8 / 80
萩原海人としての出発③
しおりを挟む
直美の家は決して裕福とはいえない感じの家だった。
駅から少し離れていて築三十年くらいの平屋建てだ。
庭も小さく合わせても三十坪あるかないかの家だった。
今日はいろいろ動いていたので時計を見るともう夕方の六時前。
表札を見ると新川五郎と文江、その下に直美の名前が書いてある。
(新川家にはやはり子供はいなかったんだな…)
と思い玄関を覗いた瞬間、「新川さんならまだ病院じゃない?」と買い物から帰ってきたらしい隣の奥さんらしき人が教えてくれた。
「あっ、すいませんどこの病院でしたかね?」私は知り合いみたいな感じで明るく尋ねた。
隣の奥さんらしき人は近くの日赤病院だと教えてくれた。
私は深々と頭を下げ「ありがとうございました、助かりました!」
と礼を言ってその場を離れた。
離れた後、私は考えた。
私は新川家の事は何も知らない。
やはり少し情報があった方が直美に近づきやすい…。
結局その日は出直すことにした。
次の日の朝、サウナのあった街まで出かけ探偵所に新川家の実状を調べてもらうことにしたのだ。
ビルの二階にあった探偵社は依頼に対し三日間で調べ上げる事を約束し、私は調査費として十万円払った。
その十万円が高いか安いかは問題ではない。
自分では調べられない情報を調べてもらわなければちゃんとした形で直美に通帳を渡すことはできないと思ったからである。
私は空いた三日間で運転免許をとりに行くことに決めた。
三日で普通免許などとれるはずはない。原付免許である。
バイクが欲しいのではない。
萩原海人としての顔写真付きの証明証が欲しかったのだ。
保険証だけよりやはり免許証があった方がより萩原海人になり切れる筈…と思ったからである。
すぐに原付の免許を取るために教習所に行き必要書類を揃えて二日後に筆記試験を受け合格した。
免許用の写真を撮り免許証を作った。
これでほんとに萩原海人になった気がした
駅から少し離れていて築三十年くらいの平屋建てだ。
庭も小さく合わせても三十坪あるかないかの家だった。
今日はいろいろ動いていたので時計を見るともう夕方の六時前。
表札を見ると新川五郎と文江、その下に直美の名前が書いてある。
(新川家にはやはり子供はいなかったんだな…)
と思い玄関を覗いた瞬間、「新川さんならまだ病院じゃない?」と買い物から帰ってきたらしい隣の奥さんらしき人が教えてくれた。
「あっ、すいませんどこの病院でしたかね?」私は知り合いみたいな感じで明るく尋ねた。
隣の奥さんらしき人は近くの日赤病院だと教えてくれた。
私は深々と頭を下げ「ありがとうございました、助かりました!」
と礼を言ってその場を離れた。
離れた後、私は考えた。
私は新川家の事は何も知らない。
やはり少し情報があった方が直美に近づきやすい…。
結局その日は出直すことにした。
次の日の朝、サウナのあった街まで出かけ探偵所に新川家の実状を調べてもらうことにしたのだ。
ビルの二階にあった探偵社は依頼に対し三日間で調べ上げる事を約束し、私は調査費として十万円払った。
その十万円が高いか安いかは問題ではない。
自分では調べられない情報を調べてもらわなければちゃんとした形で直美に通帳を渡すことはできないと思ったからである。
私は空いた三日間で運転免許をとりに行くことに決めた。
三日で普通免許などとれるはずはない。原付免許である。
バイクが欲しいのではない。
萩原海人としての顔写真付きの証明証が欲しかったのだ。
保険証だけよりやはり免許証があった方がより萩原海人になり切れる筈…と思ったからである。
すぐに原付の免許を取るために教習所に行き必要書類を揃えて二日後に筆記試験を受け合格した。
免許用の写真を撮り免許証を作った。
これでほんとに萩原海人になった気がした
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
姉らぶるっ!!
藍染惣右介兵衛
青春
俺には二人の容姿端麗な姉がいる。
自慢そうに聞こえただろうか?
それは少しばかり誤解だ。
この二人の姉、どちらも重大な欠陥があるのだ……
次女の青山花穂は高校二年で生徒会長。
外見上はすべて完璧に見える花穂姉ちゃん……
「花穂姉ちゃん! 下着でウロウロするのやめろよなっ!」
「んじゃ、裸ならいいってことねっ!」
▼物語概要
【恋愛感情欠落、解離性健忘というトラウマを抱えながら、姉やヒロインに囲まれて成長していく話です】
47万字以上の大長編になります。(2020年11月現在)
【※不健全ラブコメの注意事項】
この作品は通常のラブコメより下品下劣この上なく、ドン引き、ドシモ、変態、マニアック、陰謀と陰毛渦巻くご都合主義のオンパレードです。
それをウリにして、ギャグなどをミックスした作品です。一話(1部分)1800~3000字と短く、四コマ漫画感覚で手軽に読めます。
全編47万字前後となります。読みごたえも初期より増し、ガッツリ読みたい方にもお勧めです。
また、執筆・原作・草案者が男性と女性両方なので、主人公が男にもかかわらず、男性目線からややずれている部分があります。
【元々、小説家になろうで連載していたものを大幅改訂して連載します】
【なろう版から一部、ストーリー展開と主要キャラの名前が変更になりました】
【2017年4月、本幕が完結しました】
序幕・本幕であらかたの謎が解け、メインヒロインが確定します。
【2018年1月、真幕を開始しました】
ここから読み始めると盛大なネタバレになります(汗)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる