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真実?
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葬式が終わって片付けを済ませた小比類巻家には、娘二人以外誰もいない状態になった。
綾香は何処かに盗聴器はないかと探し始めた。
「お姉ちゃん?何…」
杏里が綾香に何を探しているのかを聞いてくる直前に杏里に向かって右手の人差し指を口元に立てて、左目をつむってウインクをした。
何の意味かはわからなかった杏里だったが、取り敢えず喋らないでほしい…のかな?と感じ取って、黙って綾香の行動を見ていく事にした。
出来るだけ音を立てないようにして、ドライバーを使ってコンセント部分を分解していく。
そうやって何箇所かやっているうちに固定電話につながっていたコンセントを外して分解を始めた。
(アッ…!)
綾香は思わず口から出そうになった言葉を飲み込んだ。
分解した中に入っていたのは今までに見たことのない黒い物体が入っていた。
おそらく市販のコンセント型の盗聴器であろう。
今はその程度の盗聴器は大きな電気屋ならどこにでも売られている。
それを見た綾香は静かにまた組み立てて、元どおりにコンセントを刺した。
(新谷さんのいう通りだったわ!)
綾香は黙って頷いた。
そのことが何を示すのかははっきりとは杏里にはわからなかったが、姉が頷くという事は納得した時の仕草であることを妹はよく理解していた。
(何かを掴んだのだろう)
そのくらいの事は把握ができた杏里だった。
これで新谷さんが書いていたことが事実であることが証明した。
今夜はもう十時を過ぎていた。
明日、自分の携帯で新谷と連絡を取り、一体何がどうなっているのかを聞かなくてはならない。
その思いは時間が経つごとに連絡を早くしたいとの思いが膨らむ綾香であった。
杏里には詳しいことを説明する事は避けた。
何があるかわからない現状であるゆえ、杏里を不安にさせる事と、危険に晒す事は姉の綾香にとっては絶対にしてはいけない行為だったのだ。
葬式の日ということもあってかなり疲れていた感じの綾香は、明日の新谷との約束に不安を感じながら疲れた体を休めるように眠りについたのだった。
よほど疲れていたのだろう…。
目が覚めた時にはすでにお昼前になっていて、杏里が遅い朝食を作ってくれていたのだった。
「エッ、もうこんな時間…!
杏里なんで起こしてくんなかったの…?」
何時に起こして欲しいなんて要望さえしなかったのに、自分が遅く起きたことを杏里のせいにする駄目な姉であった。
その事を反省しながら遅い朝食を食べていると、「あ、今日はなるべく早く新谷さんの携帯に連絡するんだった…!」
朝起きてまだ少し頭が冴えていないのか、大切な事を忘れていた。
急いで昨日便箋に書かれていた電話番号にかけるが、仕事中なのか携帯が繋がらない。
何度かかけて見たが、一向につながらないので少し時間をおいてかける事にした。
綾香は何処かに盗聴器はないかと探し始めた。
「お姉ちゃん?何…」
杏里が綾香に何を探しているのかを聞いてくる直前に杏里に向かって右手の人差し指を口元に立てて、左目をつむってウインクをした。
何の意味かはわからなかった杏里だったが、取り敢えず喋らないでほしい…のかな?と感じ取って、黙って綾香の行動を見ていく事にした。
出来るだけ音を立てないようにして、ドライバーを使ってコンセント部分を分解していく。
そうやって何箇所かやっているうちに固定電話につながっていたコンセントを外して分解を始めた。
(アッ…!)
綾香は思わず口から出そうになった言葉を飲み込んだ。
分解した中に入っていたのは今までに見たことのない黒い物体が入っていた。
おそらく市販のコンセント型の盗聴器であろう。
今はその程度の盗聴器は大きな電気屋ならどこにでも売られている。
それを見た綾香は静かにまた組み立てて、元どおりにコンセントを刺した。
(新谷さんのいう通りだったわ!)
綾香は黙って頷いた。
そのことが何を示すのかははっきりとは杏里にはわからなかったが、姉が頷くという事は納得した時の仕草であることを妹はよく理解していた。
(何かを掴んだのだろう)
そのくらいの事は把握ができた杏里だった。
これで新谷さんが書いていたことが事実であることが証明した。
今夜はもう十時を過ぎていた。
明日、自分の携帯で新谷と連絡を取り、一体何がどうなっているのかを聞かなくてはならない。
その思いは時間が経つごとに連絡を早くしたいとの思いが膨らむ綾香であった。
杏里には詳しいことを説明する事は避けた。
何があるかわからない現状であるゆえ、杏里を不安にさせる事と、危険に晒す事は姉の綾香にとっては絶対にしてはいけない行為だったのだ。
葬式の日ということもあってかなり疲れていた感じの綾香は、明日の新谷との約束に不安を感じながら疲れた体を休めるように眠りについたのだった。
よほど疲れていたのだろう…。
目が覚めた時にはすでにお昼前になっていて、杏里が遅い朝食を作ってくれていたのだった。
「エッ、もうこんな時間…!
杏里なんで起こしてくんなかったの…?」
何時に起こして欲しいなんて要望さえしなかったのに、自分が遅く起きたことを杏里のせいにする駄目な姉であった。
その事を反省しながら遅い朝食を食べていると、「あ、今日はなるべく早く新谷さんの携帯に連絡するんだった…!」
朝起きてまだ少し頭が冴えていないのか、大切な事を忘れていた。
急いで昨日便箋に書かれていた電話番号にかけるが、仕事中なのか携帯が繋がらない。
何度かかけて見たが、一向につながらないので少し時間をおいてかける事にした。
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