4 / 44
1章
新婚初夜3☆
しおりを挟む浅く肩で息をしながら恥ずかしそうに目を伏せて顔を背けてしまった姫が両足をもそりとすりあわせた。
「可愛い声だった。もっと聞きたい」
「や……っ!」
耳元で囁くと、姫は肩を掴んでいた両手を離して口元を覆ってしまった。ならばなおさら引き出してみたいという欲望が駆り立てられるのが男というもの。
前合わせのネグリジェの裾は先ほどの戯れですでに白い腿が露わになっている。すぐにそこに手を伸ばしたい願望を押さえ込み、馬乗りになっていた姫の上から一度身を起こすと髪をかきあげ、一息呼吸を整えた。
姫の左横に寄り添い、首の下に腕を差し入れる。
首から背中に腕を巻き付け、反対の腕で肩を抱くと、姫は安堵を滲ませて猫のように脇の下に頬を寄せる。手は口元から離れ、夫の胸に添えられる。
なんともかわいらしいが――このまま安心されても、困る。
「……まさか、これだけで子供を授かると思っておいでかな?」
さりげなく姫の右腕を背中に誘導して動きを封じた上で、頬に指を滑らせて意地悪く問うと、ふわりと薔薇色に染まり、表情がぴりりと緊張した。
「……いえ」
「それはよかった」
この初々しさだとあり得なくもなかっただけに、笑みがこぼれた。
額に軽く口づけを落とすと肘を立て、半分だけ覆い被さるようにして妻の膝に触れる。
最初は腿の外側を2・3度、産毛をなぞるように往復する。それだけでも姫は身悶え足を固く閉じようとする。息を詰めて我慢しようとしている姿がまたいじらしい。
不意に、この純潔の姫君と躰を絡め合わせてひとつに繋ぐ瞬間を、そのときどんな表情で男の欲望を受け入れ、どんなふうに乱れ喘ぐのか――そんなことを想像してしまう。
そんなことを想像するだけでもぎゅんぎゅんと音がしそうな勢いで下半身に血が集まり、興奮に息が荒くなる。みっともなく息を乱したくはないからぐっと息を殺して想像を頭の隅に追いやると、膝から内腿をなぞって両足の間へと指を滑らせた。
手探りで薄い茂みをかき分け、まだ誰も触れたことのない秘密の花びらを捜し当てる。
「………っ!」
恥じらいに目を閉じていた姫がぴくんと身を震わせた。
姫の左手は夫の胸板を押し戻そうとし、右手は背中をわずかに引っ掻き、はっとした表情を浮かべた。右腕の自由が奪われていることに、ようやく気づいたらしい。
無垢で無防備な子猫が不安げに見上げてくると、ぞくぞくとした愉悦が背筋を駆けた。しかし、あまりにも泣き出しそうな顔をしているから解放することにした。
代わりに俯せの姫君に覆い被さるようにして手を重ねる。その手を握ってやれば、姫君はほうっと吐息をこぼした。
片手で脇を撫で、腰のラインをなぞる。
「は…ぁ…っ、あ、アレス……様ぁ……っ」
艶かしい吐息交じりに名を呼ばれれば、堪らない心地がする。
腰を軽く撫でても、うなじに軽くキスを落としても、姫は熱い吐息とともに私の名を呼んだ。
妖精のような容姿だけではない。声も、この反応も。まるで夢想の女を抱いているかのようで、相性がいいと言うのはこういうことだろうかとちらりと思う。
脱がす手間が惜しく着衣のまま楽しむのも悪くないと逸る気持ちを初夜なのだと抑え、愛撫に混ぜるようにして一枚ずつ妻を包む夜着をはぎ取っていく作業はもどかしくもあり、楽しくもあった。
身につけていたものを全部脱がせると、その小さな背中に覆い被さり、シーツの波と姫の身体の間に手を滑り込ませると円を描くように胸を揉む。
「……ふぁっ、あ、あ、あぁんっ! やだっ……こ…すれて……っ」
胸の先端がシーツに擦られる感覚に、姫君は腰を浮かせた。夫が覆い被さっているせいでそのくらいしか身じろぎできなかっただけだろうが、これでは後方から男を受け入れる姿勢だ。なおのこと鎌首をもたげる欲望の塊を両腿の間に挟み込むと、姫はびくりと身を震わせて凍えているような吐息を漏らした。
胸を弄んでいた右手でへそを撫でてから、陰の花びらの奥に手を伸ばす。
「痛かったら、言ってくれ」
姫は詰めた息を何度もつっかえさせながらなんとか呼吸している様子だが、耳元で囁くとゆっくり頷いた。それを確認してから、花びらに触れる。
しかしそこはほんのりと湿っているだけで、柔肌が指に張り付いた。前戯の反応が悪くないのに濡れていないのは、処女だからだろうか。
「…………~~ぃっ、ぁっ!」
快感を知ればすぐに良くなるだろうとやや強引に奥に挿入しようとすると、押し殺した悲鳴が閨の空気をわずかにふるわせた。
「痛いか?」
問うと、姫君は涙がこぼれそうになっている瞳をうっすら開けた。ほんの少し返事を迷うような沈黙があって、それから姫は恐々と首を横に振ったもののその眉間には深い皺が刻まれ、唇は色を失うほど強く歯をかみしめている。
あまりにも明白な苦痛と恐怖を押し殺してまで嘘をつくのは、夫を受け入れるためだろうか?
