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66話 「小指をひねります」 私はそう言ってから、少女の小指を捻りました。

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 「うわぁぁぁん」

 少女は、みっともなく泣き出しました。

 「たいしてかわいくもない、美少女でもないのに」
 「そんな泣き方はみっともないわよ」
 「泣きやみなさい」

 少女が泣きやまないので、剣を少し喉に刺してみました。

 「びぃぃぃ」

 はぁ、泣きやませようとしたというのに、どうして泣き止んでくれないんでしょうか。

 しかし、ここで苛立ち殺すわけにもいきません。

 剣を喉から抜き、また別の、もっと優しい言葉を投げかけようと考えています。
 うーん、なんて言えば泣き止むのかしら。

 「もう、泣き止みなさい」

 なにか、こんなたいして可愛くもない少女のために色々と言葉を生み出すのが面倒なんで、直球で行きました。

 「私の事、殺さない?」

 「ええ、殺さないわ」

 殺したら、私が困ります。

 「悪いのは、端守義徒よ」

 なんか、面倒なのと時間をかけてられる状況でないというのもあって、端折り気味に強引に話をもっていきました。
 まぁ、義徒が悪いのは事実ですから、あながち間違っているとも言えませんよね。
 
 「え」
 「悪いのは、てめぇでしょ」

 うーん、この少女は今一つ、物分かりが悪いようですね。
 困りましたね。
 
 「ぐぼぉっ」

 とりあえず、困ったので、少女の腹に蹴りを入れておきました。

 「え、なんで」
 「てめぇは私の事を殺さないんじゃないの」

 「ええ、そうね」
 「殺しはしないわ」
 「殺しはね」

 まだ、分からないようですね。
 にこりと微笑み、少女の小指を一本握ります。
 
 「え、え、それ、どうするの、てめぇ」

 「小指をひねります」

 私はそう言ってから、少女の小指を捻りました。
 たいして可愛くない少女の小指を捻った感覚が、私の手に残っています。
 これが、フルダイブ型VRMMORPGね。
 このエタファンの中には、10億人以上がログインして、ログアウトするにもできない状況にあるわけです。
 それは、どれだけ少なく見積もっても、1億人以上の少女がログインして逃げられないという状況なわけです。
 1億人以上の少女が、私から逃れられない、籠の中の囚われの少女であるとも言えます。
 ふふふ、フルダイブ型VRMMORPGからログアウトできないデスゲームなんて、とても良いですね。
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