婚約者は病弱な幼馴染が大切なようですが私の中の何かがぷつりと切れて婚約者の幼馴染に喝。泣けば許されると思ってるんですね。許しませんよ

１話 いつもの使いの者は寡黙で細身の引き締まった長身イケメン

　「ビロノ！シイアスの体調が悪いようだ！行ってくる！」
　はぁ。またですか、いつもの使いの者が来ると同棲している婚約者のオルヒロスは幼馴染のアイザックス伯爵家令嬢シイアスの元に向かうようです。
いつもの事と言えばいつもの事なんですが、今までずっと辛かったのです。
ドナムス王国の伝統として王太子のオルヒロスとドナムス王国第一聖女の私が結婚するのは至極当然で避けようがないうえ
両親にも無理矢理結婚を決められたとはいえ、それでも私はオルヒロスの婚約者なのです。
それなのにオルヒロスは幼馴染の病弱なシイアス令嬢の元に行ってしまうのです。
　『シイアスがが病気だから』『シイアスが不安がっているから』
いつもの使いの者が来てはまぁ何かと理由をつけてはシイアス令嬢に会いに行くのです。
私もオルヒロスの事を愛しているわけではないですが、それでもここまで舐めた真似をされては傷つきますしもう我慢の限界です。
　「体調が悪いって、貴方が行っても何か出来るわけじゃないでしょう」
　オルヒロスが行って何かになるならまだ良いのですが、オルヒロスが行った所で何にもなりません。
それなのに頻繁に会いに行っても無駄です。
それならもうそんな事は辞めてください。
貴方ももう独身ではなくて第一聖女ビロノ・リオーダンの婚約者なのですよ。
少しは自覚をもってください。
こんな事、もうとっくにドナムス王国を通り抜けペヤロノス大陸中に知れ渡っています。
それでもこんな不貞行為を続けるなんて、下衆ですね。
　「シイアスは病弱なんだっ！精神も弱いっ！俺様が守ってやらなければいけないんだっ！」
はぁ。どうしようもないですね。
そんなに幼馴染の方が大事なら幼馴染さんと結婚すればいいものを。
まぁ、無理なんでしょうけどね(笑)
なにせシイアス令嬢は病弱だという事を理由に怠けて今まで何もしてきませんでしたから、聖女どころか彼女に
ドナムス王国王妃は務まらないでしょう。
オルヒロスの婚約者候補にも上がらなかった何もできないボンクラポンコツコツ子ちゃんです。
もしこのまま私達が結婚する事になっても、病弱ポンコちゃんは悲劇のヒロイン気取りの愛人ちゃんでしょうね。
見下せるわぁ。
なんてクズなのかしら。
殿方に媚びる事しか出来ないなんて、こんな女性が女性の評価を下げているのです。
こんな媚び子ちゃんがいるから、私のように努力して実力で成り上がった女性も
女性とは殿方に媚びを売る文句を売る性を売りにするだけの劣った性別だと言われるのです。