3 / 3
どういう理屈なの!?
しおりを挟む
「箱が…2つ?」
部屋に足を踏み入れた如月さんは、テーブルに近づきました。
後に続いた霜月さんが、ドアを閉じます。
「じいちゃんの秘蔵品は、その中」
「ふーん」
「どっちから見る?」
「同じ大きさの箱かぁ…」
右手の人差し指で、自分の鼻の頭を軽く突付く如月さん。
「大小の箱なら、小さい方を選ぶのが正解なんだろうけど」
「─ 舌切雀?」
「それが様式美だし」
霜月さんが、如月さんに体を寄せます。
「でも あれって…大きな葛籠を選んだのがお婆さんだったから、外れだったと思う」
「もしお爺さんが選んでたら、中身はお宝だったって事?」
「そう。」
「…まあ雀の目的は、あくまでもお爺さんへの恩返しだしねぇ」
如月さんの腕に、霜月さんは腕を絡めました。
「つまり、お婆さん小さい葛籠を選んでいても…中は化物」
「理屈では、そうなるよね」
「じゃあ…私にとっての如月は、どちらでしょう?」
予期しない問い掛けに、如月さんが固まります。
正面を向いたままの霜月さんは、目だけで様子を伺いました。
「化物なんか入ってないから、大丈夫。」
「…」
「そんな事したら…私にも被害が及ぶしねぇ」
「ちょっと霜月…」
自分に組まれた腕を、如月さんが邪険に振り解きます。
「─ 私が、意地悪婆さん認定されてる様に、聞こえたんだけど?」
「被害妄想は、いけないねぇ。。。」
----------
「この虫眼鏡みたいなの…」
最初に選んだ箱に入って物を取り出した如月さん。
レンズ越しに近くのものを透かして見ます。
「大きくも、小さくもならないんだけど」
霜月さんは、どこからか10円玉を取り出し、手の平に載せました。
「これを見てみて」
「え? 硬貨が…1000円札に見えるんだけど?!」
「それ、何故かお金が、100倍に見える拡大鏡なんだって」
「…」
「100円玉なら、1万円札に見える」
「な、何で?!」
「そう言うアイテムだから?」
「一体、どういう理屈なの!?」
「この手のアイテムに、そう言う事を求めるのは、無粋ってものだよ。」
----------
「…ボタンが多い大型電卓?」
もう一つの箱の中を見て、首を捻る如月さん。
手を伸ばした霜月さんが、機器を取り出します。
「これはねぇ、色々入力すると…真実の年齢が判る計算機」
「真実の年齢って…」
「実年齢から、無駄に過ごした年月を引いた年齢」
手にした計算機のボタンを、霜月さんは指で適当に叩きました。
「例えば…実年齢が20才でも、有意義に過ごした年月が10年しか無ければ、その人の真実の年は10才なんだって」
「…」
「自分の今までの人生の日々の大半が無駄だと判断されるのは…中々の非情だよねぇ」
沈黙する如月さんに、霜月さんが意味ありげに微笑みます。
「確か、如月の生年月日は…」
「え? 何をするつもり?!」
「ちょっと、如月のデータを、入れてみようかと」
「そんな事、しなくて良いから!」
「まあまあ。どうせインチキだし♡」
「しーもーづーきー!!」
霜月さんの手から、如月さんは乱暴に計算機を奪いました。
「─ あんたの方が私より、よっぽど意地悪婆さんに相応しいから!」
部屋に足を踏み入れた如月さんは、テーブルに近づきました。
後に続いた霜月さんが、ドアを閉じます。
「じいちゃんの秘蔵品は、その中」
「ふーん」
「どっちから見る?」
「同じ大きさの箱かぁ…」
右手の人差し指で、自分の鼻の頭を軽く突付く如月さん。
「大小の箱なら、小さい方を選ぶのが正解なんだろうけど」
「─ 舌切雀?」
「それが様式美だし」
霜月さんが、如月さんに体を寄せます。
「でも あれって…大きな葛籠を選んだのがお婆さんだったから、外れだったと思う」
「もしお爺さんが選んでたら、中身はお宝だったって事?」
「そう。」
「…まあ雀の目的は、あくまでもお爺さんへの恩返しだしねぇ」
如月さんの腕に、霜月さんは腕を絡めました。
「つまり、お婆さん小さい葛籠を選んでいても…中は化物」
「理屈では、そうなるよね」
「じゃあ…私にとっての如月は、どちらでしょう?」
予期しない問い掛けに、如月さんが固まります。
正面を向いたままの霜月さんは、目だけで様子を伺いました。
「化物なんか入ってないから、大丈夫。」
「…」
「そんな事したら…私にも被害が及ぶしねぇ」
「ちょっと霜月…」
自分に組まれた腕を、如月さんが邪険に振り解きます。
「─ 私が、意地悪婆さん認定されてる様に、聞こえたんだけど?」
「被害妄想は、いけないねぇ。。。」