そう考えてしまえば、これ以上前戯に時間をかけるような自制はきかなかった。唾液でたっぷりと濡らした指で花びらと花びらの間を一撫でする。――と。
「……ぁあっ!!」
ぬるり、と。
花びらの奥は溶けるように熱く、潤んでいる。まるであたたかな蜂蜜の瓶に指を突っ込んだようだった。
その熱と熟れた果実のような甘い香りと感触はあまりにも強烈な誘惑でその奥へと誘いをかけ、誘われるままに指をそろりと奥に差し込んでいく。
「あっ……はぁぁっ……」
ぶるっと身を震わせた姫君が甘い吐息を漏らした。
くちゅりとゆっくりかき回せば、溢れそうなほどの熱い蜜がつぅっと指に絡みついてくる。
「あ……ぁあっ! やだ…こんなっ……ぁああっ!!」
生まれてはじめて体内に異物を押し込まれて背中を反らす姫君の悲鳴にも似た嬌声も、目元に滲む涙も、雄の本能を駆り立てるばかりだ。
「中はこんなに蕩けて……案外、色好みするんじゃないか?」
耳元で意地悪く囁くと、姫はきつく目を閉じ眉を寄せた。いつの間にか耳の横で命綱のようにシーツを掴んでいた手にも力が籠もる。同時にあたたかな蜜壷も指をきゅうと締め付け、蜜が溢れてくる。
たっぷりと花びらや花芽に蜜を纏わせ、少しだけ指を抜き差しする。
「ふっ…あっ、……あぁんっ!!」
くちゅんくちゅんと響く淫らな水音と艶めいた喘ぎ声、きゅうきゅうと指を締め付けてくる感触が堪らない。
「あんっ!あぁんっ、い、あっ、あっ…やだぁっ、い……や…ぁああ…んっ……!」
「ちゃんと慣らしておかないと後が辛いぞ。これをここに挿れるんだからな」
存在がわかるように両腿の間に挟ませている男根を揺らしながら耳元で囁くと、姫君はびくりと身をすくませた。
「痛いのは最初だけだ。すぐに気持ちよくなる」
「……は……い……っ」
目元に滲む涙に口づけを落としてからうなじに舌を這わせ、左手で胸に触れる。胸の先端をシーツに擦り付けるように転がせば、きつすぎるくらいに指を締め付けていた内壁が少しずつほぐれて、ひくんひくんと揺れた。
「う……はぁっ、はぁっ、はぁ…ふ…ぅんっ……あ、あ、アレス…さ…まぁ…っ!」
酩酊したように呂律の危うい声に、こっちまで酔ったような気分になってくる。
祝宴で彼女は年齢を配慮して勧められなかったが、その分は私が飲まされていた。ずっと妖精と彼女の関係が気がかりで全く酔えなかったのだが、それが今頃回ってきたのかもしれない。
指じゃなくいきり立った欲望の塊を荒々しく突き立てて、もっともっと激しく乱れ喘がせてみたい――湧き上がってくるそんな欲望を、彼女は初めて男を知るのだと宥め、もう少し馴らすべく指を二本に増やすに留める。
「あぁっ……あ、あ、あぁぁんっ!!」
ぐちゅんぐちゅんと水音が激しくなり、姫君はあられもない喘ぎ声を上げてはびくびくと身を震わせる。
「あっ……アレス様ぁ……も、だめ……く、るし……っ」
蕩けるような甘い声と表情を存分に味わっていると、ついに姫は音を上げた。
太腿の付け根に添えていた男根も彼女から溢れた蜜をたっぷりと纏っているし、妻の身体も十分夫を受け入れられるほど慣れた頃合いだ。
「ああ、でも――ここからが本番だ」
ここまでくれば、もはや痛みや恐怖だけということはないだろう。
濡れそぼった指を引き抜き、仰向けにした姫君の両膝を割ってぐいと体を滑り込ませる。
「……あ……っ、やっ…いや! そんな……死んでしまう……!!」
だが、姫は上半身をよじり、上にずりあがって逃げを打つ。
「はは、大丈夫だ。受け入れられるようにできてる」
はじめて男を迎え入れる女は多少なりとも怯えるものだと小さな悲鳴には耳を塞ぎ、逃げられないように細い腰を押さえ込む。姫は必死に両足を閉じようと暴れたが、力ずくで腰を寄せて猛々しい欲望の塊を潤った花びらにあてがう。
「……い…やぁ……こわい……ムリ……っ!」
「大丈夫だ。すぐに気持ちよくなるから―――」
恐怖に泣きじゃくっている妻を何度も大丈夫だと宥めながら、ぐっと先端が未開拓地を切り開こうとする。が。
「いやあぁぁぁあぁぁぁっ!!!!」
悲鳴。
それは快楽などとは程遠い悲鳴だった。
まるで強姦されているような、嫌悪と恐怖にまみれた悲鳴。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる