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エゴでバカな男
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飲み屋を始めて半年が経った頃のことだった。
メンバーは十人ほどだったが、それ以上は入れるつもりはなかった。
何故ならその病院の開放病棟の個室は全部合わせても三十しかない。
入院させる期間は多少違っても必ずメンバー同士が入院中にかち合わせになる。
必ず話をするに違いない。
揉める事もあるかもしれない。
しかもたった三十部屋しかないのだから満室で入院待ちの時期も出てくる。
別の精神病院に入院させる事も考えたが、どんな病院かを調べていくうちに殆どの病院が閉鎖病棟への入院だった。
今の病院ほど楽で入りやすい病院など皆無だった。
他の病院に入院させたとしてもあまりにメンバーが増えてしまうと管理ができない。
ただでさえ危ない奴らをメンバーに入れているのだ。
何かあった時の事を考えるとやはり増やすべきではないと感じた。
やり始めてから二年過ぎた頃私の取り分は五千万円は楽に超えていた。
ただ、やはり泡銭だとの感覚が私の中にあった。
もし私に金を動かしていく才能が少しでもあったならば、私は少しは大物(悪)になったかもしれない。
あればすぐに使う癖はいまだに治っていなかった。
付き合いだと言って飲みにいく。
もちろん自分の店に飲みに来てもらうという名目はあっても湯水の様に使う。
もちろんギャンブルは当たり前の様に毎日負ける。
それでも私にはまだその時はメンバーが幾らでも稼いでくれると思っていたのだった。
一度入院したメンバーには給付金がいくら入ったかの明細書が送られる。
四百万円以上入金があるのに百三十万円では合わない。
もう少し上げてくれないか…。
と言ってくるメンバーが何人かいた。
当たり前のことといえば当たり前だった。
もう少し欲しいと思うのは誰もが思うことである。
私は二回目以降は少しずつ配当を上げる約束をした。
他にメンバを探すのも面倒だし、揉めたくなかったのが本音だった。
二回目は百五十万円、三回目は百七十万円とだんだん増えていく。
利幅が減るのは痛いが、それでも私の取り分は一人が入院すれば百五十万円を下る事はなく三年間はそれだけで遊んんでいけたのである。
その間私は飲み屋をしながら毎日湯水の如く客の店に飲みに行き金を落としていった。
飲み屋と言ってもカウンターが八席ほどのバーである。
女の子は二人ほど入れていたので売り上げが百五十万もあれば儲かっている様に見えた。
それは私が客のところへ毎日飲みにまたは食べにいっていたからである。
私は月に二百万円くらい飲み食いに使っていた。
エゴだけの為に店をやっていたのだ。
そんな私にヤクザが狙いを定めてきた。
金の匂いを私が醸し出していたのだろう。
最初はヤクザだと知らない私は何度か飲みにきた客と飲みに出た。
そこで地下ポーカに誘われてその楽しさにハマってしまう。
今までポーカーなんてやったことがない私はやはりカモだった。
あれよあれよという間に金が溶ける。
負けても負けても持ってくる私は絶好のカモとしか言いようが無い客だ。
ヤクザが離すわけがなかった。
店にはヤクザが来て金を使う。
その金の何倍も持ってポーカーに行く。
そして毎回負ける。
わずか二ヶ月で二千万円ほど負けた。
店に出る前に他の店で酒をたらふく飲む。
店で客からの酒を浴びるほど飲む。
そして酔っぱらったままポーカーをしてまける。
そんな毎日で金も体も持つわけがない。
私は身体を壊して入院した。
入院すれば一応金にはなる。
ただし私の場合は四社しか入っていない為二百万円くらいしか入ってこない。
しか…?
その時はしか…と思っていた。
他のメンバーなら総額四百万円は下らないからだ。
だが、そんな事が長く続く筈がない。
私のシステムが崩れる時が来たのだ。
メンバーは十人ほどだったが、それ以上は入れるつもりはなかった。
何故ならその病院の開放病棟の個室は全部合わせても三十しかない。
入院させる期間は多少違っても必ずメンバー同士が入院中にかち合わせになる。
必ず話をするに違いない。
揉める事もあるかもしれない。
しかもたった三十部屋しかないのだから満室で入院待ちの時期も出てくる。
別の精神病院に入院させる事も考えたが、どんな病院かを調べていくうちに殆どの病院が閉鎖病棟への入院だった。
今の病院ほど楽で入りやすい病院など皆無だった。
他の病院に入院させたとしてもあまりにメンバーが増えてしまうと管理ができない。
ただでさえ危ない奴らをメンバーに入れているのだ。
何かあった時の事を考えるとやはり増やすべきではないと感じた。
やり始めてから二年過ぎた頃私の取り分は五千万円は楽に超えていた。
ただ、やはり泡銭だとの感覚が私の中にあった。
もし私に金を動かしていく才能が少しでもあったならば、私は少しは大物(悪)になったかもしれない。
あればすぐに使う癖はいまだに治っていなかった。
付き合いだと言って飲みにいく。
もちろん自分の店に飲みに来てもらうという名目はあっても湯水の様に使う。
もちろんギャンブルは当たり前の様に毎日負ける。
それでも私にはまだその時はメンバーが幾らでも稼いでくれると思っていたのだった。
一度入院したメンバーには給付金がいくら入ったかの明細書が送られる。
四百万円以上入金があるのに百三十万円では合わない。
もう少し上げてくれないか…。
と言ってくるメンバーが何人かいた。
当たり前のことといえば当たり前だった。
もう少し欲しいと思うのは誰もが思うことである。
私は二回目以降は少しずつ配当を上げる約束をした。
他にメンバを探すのも面倒だし、揉めたくなかったのが本音だった。
二回目は百五十万円、三回目は百七十万円とだんだん増えていく。
利幅が減るのは痛いが、それでも私の取り分は一人が入院すれば百五十万円を下る事はなく三年間はそれだけで遊んんでいけたのである。
その間私は飲み屋をしながら毎日湯水の如く客の店に飲みに行き金を落としていった。
飲み屋と言ってもカウンターが八席ほどのバーである。
女の子は二人ほど入れていたので売り上げが百五十万もあれば儲かっている様に見えた。
それは私が客のところへ毎日飲みにまたは食べにいっていたからである。
私は月に二百万円くらい飲み食いに使っていた。
エゴだけの為に店をやっていたのだ。
そんな私にヤクザが狙いを定めてきた。
金の匂いを私が醸し出していたのだろう。
最初はヤクザだと知らない私は何度か飲みにきた客と飲みに出た。
そこで地下ポーカに誘われてその楽しさにハマってしまう。
今までポーカーなんてやったことがない私はやはりカモだった。
あれよあれよという間に金が溶ける。
負けても負けても持ってくる私は絶好のカモとしか言いようが無い客だ。
ヤクザが離すわけがなかった。
店にはヤクザが来て金を使う。
その金の何倍も持ってポーカーに行く。
そして毎回負ける。
わずか二ヶ月で二千万円ほど負けた。
店に出る前に他の店で酒をたらふく飲む。
店で客からの酒を浴びるほど飲む。
そして酔っぱらったままポーカーをしてまける。
そんな毎日で金も体も持つわけがない。
私は身体を壊して入院した。
入院すれば一応金にはなる。
ただし私の場合は四社しか入っていない為二百万円くらいしか入ってこない。
しか…?
その時はしか…と思っていた。
他のメンバーなら総額四百万円は下らないからだ。
だが、そんな事が長く続く筈がない。
私のシステムが崩れる時が来たのだ。
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