39 / 64
紛失の日記
しおりを挟む
綾香は坂本と大地に純真が使っていた書斎に案内した。
六畳の和室で日記を書いたり読書をする机と本棚に所狭しと本が並んであった。
「ここからここまでが、父の日記です」
いくつかの本棚が並んでいた。
日記帳は一つの本棚は一杯に、隣のもう一つの本棚の半分以上は占める割合で二百冊以上はあった。
「お父さんは本当に長い間日記を書かれていたのですね…」
大地は一番古いであろう日記を手に取りページをめくった。
平成元年からの記録であった。
「これを見ると中学校時代からずっと日記をつけ続けられてますね」
父がつけ始めた日記の事を木村が話すと「中学生になったくらいから書き始めたと話していました。
かれこれ三十年以上書き続けていたのに急に止めるなんて考えられないんです。
現実に妹も父が殺される数日前にも日記帳を前にした父を書斎で見ているんですよ…」
綾香は少し捲し立てるような口調で言った。
「これだけ毎日書かれていたのですから途中でやめるとは考えづらい事は事実ですよね!」
大地も相槌を打ちながら綾香の考えに共感したのだ。
坂本もその事が不自然であると感じた。
そして残された日記の中になんらかのヒントがあるかも知れないと木村と調べる事にした。
殺される半年前の日記が一番新しいものであった。
だがその日記の中には日記をつけるのを止めると匂わす文章は何処にも見当たらなかった。
ただ、警察内部の不審な人物が存在する事は書かれていた。
おそらく次の日の日記には書くつもりでいたのかも知れなかった。
「純真さんは内部の不審な人物が誰であるかは見当がついていたのかも知れませんね…」
坂本は日記を読みながらそれからの日記の内容を予想した。
「そう考えると、犯人は内部の人物が関係してるって事じゃないですか…!」
大地は大胆で且つ警察内ではあってはならない予測を言い放った。
「いや、まだあくまでもその可能性があるって事を言っているだけだ。
なんの証拠もないのに上にその話はまだできないし、してはいけないのは君もよくわかっている筈じゃないか…!」
坂本はオフサイド気味に暴走しそうな大地に向かって一言釘を刺した。
「一つでも確たる証拠を掴んでからではないと警視総監には連絡はできないぞ」
その言葉は木村にとって苦い言葉に聞こえた。
何故なら昨夜父親、つまり警視総監から「頑張ってやるのはいいが、今回の件は警察の威信と信用がかかっている。
絶対に裏なしで動くことだけはしてはいかんぞ!」
と、口が酸っぱくなるほど言われていたのだ。
父が警視総監ゆえ、確実にエリート中のエリートだが偉ぶったところがまるでないのと容姿端麗な為、女性陣からの支持も高い。
ただ彼女らしい女性はいなく、二十四になってもまだ結婚する気もないらしい。
綾香を人目見た瞬間に「この人を守ってあげたい」という気になったのは、綾香が可愛らしかっただけではなかった。
現職のバリバリの警官の父親を殺されただけではなく、見えない敵に立ち向かわなくてはならないか弱い女性の力になりたいと思うのは当然と言えば当然のことなのかも知れなかった。
それに合わせて綾香の醸し出す色気というか母譲りの美貌だった。
背は百六十七センチで体重は五十二キロだが出るところは出ていてスタイルも抜群だった。
一目見て大地がやる気が倍増したのはいうまでもない事だった。
六畳の和室で日記を書いたり読書をする机と本棚に所狭しと本が並んであった。
「ここからここまでが、父の日記です」
いくつかの本棚が並んでいた。
日記帳は一つの本棚は一杯に、隣のもう一つの本棚の半分以上は占める割合で二百冊以上はあった。
「お父さんは本当に長い間日記を書かれていたのですね…」
大地は一番古いであろう日記を手に取りページをめくった。
平成元年からの記録であった。
「これを見ると中学校時代からずっと日記をつけ続けられてますね」
父がつけ始めた日記の事を木村が話すと「中学生になったくらいから書き始めたと話していました。
かれこれ三十年以上書き続けていたのに急に止めるなんて考えられないんです。
現実に妹も父が殺される数日前にも日記帳を前にした父を書斎で見ているんですよ…」
綾香は少し捲し立てるような口調で言った。
「これだけ毎日書かれていたのですから途中でやめるとは考えづらい事は事実ですよね!」
大地も相槌を打ちながら綾香の考えに共感したのだ。
坂本もその事が不自然であると感じた。
そして残された日記の中になんらかのヒントがあるかも知れないと木村と調べる事にした。
殺される半年前の日記が一番新しいものであった。
だがその日記の中には日記をつけるのを止めると匂わす文章は何処にも見当たらなかった。
ただ、警察内部の不審な人物が存在する事は書かれていた。
おそらく次の日の日記には書くつもりでいたのかも知れなかった。
「純真さんは内部の不審な人物が誰であるかは見当がついていたのかも知れませんね…」
坂本は日記を読みながらそれからの日記の内容を予想した。
