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保険金詐欺?
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その後の私といえば相も変わらず仕事を転々としながらギャンブルをやっていた。
給料は自分のギャンブルの為だけに使い、文に一切教育費を送るではなくかぬが無くなればまた親にたかる生活を続けていたのだ。
場外馬券売り場で知り合った男性とひょんなことで仲良くなり飯を食いにいった時のことだった。
男の名は松本と言って私より十ほど年上で、彼もギャンブル好きだった。
場外馬券売り場で会って一緒に昼飯を食べにいった時のことだった。
「あんた保険に入っときなよ…」
と突然私の耳元で囁いた。
何の事を言っているのか意味がわからなかったが、何でも保険に入って保険金を保険会社からもらうというある意味詐欺的行為を働こうと私に話してきたのだ。
私はこの前に詐欺で捕まったばかりだから捕まるかもしれない詐欺はやらないと松本に話したのだが、絶対に捕まる様なことではないと断言した。
保険金詐欺で捕まった話はテレビや週刊誌などで何度も見てきた理聞いたりした話であった。
だが松本本人が何度も実行して今の保険では絶対に捕まる事のないやり方があると言うのだ。
にわかに信じがたい話ではあったが、金もない私は松本の話だけでも聞いてみる気になったのだ。
松本の話はこうだ。
先ずは死亡保証なしの医療保険に入る。
死亡保証がなければそんなに高くはない。
一日入院保証額は一万円以上に設定する。
それを数社入る。
それだけだった。
私の年齢では一ヶ月の保険会社への保険料は四千円から五千円の間であった。
それを四社入った。
月々二万円の出費は痛いがこれが大金に化けるのであれば仕方ない。
保険に入ってもすぐには動けない。
あまりすぐに動くと審査が入って給付金が出ないのだ。
私は半年待つことにした。
その間支払いは続いている。
ただでさえ金がないのに辛過ぎる!
半年が経って私は松本と一緒に病院に行った。
何と精神病院である。
私の概念では精神病院は精神に異常をきたしている人が通うところと思っていた。
病院の診察室に入った私は医師にどういた具合でここにきたのかを話した。
松本は数年前にこの病院で入院していた過去があった。
この病院ならば誰でもこの病名で入院可能と言っていたのだ。
その病名は「アルコール依存症」である。
誰もが一度は聞いた事があるなであったが、この数日前松本が私にその症状をレクチャーした。
毎日酒を飲んで家族に迷惑をかけている。
酒を辞めたいのだが自分の意思ではどうにもならないと医師に切実に伝えると言う事だった。
その際松本は私に「先生、助けてください!」
と嘆願するように告げた。
医師は患者を出来るだけ助けてあげたいと思っているはずだ。
患者が願うならば入院という処置をとってくれるのだ…。
私は松本のレクチャー通りに完璧に動いた。
体がダルそうにして目はうつろ、いかにも私は病人です…をアピールした。
あくまでも自然に…。
「入院して治療しますか?」
医師の口から私が望んでいた言葉が発せられた。
「出来るなら、お願いします…」
少し間を置いて私は怠そうに答えた。
「では任意入院という入院になります。
こちらに書類がありますからよく読んで名前を書いてください」
言われた通りに名前を書いた私に医師が続けて「閉鎖病棟と開放病棟とがありますがどちらを希望されますか?」
と聞いてきた。
閉鎖病棟とはその名の通り一度入院すれば医師の許可なしでは外泊はおろか、病院の入り口に鍵がかかっていて外出さえできない。
「開放病棟でお願いします」
私は即座に答えた。
松本から閉鎖病棟の話は聞いていた。
閉鎖病棟での入院は辛いからどちらにしますか?と聞かれるから必ず開放病棟でお願いしますと答えるようにと指示があったのだった。
私は意外にも簡単に入院できたのに驚いた。
普通の病院なら、いろいろな話を聞いて診察をする。
そして薬をもらって数日、または二、三週間経ってからもう一度病院に行って入院できるかどうかの話になると思っていた。
しかもこの病院のシステムに私は精神病院の概念が全く変わってしまったのである!
