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婚約破棄ですか。死んで詫びて下さいね。真実の愛に目覚めても婚約破棄が死刑なのは変わりませんよ

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「突然で悪いが、お前とは婚約破棄だスレナ」
 はぁ?別に貴方の事なんてまったく愛してないけれど、
政略結婚だろうと親が持ってきた縁談だろうがなんだろうと婚約者になると最終決定したのは私の意思だ。
それを婚約破棄と言われはいそうですか分かりましたと言っては男爵令嬢はやっていけない。
要は舐められているという事である。
慰謝料を貰おうが、周囲からの評価は伯爵令息に舐められた男爵令嬢である。
王族貴族とは面子で生きている者。とにかく舐められては生きて行けない生き物なのである。
 「貴方も伯爵令息なのだから、分かるでしょう。貴族令息は舐められては生きていけないという事ぐらい」
 「分かるさ。分かった上で言ってるんだ。つまり男爵令嬢としての人生を終えろと言う事だ」
 受け入れられるわけがない。
 「舐められては聖女としても格が下がるだろうが、ひっそりと祈っていたらどうだ。
 "私は聖女だから舐められて婚約破棄されてもひっそりと祈って生きて行きますぅ。
襲ったりしないで下さいねぇ"ってよぉ」
 「自害して詫びなさい。それで婚約破棄を受け入れてあげるわ」
 「聖女たま(^ω^)ペロペロ(*´з`)」
 っ!急に首筋を舐められた。
 「聖女たまをぺろぺろ舐めちゃった~。きゃはははは」
 甘く甲高い声の持ち主が不快を極めた発言をぶつけてくる。
 「ねぇ~、聖女たま~今私、聖女たまの首取れてたよ。いいの?ねぇいいの~」
 良いわけがない。今、この甘く甲高い声を出す少女が本気なら私は生きていただろうか。
 「紹介しようスレナ。彼女が俺の妻になるララニア・サルコリだ」
 知っている。知らないわけがない。
 ナスンベル王国の王族貴族騎士武に生きる者で今、この少女ララニアを知らない者はよっぽどのハムスターちゃんである。
 酒場で息巻く荒くれ者でも知っている。
 平民ながら成り上がりで仲間を兵を手に入れ、今や騎士では敵わない兵力を持った少女である。
 「平凡伯爵令息ピンケズが、平民を妻にするなんて随分と思い切った事をするわね」
 "平凡伯爵令息ピンケズ"の称号を持つピンケズが、こんな事を出来るとは思っていなかった。
 もし彼が婚約破棄するとしても、家柄も良く無難な相手を選ぶだろうとぼんやりと思っていた。
 真実の愛の目覚めに巻き込まれてはたまったものではない。
 「でもでもピンケズ~。婚約破棄っていけない事なんだよぉ~。正統な理由がなければ処刑されちゃうの」
 「ああ。婚約破棄を申し込まれた婚約者が処刑を望めばな」
 誘っている。誘われている。舐められている。
 どくどくと心臓が鼓動する。
 「あ、ララ分かっちゃった。聖女たまは自分じゃピンケズに勝てないからピンケズの処刑をお願いするんだよぉぅ。
"わたちは婚約者に勝てないからぁ、怖いからぁ、処刑してぇ。おねが~い"って殿方に媚て言うんだよぉ」
 「ああ、きっとそうだ。ララニアは賢いな」
 「処刑されるのが嫌だからって、言い訳考えるじゃないの」
 「お姉様~大好き大好き~」
 タックルされてから妹の甘く甲高い声が聞こえてきた。
 タックルされるまでまったく気づかなかった。
 自称病弱で私の物をなんでも欲しがる妹がもし本気なら、今私は。
 ちょっと待って。私って弱い?
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