「そう考えると、犯人は内部の人物が関係してるって事じゃないですか…!」
大地は大胆で且つ警察内ではあってはならない予測を言い放った。
「いや、まだあくまでもその可能性があるって事を言っているだけだ。
なんの証拠もないのに上にその話はまだできないし、してはいけないのは君もよくわかっている筈じゃないか…!」
坂本はオフサイド気味に暴走しそうな大地に向かって一言釘を刺した。
「一つでも確たる証拠を掴んでからではないと警視総監には連絡はできないぞ」
その言葉は木村にとって苦い言葉に聞こえた。
何故なら昨夜父親、つまり警視総監から「頑張ってやるのはいいが、今回の件は警察の威信と信用がかかっている。
絶対に裏なしで動くことだけはしてはいかんぞ!」
と、口が酸っぱくなるほど言われていたのだ。
父が警視総監ゆえ、確実にエリート中のエリートだが偉ぶったところがまるでないのと容姿端麗な為、女性陣からの支持も高い。
ただ彼女らしい女性はいなく、二十四になってもまだ結婚する気もないらしい。
綾香を人目見た瞬間に「この人を守ってあげたい」という気になったのは、綾香が可愛らしかっただけではなかった。
現職のバリバリの警官の父親を殺されただけではなく、見えない敵に立ち向かわなくてはならないか弱い女性の力になりたいと思うのは当然と言えば当然のことなのかも知れなかった。
それに合わせて綾香の醸し出す色気というか母譲りの美貌だった。
背は百六十七センチで体重は五十二キロだが出るところは出ていてスタイルも抜群だった。
一目見て大地がやる気が倍増したのはいうまでもない事だった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
精霊捜査線・錬金術師達のマリオネット パラケルススの魔剣と天国にいる敵
Ann Noraaile
ミステリー
疾走するホムンクルス刑事と人造精霊! 近未来、人類進化の飽和点は唐突に訪れ、衰退する人類を補完する為に立ち上げられたセンチュリアンズ計画と、人類浄化を目的とするテロリズムの相克が始まっていた。
そんな時代の中、派遣刑事の漆黒がバディを組むことになった相手は、センチュリアンズ計画により生成された鷲の頭を持つ人造精霊、通称、「精霊・スピリッツ」だった。
漆黒と鷲男は、新興ブードゥ教団が関わる殺人事件を追う中、世界を支配する静止衛星都市ヘブンの陰謀や、世界の浄化を望む次世代テロ集団マルディグラとの戦いに否応もなく巻き込まれていく。そして漆黒自身の出生の秘密が、その戦いに大きく関わっていくのだった。
探偵なんてくだらない 〜黒幕はじめました〜
mogurano
ミステリー
【探偵に失望した。少年は探偵を求め、──黒幕となった】
少年は現実の探偵の姿に失望した。しかし、ある事件を経てから彼の考えは変わる。
「謎があれば探偵は輝けるはずだ。いいよ、謎ならこのぼくが作ろうじゃないか」と。
だけどだれも少年の謎を解こうとはしなかった。探偵なんてどこにもいなかったのだ。すっかり不貞腐れる少年の前に、ひとりの女の子が舞い降りてきらりと光る推理をみせる。
「解けるものなら解いてみろ」
少年は少女を試さずにはいられなかった。どうか、ぼくを失望させないでおくれよとまるで祈るようにしながら。
さあ、はたして少女は少年の理想の探偵たり得るのでしょうか。
有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第八話。
『過去』は消せない
だから、忘れるのか
だから、見て見ぬ振りをするのか
いや、だからこそ――
受け止めて『現在』へ
そして、進め『未来』へ
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
能力者は現在に
わまり
ミステリー
日本に存在するいくつもの能力
直人と部員の3人、航、杏、由紀は
他の能力者を見つけ出すという役目を全うするため動き出し、そこで様々な能力者達と出会いを重ねてゆく…
能力者達の不幸、日常を描いた物語
(この話は、本編の間に他の能力者達の短いストーリーが出てきます。)
祝福ゲーム ──最初で最後のただひとつの願い──
相田 彩太
ミステリー
世界各地から選ばれた24名の前に現れたのは自称”神”。
神は告げる「汝らに”祝福”を授けた」と。
そして「”祝福”とは”どんな願いでもひとつ叶える権利”だ」と。
ただし、そこには3つのルールがあった。
1.”祝福”の数は決して増えない
2.死んだ人間を生き返らせることは出来ない
3.”祝福”を持つ者が死んだ時、その”祝福”は別の人類にランダムに移る
”祝福”を持つ者はその境遇や思惑に沿って、願いを叶え始める。
その果てにどんな結末がもたらされるかを知らずに。
誰かが言った。
「これは”祝福ゲーム”だ」と。
神は言わなかった。
「さあ、ゲームの始まりだ」と。
※本作は小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる