーチェに苦笑された。
お食事が終わってから伝えれば良かったと謝られた。
たった数日会えないだけで手紙送ってくるなんて、何かあったのかと思うじゃん?
こっちの世界はスマホなんて便利なものはないからその代わりなのだろうか。
……これって、俺も返事書かなきゃダメ?
1
お気に入りに追加
2,275
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました
かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。
「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね?
周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。
※この作品の人物および設定は完全フィクションです
※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。
※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。)
※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。
※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる