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白川 蛍
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警察の説明によると、ママはとても急いでいたらしく、黄色信号を渡ろうとして撥ねられたらしい。
撥ねた人は、「こんな時間に人がいると思わなかったから信号を無視してしまった」と…。
その後のことはよく覚えていない。
気がついたら夢ちゃんと夢ちゃんのママ、未夢さんがいて、私は病院で動かなくなったママと対面していた。
「…大丈夫?」
未夢さんが私に聞く。
何に対しての『大丈夫?』なのだろう。
みんなが目を赤くしていた。
そんな中、私はただ一人、泣いていなかったのだ――。
だってこんなの、現実感ないよ。
ドラマやマンガじゃないんだから。
私はゆっくりと顔にかけられた白い布をめくる。
「…ママ?」
やっぱり嘘だったんだよ。
だってこんなにきれいな顔してる。
ねぇ、もうばれちゃったよ?
早く起きてよ。
いつものように笑って
「あはは、ばれちゃった?
ごめんごめん。
ちょっと驚かせようと思って。
私が蛍を置いて死ぬワケないじゃん!」
って言ってよ。
「ねぇ、ママってば!」
私はママの手を取る。
ビクッ
撥ねた人は、「こんな時間に人がいると思わなかったから信号を無視してしまった」と…。
その後のことはよく覚えていない。
気がついたら夢ちゃんと夢ちゃんのママ、未夢さんがいて、私は病院で動かなくなったママと対面していた。
「…大丈夫?」
未夢さんが私に聞く。
何に対しての『大丈夫?』なのだろう。
みんなが目を赤くしていた。
そんな中、私はただ一人、泣いていなかったのだ――。
だってこんなの、現実感ないよ。
ドラマやマンガじゃないんだから。
私はゆっくりと顔にかけられた白い布をめくる。
「…ママ?」
やっぱり嘘だったんだよ。
だってこんなにきれいな顔してる。
ねぇ、もうばれちゃったよ?
早く起きてよ。
いつものように笑って
「あはは、ばれちゃった?
ごめんごめん。
ちょっと驚かせようと思って。
私が蛍を置いて死ぬワケないじゃん!」
って言ってよ。
「ねぇ、ママってば!」
私はママの手を取る。
ビクッ
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