詐欺るシリーズ「冤罪！幾重にも塗り替えられた真実」

新谷学

自分達とは一体どういう意味なのかといえば、離婚した妻と娘らを意味した。
新谷は最初はジェーンとの話はやはり断るつもりでいた。それはそうだ！
できることならば犯罪には手を貸したくはない。
だが、自分に何かの危害があるのは仕方がないが、全く関係のない家族へ何らかの報復を一番に恐れたのだ。
(あの男ならやりかねない…)
そう思うとどうしていいなのかわからなくなった。

そうこうしている間にジェーンから渡された携帯から連絡が入り、二度、情報を渡した。
曖昧な情報では納得するわけはなく、あくまでも地面師詐欺をする情報だからそれに関するネタを誰よりも早く掴まなくてはならなかった。
その情報に対する報酬は前回と同じく百万円ずつ振り込まれた。
別にお金が欲しいわけではない。
犯罪に加担することをやめたいのだ。
そんな時に純真と二度目の対面をした。
雑誌の記者をしていた新谷は今回特殊詐欺の取材をすべく警視庁に取材許可をもらっていた。
昔、オレオレ詐欺をやっていた連中が訪問詐欺とかに変わって、はたまた強盗紛いや叩きまでする詐欺に変わっていた。
今日の特殊詐欺は他の詐欺と比べても断トツにその数は多く、警察もマスコミもその対処方法を考えるのが四苦八苦しているのが、現実だった。
当日、その対応に当たったのがたまたま小比類巻純真であった。
取材で顔を合わせた二人は思わず顔を見合わせて「お、お久しぶりです！」
と半年ぶりに顔を合わせた。
「まさかあなたが警察官だなんて…！
しかも警視正だなんて、何故あの時言ってくれなかったのですか…？」
新谷は小比類巻警部に問いただした。
「別に隠していたわけじゃないけど、仕事の帰りで私服だったんで別に警察官だと言う必要がないと思ったんだよ。
それよりあれから酔っ払いには絡まれてはいない？」
「いえ…。そのことなんですが、この取材の後、一度時間をとってもらえませんか？」
と新谷は耳元で小比類巻に小声で話した。
新谷にしてみれば助けてもらったのが警察の幹部、しかも警視正だとわかったことで、少し聞いてもらいたいことがあることを告げた
それが小比類巻を地獄に落とすことになろうとは思っても見なかったのである。