4 / 20
1日目
第3話 疑問
しおりを挟む
改めて彼女をよく見てみると、顔はまるで人形のように整っていて、肌の色は白人らしく白く透き通っていた。将来は誰もが振り返るような美女になるだろう。
「わたしを見てくれるのは嬉しいですが、はやく名前を言ってくれませんか?怒りますよ」
若干気になる発言があったが、とりあえずされるがままに回答することにした。今のこの状態についてももしかしたら教えてくれるかもしれない。教えてくれなければ自分で聞こう。
「俺の名前は、河井 颯太だ。銀河の河に、井戸の井と書いて河井だ」
俺はそう告げた。
「颯太お兄さんですね。ところで、颯太さんを縛っているのはどうしてなのか……気になりますか?」
「ああ。何で俺は今こんな身動きが取れない状態にされてるんだ?思い当たる節が全く無いわけじゃ無いというか、あり過ぎるけど、足枷とか必要あるの?」
「はい。訳を言いますね。まず、この家には10人住んでいます。私を入れて……です。それでですね、住んでいる10人というのがみんな女性でして……ごめんなさい。これでもう分かっちゃいますよね。颯太さんを捕獲した理由」
「……?」
この子は一体何を言っているんだろうか。言っている事というよりも推測にはなるが、彼女、いやこの家には10人いるんだっけか、なら彼女達はどうやら俺が考えているような理由で俺を捕まえている訳では無いようだ。
俺は彼女の言っている理由というのを全く察する事ができなかったが、何となくこれ以上問い糺すのも悪い気がしたのでこの点については追求する事をやめた。その代わり……
「なぁ、色々と気になっていることがあるから聞いても大丈夫?」
「はい。私が答えられるものならなんでもいいですよ」
「まず、君の名前を聞いても良いかな?さすがに、こちらが名前を教えてそちらが教えてくれないのは不公平だと思って」
俺がそう発言すると彼女は慌てながら答えてくれた。
「あわわ、それはごめんなさいでした。私の名前はティナです。颯太さん」
「ありがとう。ティナさん……えっと……ティナちゃんって呼んでも大丈夫?」
「はい!もちろんいいですよ。むしろ、そう呼んでくれた方が私、嬉しいです」
その少女ははにかんで笑った。ティナ……か。見た目もそうだけれど、名前もやっぱり一般的な日本人の名前ではないように思う。確か、日本国籍は他国籍とは一緒に取得できないはずだ。
もしかしたら、彼女は日本人だけど名前は外国人のまま……ってことなのかな。そもそも、この子の親はどこなんだ。
「変な質問かもしれないけど、ティナちゃんはこの家に住んでるんだよね?」
「はい。そうですよ」
「ティナちゃんのご両親はこの家に住んでいるの?」
「いいえ、住んでいませんよ。それに私にはもう、両親がいませんから」
俺はそれを聞いてしまったと思った。迂闊に聞くべきではなかったなと。この子にはこの子の家庭の事情というものがあるのだから無闇に踏み込むべき話題ではなかった。
「なんか、ごめん。えっと……それで……」
何とも言えない空気になってしまったこの空間で思考が迷路状態に陥り、何を話せばいいのかだんだんわからなくなってきた。心の中は故意では無いとは言え申し訳なさが募る。
そこで俺はこの後の自分がどのような処遇を受けるのかについて具体的に聞く事を忘れていた事に気がついた。ぶっちゃけ今の自分にとっては何よりも最も重要な事柄と言うべきだろう。結局彼女から察してという意図を飲み込めたが迚もかくても分からんものは分からない。
「最後の質問にするよ。この後俺ってどうなるの?いつこれを外してくれるのか聞いても良い?あ、ごめん。あと一つ。今って何時?」
俺は実に喜色満面の笑みを張り付けながら彼女に最後?の質問を投げかけた。正直なところ、せめて夜になる前に、日が暮れる前には帰りたい。親が帰って来る前までに家に帰っていなかったらどうなるか、変な心配を親には掛けたくないのだ。
「はい。一つ一つ答えますね。まず、この後颯太さんがどうなるのかについてですが、察してください。直接言うのは……恥ずかしいので……小声でなら良いですけれど。ごにょごにょ……。はい!答えました!えっと、その手錠とか足枷についてですが、そうですね……私達が飽きるまで……でしょうか。具体的には、もう二度とこんな機会は訪れないと思うので、ほぼ一生になるかもしれません。今は夕方の27時です」
「わたしを見てくれるのは嬉しいですが、はやく名前を言ってくれませんか?怒りますよ」
若干気になる発言があったが、とりあえずされるがままに回答することにした。今のこの状態についてももしかしたら教えてくれるかもしれない。教えてくれなければ自分で聞こう。
「俺の名前は、河井 颯太だ。銀河の河に、井戸の井と書いて河井だ」
俺はそう告げた。
「颯太お兄さんですね。ところで、颯太さんを縛っているのはどうしてなのか……気になりますか?」
「ああ。何で俺は今こんな身動きが取れない状態にされてるんだ?思い当たる節が全く無いわけじゃ無いというか、あり過ぎるけど、足枷とか必要あるの?」
「はい。訳を言いますね。まず、この家には10人住んでいます。私を入れて……です。それでですね、住んでいる10人というのがみんな女性でして……ごめんなさい。これでもう分かっちゃいますよね。颯太さんを捕獲した理由」
「……?」
この子は一体何を言っているんだろうか。言っている事というよりも推測にはなるが、彼女、いやこの家には10人いるんだっけか、なら彼女達はどうやら俺が考えているような理由で俺を捕まえている訳では無いようだ。
俺は彼女の言っている理由というのを全く察する事ができなかったが、何となくこれ以上問い糺すのも悪い気がしたのでこの点については追求する事をやめた。その代わり……
「なぁ、色々と気になっていることがあるから聞いても大丈夫?」
「はい。私が答えられるものならなんでもいいですよ」
「まず、君の名前を聞いても良いかな?さすがに、こちらが名前を教えてそちらが教えてくれないのは不公平だと思って」
俺がそう発言すると彼女は慌てながら答えてくれた。
「あわわ、それはごめんなさいでした。私の名前はティナです。颯太さん」
「ありがとう。ティナさん……えっと……ティナちゃんって呼んでも大丈夫?」
「はい!もちろんいいですよ。むしろ、そう呼んでくれた方が私、嬉しいです」
その少女ははにかんで笑った。ティナ……か。見た目もそうだけれど、名前もやっぱり一般的な日本人の名前ではないように思う。確か、日本国籍は他国籍とは一緒に取得できないはずだ。
もしかしたら、彼女は日本人だけど名前は外国人のまま……ってことなのかな。そもそも、この子の親はどこなんだ。
「変な質問かもしれないけど、ティナちゃんはこの家に住んでるんだよね?」
「はい。そうですよ」
「ティナちゃんのご両親はこの家に住んでいるの?」
「いいえ、住んでいませんよ。それに私にはもう、両親がいませんから」
俺はそれを聞いてしまったと思った。迂闊に聞くべきではなかったなと。この子にはこの子の家庭の事情というものがあるのだから無闇に踏み込むべき話題ではなかった。
「なんか、ごめん。えっと……それで……」
何とも言えない空気になってしまったこの空間で思考が迷路状態に陥り、何を話せばいいのかだんだんわからなくなってきた。心の中は故意では無いとは言え申し訳なさが募る。
そこで俺はこの後の自分がどのような処遇を受けるのかについて具体的に聞く事を忘れていた事に気がついた。ぶっちゃけ今の自分にとっては何よりも最も重要な事柄と言うべきだろう。結局彼女から察してという意図を飲み込めたが迚もかくても分からんものは分からない。
「最後の質問にするよ。この後俺ってどうなるの?いつこれを外してくれるのか聞いても良い?あ、ごめん。あと一つ。今って何時?」
俺は実に喜色満面の笑みを張り付けながら彼女に最後?の質問を投げかけた。正直なところ、せめて夜になる前に、日が暮れる前には帰りたい。親が帰って来る前までに家に帰っていなかったらどうなるか、変な心配を親には掛けたくないのだ。
「はい。一つ一つ答えますね。まず、この後颯太さんがどうなるのかについてですが、察してください。直接言うのは……恥ずかしいので……小声でなら良いですけれど。ごにょごにょ……。はい!答えました!えっと、その手錠とか足枷についてですが、そうですね……私達が飽きるまで……でしょうか。具体的には、もう二度とこんな機会は訪れないと思うので、ほぼ一生になるかもしれません。今は夕方の27時です」
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
男女比:1:450のおかしな世界で陽キャになることを夢見る
卯ノ花
恋愛
妙なことから男女比がおかしな世界に転生した主人公が、元いた世界でやりたかったことをやるお話。
〔お知らせ〕
※この作品は、毎日更新です。
※1 〜 3話まで初回投稿。次回から7時10分から更新
※お気に入り登録してくれたら励みになりますのでよろしくお願いします。
ただいま作成中
【R18】××××で魔力供給をする世界に聖女として転移して、イケメン魔法使いに甘やかされ抱かれる話
もなか
恋愛
目を覚ますと、金髪碧眼のイケメン──アースに抱かれていた。
詳しく話を聞くに、どうやら、私は魔法がある異世界に聖女として転移をしてきたようだ。
え? この世界、魔法を使うためには、魔力供給をしなきゃいけないんですか?
え? 魔力供給って、××××しなきゃいけないんですか?
え? 私、アースさん専用の聖女なんですか?
魔力供給(性行為)をしなきゃいけない聖女が、イケメン魔法使いに甘やかされ、快楽の日々に溺れる物語──。
※n番煎じの魔力供給もの。18禁シーンばかりの変態度高めな物語です。
※ムーンライトノベルズにも載せております。ムーンライトノベルズさんの方は、題名が少し変わっております。
※ヒーローが変態です。ヒロインはちょろいです。
R18作品です。18歳未満の方(高校生も含む)の閲覧は、御遠慮ください。
今日も殿下に貞操を狙われている【R18】
毛蟹葵葉
恋愛
私は『ぬるぬるイヤンえっちち学園』の世界に転生している事に気が付いた。
タイトルの通り18禁ゲームの世界だ。
私の役回りは悪役令嬢。
しかも、時々ハードプレイまでしちゃう令嬢なの!
絶対にそんな事嫌だ!真っ先にしようと思ったのはナルシストの殿下との婚約破棄。
だけど、あれ?
なんでお前ナルシストとドMまで併発してるんだよ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる