噂のギャンブラー

黒崎伸一郎

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1レース十点

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レースリプレイを見ていたら八時になっていた。
今日の夜は八時四十五分から2会場ある。
日曜日なので2会場共に最終日だ。
海斗はやはり決勝の二レースがやりたかった。
深夜のレースはチャレンジかガールズかA級とがあってS級のレースはない。
決勝は割と力の差がはっきりしていて頭は固い時が多い。
データ通りに決まるかもしれない…?
海斗の頭にピンと来るものがあった。
レースを分析した時に最終日の決勝に乗れなかった選手の中で決勝でも人気になるであろう選手が乗る時がある。
そのレースと合わせて決勝も買うことにした。
決勝を見るという事は十一時半まで携帯を見続けるという事になる。
明日も朝は早い。
寝不足で炎天下の下での仕事は辛い。
しかも週の初めだからこれから土曜日まで仕事だ。
当たり前の事を考えながら、結局決勝戦の4レースを勝負する事にした。
一番人気を一着固定にして二着を総流しに、三着を対抗の○に固定する。
一レース五点だ。
これだと4レース合わせても二千円で済む。
???…
海斗は一瞬何か閃きのようなものが浮かんだ気がした。
競輪のデータをよく見直す。
するとある事に気が付いたのだ。
深夜のレースは配当が昼間のレースよりも低いとデータに出ている。
しかも決勝は尚更というデータであった。
本命で決まることが多いのが配当が低い原因だが、◎が一着のことが多いのも事実であった。
そこでやはり◎を一着に固定するやり方は車券を当てる上では大有りである。
だが、回収率を上げなければ勝てない。
今日の結果を踏まえてもう一度データと照らし合わせる事にした。
言わずとも決勝戦はラスト2レースと競輪では決まっている。
たまにチャレンジの決勝が8レースとかに組まれることがあるが、深夜の時はそれはない。
海斗には理由はわからなかったが、そこには何の関心もなかった。
とにかく勝てればいいのだ。
いや、勝てなくてはずっと続けて買い続ける事はできなくなる。
ギャンブルを生業としていくというのが海斗の夢、いや人生そのものなのだから、それを実践していかなくてはならないのだ。
海斗は当てたいがために三着に▲も買う事にした。
つまり◉を一着固定して、二着を総流しにする。
そして三着に○と▲。
つまり1レース十点買ったのだ。
当たる可能性は高くなるが、このやり方では回収率は下がる可能性は高かった。
何故なら一レースの当たりは一点である。
同着という稀なこともあるが、基本は一点だ。
できるだけ点数は抑えたい。
でなければ回収率はなかなか上がらない。
理想は1レース一点だ。
でもそれではなかなか当たらない。
だからギャンブルは難しい。
能書きはこれくらいにして、4レース十点のレースが始まった。
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