10 / 20
第一章
5
しおりを挟む
食事をした後はカウスさんの言っていた通り、城を案内された。
食後の運動も兼ねて……とか軽く思ってた自分を殴りたくなるくらい広い城に、内心ため息を零しながら隅々まで見て回った。
途中途中で休憩挟んでるから肉体的に疲れてはいないんだけど、外は既に夕方にも関わらず【自動地図】を見る限り全然埋まらない城の大きさに精神が疲れた。
そんな俺の内心の疲れを悟ったのか、カウスさんが「今日は終わりにしましょう」と言ってくれた。
(「これでも敷地の五分の一ですが……。あとは授業の合間に息抜きといった感じで回った方が良さそうですね」)
(「そうしてくれると助かります」)
後は食堂で夕飯を食べて部屋に案内されて眠った。
馬だから外でとも思ったけど、どうやら姫様のペットという扱いは決定らしく、屋内で過ごすようにと言い含められた。
ベッドの上に登って脚を折る楽な体制で目を閉じた。
思い浮かべるのは案内された城のこと。
城の一階は俺が案内された客室や使用人達の休憩室、食堂や倉庫が端の方に追いやられる形であって、あとは大きいパーティホール。謁見室、大広間、中庭、裏庭etc…
まあ、城の内部も広いが中庭も広いこと広いこと……。
城門が二つもある時点でお察しだよな。
ちなみに本城門の外、第二城門の中には近衛兵とかの詰所や馬小屋なんかがあるらしい。
そっちは案内されるとしても最後とかだろうな……。いや、馬小屋あるから近々行くかも知れないか?
そこに住むことになったらマジ馬だな。羽の生えた青い馬。…………いやただの事実でしかないけど。
はぁ……。マジでみんな、今頃どうしてんだろ?
無事に居てくれると良いけど……。
✳︎ ✳︎ ✳︎
朝、ふかふかのベッドの上で目覚めた俺が一番最初に見たもの、それはこの国のお姫様だった。
おい、これはダメじゃないのか?
一国の姫が共も付けずに正体不明なヤローの寝室に一人で来て。
お姫様は俺が寝ていたベッドに両肘を付き、その上に顎を乗せてキラキラした目で俺を眺めていたようだった。
俺が目を開けた事で急いで立ち上がって身なりを整え、お姫様然とした姿勢を取ったのは流石といえば良いのかなんなのか……。
「Uyohao. Ina Rurjiutsu Batoko」
相変わらずなんて言っているのかわからないこの世界の言葉に俺が首を傾げると、お姫様──いつの間にか回復術師からお姫様に呼び名が変わったな──はドレスの裾を摘んで可愛らしくお辞儀した。
ああ、もしかして朝の挨拶でもされたのか?
なんとなく雰囲気で察した俺は、ベッドから降りて小さく頭を下げながら挨拶を返した。
(「おはよう」)
「‼︎Sou. Rurjiutsu」
そんなキラキラとした顔で喜ばれると、こっちも釣られて笑ってしまう。
まあ、今の俺(馬)にはっきりとした表情があるのかは知らんけどな。
さて、お転婆お姫様を返して俺はさっさと朝飯をいただきたい。幸か不幸かこんな良い城に転がり込めたんだし、衣食住に困らないうちに知識もいただいてみんなを探しに行きたいところだ。
(「じゃあ、俺は朝飯を食いに──」)
「Masa SUPICA. ?Koso Rui」
部屋から出ようとしたら扉の外から女の人の声が聞こえた。
声の感じからしてメイドさんの一人だろう。
「Izuma. KIRA Rukatsumi」
あわあわと慌てふためくお姫様を見て「ああ、逃げたか抜け出したかしたんだな」と察した。
とんだお転婆じゃじゃ馬姫ってわけだ。
「?Masa SUPICA」
「?K Rusu Udo. Ika 1 Koko...」
窓をチラチラと見てる……。
まさか、一刻の姫が窓から外に出ようとか思ってないよな?
そのまさかだった。
お姫様は窓を静かに開け放つと、ドレスのスカートをたくし上げてヒラリと外へ飛び出して行った。
いや、うん。確かにあのくらいの女の子なら楽々通れるくらいの大きさの窓だけど、腰上くらいの高さをドレスで楽々飛び越えるって…………運動神経俺より良くないか?