----------
「この虫眼鏡みたいなの…」
最初に選んだ箱に入って物を取り出した如月さん。
レンズ越しに近くのものを透かして見ます。
「大きくも、小さくもならないんだけど」
霜月さんは、どこからか10円玉を取り出し、手の平に載せました。
「これを見てみて」
「え? 硬貨が…1000円札に見えるんだけど?!」
「それ、何故かお金が、100倍に見える拡大鏡なんだって」
「…」
「100円玉なら、1万円札に見える」
「な、何で?!」
「そう言うアイテムだから?」
「一体、どういう理屈なの!?」
「この手のアイテムに、そう言う事を求めるのは、無粋ってものだよ。」
----------
「…ボタンが多い大型電卓?」
もう一つの箱の中を見て、首を捻る如月さん。
手を伸ばした霜月さんが、機器を取り出します。
「これはねぇ、色々入力すると…真実の年齢が判る計算機」
「真実の年齢って…」
「実年齢から、無駄に過ごした年月を引いた年齢」
手にした計算機のボタンを、霜月さんは指で適当に叩きました。
「例えば…実年齢が20才でも、有意義に過ごした年月が10年しか無ければ、その人の真実の年は10才なんだって」
「…」
「自分の今までの人生の日々の大半が無駄だと判断されるのは…中々の非情だよねぇ」
沈黙する如月さんに、霜月さんが意味ありげに微笑みます。
「確か、如月の生年月日は…」
「え? 何をするつもり?!」
「ちょっと、如月のデータを、入れてみようかと」
「そんな事、しなくて良いから!」
「まあまあ。どうせインチキだし♡」
「しーもーづーきー!!」
霜月さんの手から、如月さんは乱暴に計算機を奪いました。
「─ あんたの方が私より、よっぽど意地悪婆さんに相応しいから!」
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
月見月は紅染月
紀之介
キャラ文芸
葉月さんのお話
1.物好き…
- 幽霊が出る場所、教えてあげる! -
(葉月さんと謎の女性のお話)
2.日付が変わった瞬間に
- とにかく、初詣に行こうか -
(葉月さんと如月さんと霜月さんのお話)
3.私だけ。
- 2人で撮った写真なのに、私だけしか写ってません -
(葉月さんと都さんのお話)
4.お願いした?
神頼みの作法?
(葉月さんと栞さんのお話)
*クッキー断ちのお話
5.気配。
画期的な願掛け?
(葉月さんと芽生子さんのお話)
6.クッキー断ち。。。
願掛けが叶う理由?
(葉月さんと如月さんのお話)
めもあやに
紀之介
キャラ文芸
綾さんのお話
1.お腹が空いた!
- 勝手に人の鞄を漁ったら駄目よ? -
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
2.どぉしてぇ?
- 秋にはサッカーがしたくなるじゃない? -
(綾さんと翔くんのお話)
3.おはよぉ…
私だけ除け者?
(綾さんと一子さんと佳奈さんのお話)
琴音さんと宏和君のお話
紀之介
キャラ文芸
─ 琴ちゃん それは反則だから
1.頑張ったんだよ!?
琴音さんがデートに遅刻した理由
2.希望かな。
バレンタインには手作りチョコ?
3.駄目でしょ!
ありえないんだからね!!
曜子さんと俺くんのお話
紀之介
キャラ文芸
見初められたのが運の尽き
1.問答無用で。
ガキみたいなイタズラ、止めてくれるかな
2.退屈なのかな?
デート中の連発はご法度
3.された記憶がない
この状況では、何を言っても俺の負けだ。
でーと。
紀之介
ライト文芸
デート中のお話
1.こんな所に。。。
デートより読書!
(和香さんと正也君のお話)
2.災難だと思って。。。
眼鏡屋デート?
(茜さんと雅紀君のお話)
3.大丈夫だよねぇ
冬になる前に!
(麗子さんと直衛くんのお話)
4.了解。。。
─ そこまで あからさまだと、いっそ清々しいな
(竹中さんと僕のお話)
5.最悪。。。
─ ううう
真銀さんとラブレター
紀之介
ライト文芸
ラブレターを出したら…
(真銀さんと野上君のお話)
*始まりのお話
秘密の。。。
放課後に野上君が、下駄箱付近をウロウロしていた訳
*パラレルな後日談
その1:大きな花丸
- 行くの?行かないの? -
その2 :赤いスタンプ
- 一緒に、何処に行く? -
その3:どうかした?
- 人生初ラブレターだから、大事に仕舞っておく♡ -
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる