守ってあげます！！

お誘い

2

ブーッ、ブーッ



うららかな春の日差しに満腹感も手伝って、とろとろと意識を手放そうとしていた姫乃は、ケータイのバイブ音でパッと現実に引き戻された。

机の中に置いてあったので、響いて振動音が倍以上に感じる。


…心臓に悪い。


姫乃は先生が黒板に向いている隙にこっそりとケータイを抜き出して操作した。


メール？…誰だろ。


凌とひろかはここにいるし、パパはまだ仕事中だ。


ま、どーせ迷惑メールでしょ。
まったくよくやるわ。


我ながら悲しい結論だったが、他に思いつく人もいない。


あきれ気味に目を細めながら開いたメールの差出人名に、姫乃の目がどんどん見開いていく。


…ウソ。



差出人名は

『日比野 響子』


姫乃の中学時代の、友達だった。


「どう思う？」


放課後、相談があると凌とひろかに教室に残ってもらった。

外からは陸上部のかけ声が響いてくる。



チューッと紙パックのレモンティーを吸い上げながら、ひろかは目の前に突き出されたメール画面の文字を追った。


『久しぶり！今度の日曜、杏奈とそっちに遊びに行こうと思うんだけど、姫乃は予定空いてる？
連絡ちょうだい(*^^*)』


なんらおかしいところはない、普通のメールに見える。

「どうって？」


ゴクン、と飲み込んでから、ひろかはケータイから姫乃に視線を戻す。


「だから、…これ」

「どうもこうも、遊びのお誘いのメールにしか見えないけど」

「僕にもそう見える」

横から入ってきた凌もひろかに相槌を打つ。


「違うのよ！」

いきなり声を張り上げた姫乃に、二人は驚いて顔を見合わせた。