詐欺る

黒崎伸一郎

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半端者

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私は東京から地元に帰った。
何故私が東京から地元に戻ってきたのかはなんとなくわかるかもしれない。
一年以上行き続けていたシンデレラである日いつも通りに踊りながらかわいいターゲットを探していたらモデル風の美女が二人来店した。
私はモデルとかにはあんまり興味がない。
というか綺麗なタイプは少し苦手だった。
皆んなにチヤホヤされているのも気に入らないがツンとした感じが嫌なのだ。
ただそれはそれで綺麗な人は見るだけでも目に保養がある。
そう思って見ていたら「何、人の彼女をじろじろ見てるんだ!」とつっぱり風の男が私の前にきてイチャモンをつけてきたのだ。
私は別にその子たちをナンパしようとしたわけではないしあんまり興味もない。だけどここは天下のシンデレラである。この店の中でだけは怖気付いた姿は見せることが出来なかった。
「この店での喧嘩はやめとけよ!」私がそう言った瞬間に相手が殴りかかってきた。
私は避けきれずに顔にパンチを喰らった。
倒れた私は前歯が折れたのが分かった。痛みよりも恥ずかしさが頭をよぎって思わずテーブルを掴み頭の上に叩きつけた。
それからもう一人の男も加勢しての喧嘩である。
私も前歯が折れ、向こうも頭から血を流している。
「お前、エンペラーをなめとんか!」の声が鳴り響く。
もう音楽は止まり「警察を呼んで!」の声と他の女の子の叫び声もする。
まだ殴り合いは続く。
相手は二人。
しかもでかい。
ただ私はそんなことは関係ないかのように立ち向かう。
でも最後は椅子で頭を割られて倒れ込んだ。
気がつけば病院で結局全治二ヶ月、二週間は安静を言われ次の日両親が来た。
私は一週間で両親と地元に帰り、自宅療養しながら歯医者に行き前歯四本を全てブリッジにしてもらった。
シンデレラは結局出禁となり、店内の改装費を向こうと半分ずつ払うことで話はついた。
私は大久保のアパートを引き払い、地元に戻った。
地元に帰っても私は何もやる気はしなかった。
病院には一ヶ月通ったが顔の腫れはなかなか引かなかった。
父は定年で会社を退職し、何でも屋みたいな会社を立ち上げ頑張っていたが私はそんなかっこ悪い仕事はできないと言って断った。
私はミエばかりの半端者だった。
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