これが異世界クオリティなのか?
めちゃくちゃ羨ましいんだが?
なんてことを考えてたら、メイドさんが部屋の中に入ってきた。
「Rusu Maja」
(「お姫様なら窓から出ていったぞ」)
「⁈Susgape」
この部屋に俺が居るって知らなかったのか、メイドさんがめちゃくちゃ驚いてる。
なんとなく申し訳なく思いながらも、向こうの言い分は分からないけどこっちの言いたいことは伝わるから、言うだけ言って俺も行動に移ることにした。
(「俺が目覚めた時には既にこの部屋に居たんだよ。なんでかは知らないけどな」)
「Masa SUPICA... Rua Doho Chanya Tohi Noa Kutamma」
やれやれといった風なメイドさんに思わず「お疲れ様です」と言いたくなるが、これもフラグになりそうだし何様だよと思って飲み込んだ。
お淑やかな礼を見せてメイドさんが部屋を出ていったあと、俺は空腹を思い出して昨日案内された食堂へと向かった。
廊下ではメイドさんが掃除をしていて、俺が通るたびに掃除の手を止めて恭しく挨拶をしてくる。
どうやら俺は"貴賓"であり"お姫様のペット"という事は既に周知されてしまったらしい。
いやいや俺そのうち出ていくぞ?
美貴、夏帆、辰巳、そしてマスターを探しに行って無事かどうか確かめるまで安心できない。
とりま最優先は自分の事だけどな。
自分のことすらまともにできない奴が他人の心配するのは優しさでもあるが同時に足手纏いの可能性も出てくるからな。そこは慎重になるべきだし、相手の重荷になるくらいなら黙って見ててくれた方が俺は嬉しい派。
だから、力がないくせに偽善者魂発揮して仲間の危機を誘発する系ヒロインは苦手なんだよな。基本紳士的に振る舞ってる俺でも好き嫌いはあるんだぜ?
なんて色々考えてたら食堂に到着した。
これは一応ノックするべきなんだろうな。
前脚を器用に使って、位置は低いが蹄で扉をノックした。
「?Reda」
(「すみません。朝食を頂きにきたんですけど、食堂で摂って大丈夫ですか?」)
「Masa Susgape. Ruiha Zoudo」
「Io,Ina Rujiutsu Batoko」
「T Dauso. ?Rusu Udo」
男二人が中で何か話し合ってるけど、やっぱりこの世界の言葉を理解するのは最優先事項だな。
いっそのことスキルで取っても良いかもとは思うけど、学べる環境があるならそっちの方が良い。知識は力って言うしな。
一人でうんうん頷いてると、扉が開かれて手招きされた。
ボディランゲージが使える人間って良いよな……。
俺も早く人間になりたーい。なんつって。
そして朝食。
洋風らしくサラダとパン(バケット?)とスープ。そしてなぜか俺だけデザートにフルーツの盛り合わせが出てきた。
これは特別扱い……。
いや、まあ……この国の姫様と執事──もしかしたら家令かもしれない──カウスさんがそう言ったならこうなるよな。
(「やはりこちらに居られましたか」)
噂をすればカウスさんが厨房があるだろう方からトレイ片手に優雅にやってきた。
従業員用の紅茶だろうか? 四つのカップに少し大きめのティーポット。角砂糖とミルクカップが載っているトレイを揺らす事なく静かにテーブルの上に置いた。
なんで偉い人が茶の用意してんだ? 趣味か?
(「……ペガサス様も飲まれますか?」)
(「え? ああ、紅茶ですか?」)
(「紅茶もご存知なのですね」)
普通に答えたけど、やっぱり魔獣が人間の生活を知ってるって変なんだろうな。
これから俺は変にフラグを立てないように、人間の知識を封印したほうが良いんだろうか?
