6 / 7
三つ子のお話
はずれー
しおりを挟む
「さあ、私は誰でしょう?」
友人は、笑顔で近づきました。
私は、三つ子の1人の名前を口にします。
「…多美ちゃん」
「はずれー 私、奈美」
無言で見つめる私。
友人の声が小さくなります。
「じゃ、じゃあ…佐美」
「自分が誰なのかを、『じゃあ』で決めたらダメよ?」
上目遣いで、多美ちゃんは私を見ました。
「佳奈には…私達3人の見分け、付くんだ。」
「うーん。そっくりさんだから、多分見た目だけでは…判んない かなぁ」
「?」
「キャラで…識別 してる。」
「…え?」
訝しむ多美ちゃんに、私は微笑みます。
「例えば…奈美ちゃんと佐美ちゃんは…こういう事しないでしょ?」
拗ねて そっぽを向く多美ちゃん。
その頬を、私は軽く指で突きます。
「黙っていられたら…多分、判んないと思うけど。」
「…そうか!」
多美ちゃんは、何かを閃いたの様に、虚空を見つめました。
重要事項を確認するかの様に、ブツブツ言い始めます。
微かに私の耳に届く「…なるべく、喋らない様にしないと」の呟き。
「まさか多美ちゃん、次は 見分けられない様にしようとか…」
「─ 考えてる。」
無意識の私の右手の指が、自分の額を押さえます。
「聞いても…良い かな?」
「ん? 」
「…何で、見分けられない努力なんか…する訳?」
「あんまり簡単に見分けられると…何か悔しいんだよね。」
「はぁ…!?」
「三つ子の1人としての、アイデンティティの問題!!」
「ア、アイデンティティ?」
熱くなった多美ちゃんは、私に顔を近づけました。
「『そっくりで見分け付かないっ』て言われてこそ、三つ子だと思うんだ!」
勢いに押された私は、数歩後退します。
「ごめん。三つ子の経験のない私には…良く判らないかも。。。」
友人は、笑顔で近づきました。
私は、三つ子の1人の名前を口にします。
「…多美ちゃん」
「はずれー 私、奈美」
無言で見つめる私。
友人の声が小さくなります。
「じゃ、じゃあ…佐美」
「自分が誰なのかを、『じゃあ』で決めたらダメよ?」
上目遣いで、多美ちゃんは私を見ました。
「佳奈には…私達3人の見分け、付くんだ。」
「うーん。そっくりさんだから、多分見た目だけでは…判んない かなぁ」
「?」
「キャラで…識別 してる。」
「…え?」
訝しむ多美ちゃんに、私は微笑みます。
「例えば…奈美ちゃんと佐美ちゃんは…こういう事しないでしょ?」
拗ねて そっぽを向く多美ちゃん。
その頬を、私は軽く指で突きます。
「黙っていられたら…多分、判んないと思うけど。」
「…そうか!」
多美ちゃんは、何かを閃いたの様に、虚空を見つめました。
重要事項を確認するかの様に、ブツブツ言い始めます。
微かに私の耳に届く「…なるべく、喋らない様にしないと」の呟き。
「まさか多美ちゃん、次は 見分けられない様にしようとか…」
「─ 考えてる。」
無意識の私の右手の指が、自分の額を押さえます。
「聞いても…良い かな?」
「ん? 」
「…何で、見分けられない努力なんか…する訳?」
「あんまり簡単に見分けられると…何か悔しいんだよね。」
「はぁ…!?」
「三つ子の1人としての、アイデンティティの問題!!」
「ア、アイデンティティ?」
熱くなった多美ちゃんは、私に顔を近づけました。
「『そっくりで見分け付かないっ』て言われてこそ、三つ子だと思うんだ!」
勢いに押された私は、数歩後退します。
「ごめん。三つ子の経験のない私には…良く判らないかも。。。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
めもあやに
紀之介
キャラ文芸
綾さんのお話
1.お腹が空いた!
- 勝手に人の鞄を漁ったら駄目よ? -
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
2.どぉしてぇ?
- 秋にはサッカーがしたくなるじゃない? -
(綾さんと翔くんのお話)
3.おはよぉ…
私だけ除け者?
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
月見月は紅染月
紀之介
キャラ文芸
葉月さんのお話
1.物好き…
- 幽霊が出る場所、教えてあげる! -
(葉月さんと謎の女性のお話)
2.日付が変わった瞬間に
- とにかく、初詣に行こうか -
(葉月さんと如月さんと霜月さんのお話)
3.私だけ。
- 2人で撮った写真なのに、私だけしか写ってません -
(葉月さんと都さんのお話)
4.お願いした?
神頼みの作法?
(葉月さんと栞さんのお話)
*クッキー断ちのお話
5.気配。
画期的な願掛け?
(葉月さんと芽生子さんのお話)
6.クッキー断ち。。。
願掛けが叶う理由?
(葉月さんと如月さんのお話)
真銀さんとラブレター
紀之介
ライト文芸
ラブレターを出したら…
(真銀さんと野上君のお話)
*始まりのお話
秘密の。。。
放課後に野上君が、下駄箱付近をウロウロしていた訳
*パラレルな後日談
その1:大きな花丸
- 行くの?行かないの? -
その2 :赤いスタンプ
- 一緒に、何処に行く? -
その3:どうかした?
- 人生初ラブレターだから、大事に仕舞っておく♡ -
琴音さんと宏和君のお話
紀之介
キャラ文芸
─ 琴ちゃん それは反則だから
1.頑張ったんだよ!?
琴音さんがデートに遅刻した理由
2.希望かな。
バレンタインには手作りチョコ?
3.駄目でしょ!
ありえないんだからね!!
手帳!
紀之介
ライト文芸
手帳の予定に関するお話
1.週末空いてる?
スケジュール管理は手帳で?
(二葉さんと美卯さんのお話)
2.何かあるの?
植木市に行く理由
(文月さんと睦月さんのお話)
3.スケジュール。
予定されてない行動は一切取らない
曜子さんと俺くんのお話
紀之介
キャラ文芸
見初められたのが運の尽き
1.問答無用で。
ガキみたいなイタズラ、止めてくれるかな
2.退屈なのかな?
デート中の連発はご法度
3.された記憶がない
この状況では、何を言っても俺の負けだ。
でーと。
紀之介
ライト文芸
デート中のお話
1.こんな所に。。。
デートより読書!
(和香さんと正也君のお話)
2.災難だと思って。。。
眼鏡屋デート?
(茜さんと雅紀君のお話)
3.大丈夫だよねぇ
冬になる前に!
(麗子さんと直衛くんのお話)
4.了解。。。
─ そこまで あからさまだと、いっそ清々しいな
(竹中さんと僕のお話)
5.最悪。。。
─ ううう
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる