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柏木マオの場合
side:柏木マオ クリスマス②
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終業式も終わり、クリスマス当日。
約束をしたカラオケボックスに到着した。
「マーオーちゃーん」
ボタンちゃんが大きく手を振っている。
私も振り返す。
「モミジさんは?」
「まだ来てないよ。それより…」
「よっ!」
ボタンちゃんの後ろから兎川くんが出てきた。
「兎川くん!?」
「暇なのでお呼ばれしました」
「ごめん!言ってなかったよね」
「大丈夫だよ。びっくりしただけ」
言ってくれればプレゼント用意したんだけどな…
「今日は6人でクリスマスパーティー楽しもうな!」
「6人!?」
「うん、せっかくだし、と思って誘っちゃった」
ボタンちゃんが「驚かせてごめん」と謝ってくる。
人数が多い方が楽しいから…いっか。
「遅くなっちゃったかしら」
モミジさんが到着………
お兄ちゃんもいる!
「お誘い頂きありがとうございます」
「リョウ、挨拶堅すぎでしょ」
お兄ちゃんの横には水無月くんがいた。
「ども」
「文化祭のチームメンバー全員に声かけたんだけど
やっぱ無理な人もいてさ。今日はこの6人!」
「長谷川さん、あざっす!クラスでの打ち上げなかったもんな」
「兎川くんが提案しないからだと思うけど?」
「俺ぇ!?」
「はいはい。人数揃ってるんだから受付するわよ」
モミジさんが率先して受付に向かう。
「柏木さん、話すの久々だね」
「水無月くん!確かに全然話してないかも」
「あとでちょっと話したいことあるんだけど…」
「はーい、206号室~!行くわよ~」
モミジさんから号令がかかった。
「いいけど、みんなで楽しんでからにしようか…?」
「だなー。今日は何食わそうかなー」
「わっ、また餌付けしようとしてるよ!」
水無月くんと会話しながら部屋に移動した。
それぞれ席に座り、店員さんが飲み物とスナック菓子を持ってくるまで会話を楽しんだ。
兎川くんから順番に歌うことになったのだが、みんな歌上手過ぎて驚きを隠しきれない私がいた。
次はお兄ちゃんの番だけど…なに歌うのかな………
元ビジュアル系のソロアーティストの曲!?
低音ボイスからのハイトーンボイス………上手すぎる………
普通に格好いい………
そう思い、目頭を押さえる私………
こんなハイレベルの中で……何を歌えば良いのやら………
と言うわけで、一旦、誰でも知っているキッズアニメソングをチョイス。
上手いも下手もないものを歌うことにした。
私はタイミングを見て、席を立ち、お手洗いに向かった。
女性用トイレは別の階だったのでちょっと移動に時間がかかってしまった。
部屋に戻るタイミングで水無月くんが外の椅子に腰掛けていた。
「どうしたの?気分でも悪い?」
そう話しかけると「柏木さんを待ってた」と言われた。
「前に俺の好きな人のこと話したの…覚えてる?」
私も水無月くんの隣に腰掛ける。
「覚えてるよ」
「フラれたらしいんだ、桜井に」
幼馴染ちゃん、告白したんだ!
「それで、まあ…俺は色々あったんだけど。そいつと付き合うことになった」
「え!?お、おめでとう!」
水無月くんは照れながら笑っている。
「ってか、彼女いるのにこんな所で油売ってていいの?」
「残念。彼女とは昨日一緒だったので問題ないのです。今日は家族と過ごすって」
水無月くんはダブルピースをかましてくる。
「なんか、イラッとするけど、おめでとう」
「柏木さんにしか話してなかったし、報告したくて。今日話したかったのは、これ」
「そっか。律儀にありがとうございます」
「いいクリスマスプレゼントでしょ?」
「人の惚気話がクリスマスプレゼントなの?要らないのでお返ししますね」
「めっちゃ言うのな。そういうとこ好きだわー、話しやすい」
そう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
「え、子供扱い?馬鹿にされてるような……」
そのとき、誰かが駆け寄って水無月くんの手を掴んだ。
見上げるとお兄ちゃんがいた。
「帰ってこないと思ったら何してんだよ」
低い声でお兄ちゃんが水無月くんに言う。
「あー…ごめんごめん。サトミに良くやってるから癖で」
………ん??
