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嘘が真実
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私の家はかなりの分限者であった。
私が財産の殆どを使ったのだが、最後の頼みと両親にお願いしてお好み焼きと喫茶店を合わした店を作る金を頼んだ。
私は三十歳になろうとしていた。
両親に付き合っていた人を紹介して本当に頑張るからとお金を出してもらった。今までとは違い本当に頑張るつもりでいた。
ただお好み焼きなんて焼いたことがない。
好きでよく食べに行っていたがどうやって作るのかさえ知らない。
ただどこかで修行してまでしてやるつもりもない。
やはり情けない男だったのだ。
それでも付き合っていた人はすごかった。
文という名の女性だった。
私とは全く違い、曲がったことの大嫌いな人だった。
私は付き合う時にはっきり言った言葉があった。
「私は嘘が嫌いだから嘘はお互い言わないようにしよう!」
付き合うその日からの嘘であった。
当時からではない、幼い時から嘘つきになっていたのだろう。
全てのことに嘘をつき、生きてきたのだ。
私はこれからもずっと嘘をつき続ける。おそらく、いや絶対にだ。
私が文に言ったその日から私はそう思い続けている。
「どうして嘘を言うのか?」と自分に聞いた事があった。
私は「嘘を言うことが私の真実なんだ!」と言うことだった。
他人には意味がわからないだろう。
実際そんな言葉はない。
でもどうしてもその言葉しか私を証明できる言葉は存在しない。
嘘を嘘で固めた人生。
それが私なのだ。
それがわかったとしても私にはどうすることもできない。
私は文と一緒に暮らしながら何時もそれを考えていた。
文は仕事ができ、すごい頑張り屋さんであった。
それに対し私はいつも嘘を言ってギャンブルをした。
私の嘘はそれだけではない。
文と籍も入れていないし子供の認知もしていない。
したくなかったのでは断じてない。
私がどうしようもなくダメな人間であるということだけは真実だ。
文との生活は六年で終わり文は子供を連れて実家に帰っていった。
私は(助かった…)と思った。
私が助かったのではない。
文が助かったのだ。
私といると必ず不幸になる。
嘘が真実という男である。
黒崎という名にならなくてよかった。
私の認知がなくてよかった。
私と離れ、幸せな人生を歩んで欲しい。
ただそれだけだった。
私が財産の殆どを使ったのだが、最後の頼みと両親にお願いしてお好み焼きと喫茶店を合わした店を作る金を頼んだ。
私は三十歳になろうとしていた。
両親に付き合っていた人を紹介して本当に頑張るからとお金を出してもらった。今までとは違い本当に頑張るつもりでいた。
ただお好み焼きなんて焼いたことがない。
好きでよく食べに行っていたがどうやって作るのかさえ知らない。
ただどこかで修行してまでしてやるつもりもない。
やはり情けない男だったのだ。
それでも付き合っていた人はすごかった。
文という名の女性だった。
私とは全く違い、曲がったことの大嫌いな人だった。
私は付き合う時にはっきり言った言葉があった。
「私は嘘が嫌いだから嘘はお互い言わないようにしよう!」
付き合うその日からの嘘であった。
当時からではない、幼い時から嘘つきになっていたのだろう。
全てのことに嘘をつき、生きてきたのだ。
私はこれからもずっと嘘をつき続ける。おそらく、いや絶対にだ。
私が文に言ったその日から私はそう思い続けている。
「どうして嘘を言うのか?」と自分に聞いた事があった。
私は「嘘を言うことが私の真実なんだ!」と言うことだった。
他人には意味がわからないだろう。
実際そんな言葉はない。
でもどうしてもその言葉しか私を証明できる言葉は存在しない。
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それが私なのだ。
それがわかったとしても私にはどうすることもできない。
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文は仕事ができ、すごい頑張り屋さんであった。
それに対し私はいつも嘘を言ってギャンブルをした。
私の嘘はそれだけではない。
文と籍も入れていないし子供の認知もしていない。
したくなかったのでは断じてない。
私がどうしようもなくダメな人間であるということだけは真実だ。
文との生活は六年で終わり文は子供を連れて実家に帰っていった。
私は(助かった…)と思った。
私が助かったのではない。
文が助かったのだ。
私といると必ず不幸になる。
嘘が真実という男である。
黒崎という名にならなくてよかった。
私の認知がなくてよかった。
私と離れ、幸せな人生を歩んで欲しい。
ただそれだけだった。
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