……なんか、知識の封印って格好良いな。
厨二病っぽいけど、人間の7~8割はずっと厨二病なんだよ。みんな格好良い単語とか大好きだろ? 俺は特別だとかは思わないけど、それくらいの可愛い厨二病はきっとずっと治らないんだよ。たぶん。
(「お飲みになられますか?」)
(「あ、自分は大丈夫です。…………水で」)
本当はコーヒーとか飲みたいけど、もう人間の知識をひけらかすのはやめとこう。
もしもこの先マスターに会えたら、その時に作ってもらおう。楽しみは後に取っておくタイプだからな、俺は。
その時は絶対みんな一緒に、昔みたいに楽しく過ごせたら良いな……。
そのために、この世界での生きる力を身に付けないとな。
(「カウスさん、早速ですけど勉強教えてもらって良いですか?」)
(「かしこまりました。では、少し仕事を片付けてから参りますので、自室でお持ちください」)
忙しいところ申し訳ないなと思いつつも、享受できるところはしっかり貰っとかないとな。親父も「貰っておけるものは貰っておけ。特に若いうちはな」って言ってたし。「自分が大人になったら、今度はお前が若い奴に与えられる立派なやつになれ」とも言ってたっけ。
自室に戻りながら、この世界の転生して大して時間が経っていないにもかかわらず、懐かしい思い出が芋づる式に思い出されていく。
親父にそんなことを言われたのは、確か近所の婆ちゃんから貰った小遣いの件だった。それのせいでカンナと喧嘩したっけ。
「なんでお兄ちゃんばっかり」ってな……。
こんなことを思い出すなんて、思っていたよりも俺は不安で、寂しいのかもな……。
馬の身ながら器用に扉を開け、あてがわれた自室へと戻った俺は、カウスさんが来るまでやることもないからと自分の保有スキルを見直すことにした。
(【鑑定】)
《名前:なし
種族:幻獣種 ペガサス
LV:2
HP:102
PW:270
DF:124
SP:320
MP:1030
称号:『転生者』、『幻ノ魔獣』
スキル:【水属性魔法】Lv.1
【風属性魔法】Lv.1
【雷属性魔法】Lv.2
【重力魔法】Lv.2
【回復魔法】Lv.1
【補助魔法】Lv.1
【剛力】Lv.1
【俊足】Lv.1
【魔法師】Lv.1
【HP自動回復】Lv.1
【MP自動回復】Lv.3
【物理攻撃耐性】Lv.1
【魔法攻撃耐性】Lv.2
【冷気耐性】Lv.1
【氷結耐性】Lv.1
【誘惑耐性】Lv.1
【視覚強化】Lv.1
【魔力感知】Lv.2
【思考加速】Lv.1
【索敵】Lv.1
【隠密】Lv.1
【領域支配】Lv.1
【種族統制】Lv.1
(称号:『次期王』特典、固有スキル)
【鑑定】
(称号:『転生者』特典、ユニークスキル)
【念話】
【威圧】
【暗視】
【第六感】
【幻獣浄化】
(称号:『幻ノ魔獣』特典、固有スキル)
スキルポイント:1600》
疲労が取れてすっかりステータスも元通りだな。
まあ、あれだけ休んで疲労が取れてなかったらなんの冗談かと思うけどな。
しかし、勉強もそうだけどスキルやステータスをもっと上げないとどうしようもないよな。
神様曰く「簡単には死なない」らしいけど、しょっぱなからサイクロプスとエンカウント(不本意)したしな……。
【隠密】が気配を消してゲットできたなら、体力向上系の【剛力】とか【俊足】なんかは筋トレすれば経験値貯まったりするだろうな。……よくある設定的に。
あとはHPとDFを底上げするスキルも欲しいところだよな。
…………何すりゃいいんだよ。
体力向上は……とりあえず運動すりゃ良いのか? それで【俊足】とかの経験値も貯まれば儲けもんだし、防御力もワンチャンあれば良しだな。
つか、【魔法師】をどうやって上げるかだな。魔力向上ってことは……魔法の練習? よくあるパターンだと、限界まで魔力を使うってのがセオリーだけど……。
考えても始まらないし、自由に動けるようになったら色々特訓してみるか。
そうやって今後の計画を立てていたら、控えめなノックの音が聞こえてきた。
カウスさんかな?