「女子にこういうことすんのやめろよ、セクハラだぞ」
「え、でも、食べ物で餌付けしてるから大丈夫かな、って」
「私をなんだと思ってんのよ!猫や犬じゃないからね!」
水無月くんは、ははは…と笑いながら部屋に戻って行った。
いや、それよりも気になることがある………
「柏木さんも、戻るよ」
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと怒ってない?」
声がずっと低い。
「なんで俺が怒るの?」
やっぱり声が低い。
「いやぁ…、そうなのかな…って」
「戻るよ」
お兄ちゃんの後ろをついて部屋に戻った。
最近、あんまり話せてなかったから……今日は会えて嬉しかったんだけどな………
気持ちが落ち込んでいることに気づきながらも次に歌う曲を探した。
約束をしたカラオケボックスに到着した。
「マーオーちゃーん」
ボタンちゃんが大きく手を振っている。
私も振り返す。
「モミジさんは?」
「まだ来てないよ。それより…」
「よっ!」
ボタンちゃんの後ろから兎川くんが出てきた。
「兎川くん!?」
「暇なのでお呼ばれしました」
「ごめん!言ってなかったよね」
「大丈夫だよ。びっくりしただけ」
言ってくれればプレゼント用意したんだけどな…
「今日は6人でクリスマスパーティー楽しもうな!」
「6人!?」
「うん、せっかくだし、と思って誘っちゃった」
ボタンちゃんが「驚かせてごめん」と謝ってくる。
人数が多い方が楽しいから…いっか。
「遅くなっちゃったかしら」
モミジさんが到着………
お兄ちゃんもいる!
「お誘い頂きありがとうございます」
「リョウ、挨拶堅すぎでしょ」
お兄ちゃんの横には水無月くんがいた。
「ども」
「文化祭のチームメンバー全員に声かけたんだけど
やっぱ無理な人もいてさ。今日はこの6人!」
「長谷川さん、あざっす!クラスでの打ち上げなかったもんな」
「兎川くんが提案しないからだと思うけど?」
「俺ぇ!?」
「はいはい。人数揃ってるんだから受付するわよ」
モミジさんが率先して受付に向かう。
「柏木さん、話すの久々だね」
「水無月くん!確かに全然話してないかも」
「あとでちょっと話したいことあるんだけど…」
「はーい、206号室~!行くわよ~」
モミジさんから号令がかかった。
「いいけど、みんなで楽しんでからにしようか…?」
「だなー。今日は何食わそうかなー」
「わっ、また餌付けしようとしてるよ!」
水無月くんと会話しながら部屋に移動した。
それぞれ席に座り、店員さんが飲み物とスナック菓子を持ってくるまで会話を楽しんだ。
兎川くんから順番に歌うことになったのだが、みんな歌上手過ぎて驚きを隠しきれない私がいた。
次はお兄ちゃんの番だけど…なに歌うのかな………
元ビジュアル系のソロアーティストの曲!?
低音ボイスからのハイトーンボイス………上手すぎる………
普通に格好いい………
そう思い、目頭を押さえる私………
こんなハイレベルの中で……何を歌えば良いのやら………
と言うわけで、一旦、誰でも知っているキッズアニメソングをチョイス。
上手いも下手もないものを歌うことにした。
私はタイミングを見て、席を立ち、お手洗いに向かった。
女性用トイレは別の階だったのでちょっと移動に時間がかかってしまった。
部屋に戻るタイミングで水無月くんが外の椅子に腰掛けていた。
「どうしたの?気分でも悪い?」
そう話しかけると「柏木さんを待ってた」と言われた。
「前に俺の好きな人のこと話したの…覚えてる?」
私も水無月くんの隣に腰掛ける。
「覚えてるよ」
「フラれたらしいんだ、桜井に」
幼馴染ちゃん、告白したんだ!
「それで、まあ…俺は色々あったんだけど。そいつと付き合うことになった」
「え!?お、おめでとう!」
水無月くんは照れながら笑っている。
「ってか、彼女いるのにこんな所で油売ってていいの?」
「残念。彼女とは昨日一緒だったので問題ないのです。今日は家族と過ごすって」
水無月くんはダブルピースをかましてくる。
「なんか、イラッとするけど、おめでとう」
「柏木さんにしか話してなかったし、報告したくて。今日話したかったのは、これ」
「そっか。律儀にありがとうございます」
「いいクリスマスプレゼントでしょ?」
「人の惚気話がクリスマスプレゼントなの?要らないのでお返ししますね」
「めっちゃ言うのな。そういうとこ好きだわー、話しやすい」
そう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
「え、子供扱い?馬鹿にされてるような……」
そのとき、誰かが駆け寄って水無月くんの手を掴んだ。
見上げるとお兄ちゃんがいた。
「帰ってこないと思ったら何してんだよ」
低い声でお兄ちゃんが水無月くんに言う。
「あー…ごめんごめん。サトミに良くやってるから癖で」
………ん??
「女子にこういうことすんのやめろよ、セクハラだぞ」
「え、でも、食べ物で餌付けしてるから大丈夫かな、って」
「私をなんだと思ってんのよ!猫や犬じゃないからね!」
水無月くんは、ははは…と笑いながら部屋に戻って行った。
いや、それよりも気になることがある………
「柏木さんも、戻るよ」
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっと怒ってない?」
声がずっと低い。
「なんで俺が怒るの?」
やっぱり声が低い。
「いやぁ…、そうなのかな…って」
「戻るよ」
お兄ちゃんの後ろをついて部屋に戻った。
最近、あんまり話せてなかったから……今日は会えて嬉しかったんだけどな………
気持ちが落ち込んでいることに気づきながらも次に歌う曲を探した。
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