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44話
しおりを挟むモンスターが、棚の方にいく。
ほう。
このゲームの基本システムは恐怖心だ。
そこに忠実に戻ったか。
モンスターは、棚をごそごそとしている。
何を出してくるんだ。
拷問器具でも出すのかと、恐怖心が少し蘇ってくる。
うーん、この働きモンスター。
モンスターが、包丁を出し、机に置いた。
指でも詰めさせられるか。
体中切り落とされ、欠損させられ、えぐり取られるか。
切り刻まれるか。
じわじわと、恐怖を与えていくつもりか。
だが、僕はその程度の事では今更、このゲームの恐怖というシステムに支配されはしない。
なんだろうとくるならこい。
僕は、もう怯えない。
そう思った。
が、モンスターが次に取る行動は、怖かった。
拷問による恐怖とは、日常に使われる道具でこそ与えられるのだ。
このモンスターは、そこまで分かりつくしている。
恐怖というものを分かりつくしているんだ。
や、やめろ。
それはだめだ。
やめてくれ。
声も出せないが、僕は必至に懇願した。
モンスターとは、人間に対してこうも残酷な行いをできるのか。
モンスターは、やはり全ての人間にとって恐怖と憎しみの対象なんだ。
僕は間違っていなかった。
間違っていたのは、モンスターとの同盟だ共存だの理解だののたまっているやつらである。
僕は確信した。
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