(「どうぞ」)
入ってきて良いよと言ってから微妙な間が空いて、ガチャリと扉が開いた。
念話で「失礼します」と言いながら入ってきたのは、やっぱりカウスさんだった。
カウスさんは俺の目の前までやってきて、にこやかに「実は、念話は相手の姿を思い浮かべなければ使えないという欠点があるのです」と説明した。
(「出会って間もないペガサス様の姿を意識しなければならないので、どうしても時間が掛かってしまうのです。相手が目の前に居れば、その限りではないのですが」)
妙な間があった事が気になってないって言ったら嘘になるけど、それにしたって怖いんだが? なんだ? なんで思考読まれてんだ?
(「【念話】を始めて使う者には、一度説明している事なのですよ」)
(「……ああ、そうですか」)
にしたって怖すぎる。
やっぱりこの人には逆らわないでおこう。そう思った瞬間だった。
(「さて、さっそくですが【念話】を使わない、人間の言語を学びたいという事でしたので……簡単な会話と幼児向けの教科書、そして絵本を持ってきました。まずは読み書きから少しずつ覚えていきましょう」)
(「はい。よろしくお願いします!」)
✳︎ ✳︎ ✳︎
机に向かうこと2時間……。
【念話】のおかげで日本で言うところの五十音の聞き取りと、英語で言うローマ字の書き方・読み方はある程度覚えられた。
こういうのは法則性が大事なんだよな。
マジで日本語と英語を足して2で割ったような書き方には未だ混乱するし、発音とかもまだまだ拙いけど、挨拶とか簡単な言葉のやりとりならできるようになったと思う。
(「ペガサス様は優秀なので、教える身としては楽しいですね。では、復習しましょう」)「お、は、よ、う、ご、ざ、い、ま、す」(「私は今、なんと言いましたか?」)
(「おはようございます」)
(「正解です。では次です」)
そんな感じで休憩を挟みながら、昼食までの時間を使ってカウスさんに言葉を教えてもらった俺は、幼児向けの絵本が読めるようになった。
漢字もカタカナも無いって、凄い楽なんだな。
日本、言葉に対して複雑すぎじゃね?
(「素晴らしいですね。たった4時間ほどで人間の言語を理解してしまえるとは。これも幻獣種の成せるワザ、なのでしょうか」)
いや、多分俺が規格外なだけだと思う。元人間だし。高校卒業程度には知能あるし。
(「優秀なので、明日からはもう少し専門的な用語集をお持ちいたします」)
(「……はい。ありがとうございます」)
嬉しくない。ありがたいけど。……いや、学べる環境があるのは嬉しいことだ。
(「昼食を召し上がられましたら、昨日の続きで城の案内をさせていただきますが、私ではなく替わりの者を寄越しますのでご了承ください」)
丁寧に頭を下げたカウスさんは、頭を下げた状態のまま「では、失礼ですが私は仕事があるのでこれで失礼します」と部屋を出て行った。
俺はすぐにふぅ、と小さく息を吐き出した。
終始丁寧な態度を取られて、こっちが逆に緊張したからだ。
やっと肩の力が抜けた気がすると、勉強のせいだけじゃない疲れに体を思いっきり伸ばした。
あー、横になりたい。けど、馬の場合立ってる方が落ち着くんだよな。草食動物の本能なのか知らないけど。
疲れが体にしっかり反映されたのか、盛大に腹が鳴った。
やっぱり頭を使うと腹が減るのは、人間でも動物でも魔物でも一緒なのかも知れない。
とにかく午後も広大な城を歩き回るわけだからと、俺は空腹と妙な疲れに少しだけフラつきながら食堂へと向かった。
食後の運動も兼ねて……とか軽く思ってた自分を殴りたくなるくらい広い城に、内心ため息を零しながら隅々まで見て回った。
途中途中で休憩挟んでるから肉体的に疲れてはいないんだけど、外は既に夕方にも関わらず【自動地図】を見る限り全然埋まらない城の大きさに精神が疲れた。
そんな俺の内心の疲れを悟ったのか、カウスさんが「今日は終わりにしましょう」と言ってくれた。
(「これでも敷地の五分の一ですが……。あとは授業の合間に息抜きといった感じで回った方が良さそうですね」)
(「そうしてくれると助かります」)
後は食堂で夕飯を食べて部屋に案内されて眠った。
馬だから外でとも思ったけど、どうやら姫様のペットという扱いは決定らしく、屋内で過ごすようにと言い含められた。
ベッドの上に登って脚を折る楽な体制で目を閉じた。
思い浮かべるのは案内された城のこと。
城の一階は俺が案内された客室や使用人達の休憩室、食堂や倉庫が端の方に追いやられる形であって、あとは大きいパーティホール。謁見室、大広間、中庭、裏庭etc…
まあ、城の内部も広いが中庭も広いこと広いこと……。
城門が二つもある時点でお察しだよな。
ちなみに本城門の外、第二城門の中には近衛兵とかの詰所や馬小屋なんかがあるらしい。
そっちは案内されるとしても最後とかだろうな……。いや、馬小屋あるから近々行くかも知れないか?