給料は自分のギャンブルの為だけに使い、文に一切教育費を送るではなくかぬが無くなればまた親にたかる生活を続けていたのだ。
場外馬券売り場で知り合った男性とひょんなことで仲良くなり飯を食いにいった時のことだった。
男の名は松本と言って私より十ほど年上で、彼もギャンブル好きだった。
場外馬券売り場で会って一緒に昼飯を食べにいった時のことだった。
「あんた保険に入っときなよ…」
と突然私の耳元で囁いた。
何の事を言っているのか意味がわからなかったが、何でも保険に入って保険金を保険会社からもらうというある意味詐欺的行為を働こうと私に話してきたのだ。
私はこの前に詐欺で捕まったばかりだから捕まるかもしれない詐欺はやらないと松本に話したのだが、絶対に捕まる様なことではないと断言した。
保険金詐欺で捕まった話はテレビや週刊誌などで何度も見てきた理聞いたりした話であった。
だが松本本人が何度も実行して今の保険では絶対に捕まる事のないやり方があると言うのだ。
にわかに信じがたい話ではあったが、金もない私は松本の話だけでも聞いてみる気になったのだ。
松本の話はこうだ。
先ずは死亡保証なしの医療保険に入る。
死亡保証がなければそんなに高くはない。
一日入院保証額は一万円以上に設定する。
それを数社入る。
それだけだった。
私の年齢では一ヶ月の保険会社への保険料は四千円から五千円の間であった。
それを四社入った。
月々二万円の出費は痛いがこれが大金に化けるのであれば仕方ない。
保険に入ってもすぐには動けない。
あまりすぐに動くと審査が入って給付金が出ないのだ。
私は半年待つことにした。
その間支払いは続いている。
ただでさえ金がないのに辛過ぎる!
半年が経って私は松本と一緒に病院に行った。
何と精神病院である。
私の概念では精神病院は精神に異常をきたしている人が通うところと思っていた。
病院の診察室に入った私は医師にどういた具合でここにきたのかを話した。
松本は数年前にこの病院で入院していた過去があった。
この病院ならば誰でもこの病名で入院可能と言っていたのだ。
その病名は「アルコール依存症」である。
誰もが一度は聞いた事があるなであったが、この数日前松本が私にその症状をレクチャーした。
毎日酒を飲んで家族に迷惑をかけている。
酒を辞めたいのだが自分の意思ではどうにもならないと医師に切実に伝えると言う事だった。
その際松本は私に「先生、助けてください!」
と嘆願するように告げた。
医師は患者を出来るだけ助けてあげたいと思っているはずだ。
患者が願うならば入院という処置をとってくれるのだ…。
私は松本のレクチャー通りに完璧に動いた。
体がダルそうにして目はうつろ、いかにも私は病人です…をアピールした。
あくまでも自然に…。
「入院して治療しますか?」
医師の口から私が望んでいた言葉が発せられた。
「出来るなら、お願いします…」
少し間を置いて私は怠そうに答えた。
「では任意入院という入院になります。
こちらに書類がありますからよく読んで名前を書いてください」
言われた通りに名前を書いた私に医師が続けて「閉鎖病棟と開放病棟とがありますがどちらを希望されますか?」
と聞いてきた。
閉鎖病棟とはその名の通り一度入院すれば医師の許可なしでは外泊はおろか、病院の入り口に鍵がかかっていて外出さえできない。
「開放病棟でお願いします」
私は即座に答えた。
松本から閉鎖病棟の話は聞いていた。
閉鎖病棟での入院は辛いからどちらにしますか?と聞かれるから必ず開放病棟でお願いしますと答えるようにと指示があったのだった。
私は意外にも簡単に入院できたのに驚いた。
普通の病院なら、いろいろな話を聞いて診察をする。
そして薬をもらって数日、または二、三週間経ってからもう一度病院に行って入院できるかどうかの話になると思っていた。
しかもこの病院のシステムに私は精神病院の概念が全く変わってしまったのである!
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