罪人(つみびと)

黒崎伸一郎

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魂の抜け殻

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裁判が終わり自宅に帰った私は周りの環境の変化に戸惑った。
お好み焼きブーブーは閉店せざる終えなくなっていた。
私が捕まってから店は営業できなくなっていた。
テレビや新聞で私の過ちが地域の人たちに知られてしまった事とお好み焼きを焼く人もいなく、弁護士費用とかの出費も重なり休んでいる間の家賃など払えない状態になっていたのだ。
文や杏、春と住んでいたアパートもすでに解約していた。
もちろん家賃が払えないからであった。
裁判が終わって自宅に帰った私は仕事を一から探さなくてはならなくなっていたのである。
何の資格を持っているわけではない。
得意な事があるわけでもない。
四十を過ぎて私は仕事を転々とした。
実は最初は親の知り合いのうどん屋で仕事をしたのだが、半年も経たないうちに辞めてしまった。
自宅から車で一時間以上かかる上に帰りも遅い。
給料も安くてストレスがたまり我慢ができなくなったのが本音だ。
全く我慢するという事のできない男だったのである。
それから私は仕事を転々とした。
自宅から通っていた私は事あるごとに親に金を借りた。
私が両親から借りたお金は二十歳から数えたとしても二億円は下らないだろう…。
何故だろうと言うのかといえば、当時両親にはそのくらいの財産があったと言っていたからだった。
親父は苦労して貯めた金を私は自分のエゴの為だけに全て使ってしまったのである。
お好み焼きブーブーを閉める時に両親が私に金が尽きたと告げた後も私は小遣いをせびる最低の人間だったのである。
何を考えて生きてきたのだろう…?
自分のエゴの為だけに生きてきて私に関わる全ての人を不幸にしていったのだ。
それでもまだ私は自分のことしか考えることのできない魂の抜け殻の人間の形をした獣だったのだ。
そして私はまたとんでもないことをしでかしてしまう。
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