そこに住むことになったらマジ馬だな。羽の生えた青い馬。…………いやただの事実でしかないけど。
はぁ……。マジでみんな、今頃どうしてんだろ?
無事に居てくれると良いけど……。
✳︎ ✳︎ ✳︎
朝、ふかふかのベッドの上で目覚めた俺が一番最初に見たもの、それはこの国のお姫様だった。
おい、これはダメじゃないのか?
一国の姫が共も付けずに正体不明なヤローの寝室に一人で来て。
お姫様は俺が寝ていたベッドに両肘を付き、その上に顎を乗せてキラキラした目で俺を眺めていたようだった。
俺が目を開けた事で急いで立ち上がって身なりを整え、お姫様然とした姿勢を取ったのは流石といえば良いのかなんなのか……。
「Uyohao. Ina Rurjiutsu Batoko」
相変わらずなんて言っているのかわからないこの世界の言葉に俺が首を傾げると、お姫様──いつの間にか回復術師からお姫様に呼び名が変わったな──はドレスの裾を摘んで可愛らしくお辞儀した。
ああ、もしかして朝の挨拶でもされたのか?
なんとなく雰囲気で察した俺は、ベッドから降りて小さく頭を下げながら挨拶を返した。
(「おはよう」)
「‼︎Sou. Rurjiutsu」
そんなキラキラとした顔で喜ばれると、こっちも釣られて笑ってしまう。
まあ、今の俺(馬)にはっきりとした表情があるのかは知らんけどな。
さて、お転婆お姫様を返して俺はさっさと朝飯をいただきたい。幸か不幸かこんな良い城に転がり込めたんだし、衣食住に困らないうちに知識もいただいてみんなを探しに行きたいところだ。
(「じゃあ、俺は朝飯を食いに──」)
「Masa SUPICA. ?Koso Rui」
部屋から出ようとしたら扉の外から女の人の声が聞こえた。
声の感じからしてメイドさんの一人だろう。
「Izuma. KIRA Rukatsumi」
あわあわと慌てふためくお姫様を見て「ああ、逃げたか抜け出したかしたんだな」と察した。
とんだお転婆じゃじゃ馬姫ってわけだ。
「?Masa SUPICA」
「?K Rusu Udo. Ika 1 Koko...」
窓をチラチラと見てる……。
まさか、一刻の姫が窓から外に出ようとか思ってないよな?
そのまさかだった。
お姫様は窓を静かに開け放つと、ドレスのスカートをたくし上げてヒラリと外へ飛び出して行った。
いや、うん。確かにあのくらいの女の子なら楽々通れるくらいの大きさの窓だけど、腰上くらいの高さをドレスで楽々飛び越えるって…………運動神経俺より良くないか?
これが異世界クオリティなのか?
めちゃくちゃ羨ましいんだが?
なんてことを考えてたら、メイドさんが部屋の中に入ってきた。
「Rusu Maja」
(「お姫様なら窓から出ていったぞ」)
「⁈Susgape」
この部屋に俺が居るって知らなかったのか、メイドさんがめちゃくちゃ驚いてる。
なんとなく申し訳なく思いながらも、向こうの言い分は分からないけどこっちの言いたいことは伝わるから、言うだけ言って俺も行動に移ることにした。
(「俺が目覚めた時には既にこの部屋に居たんだよ。なんでかは知らないけどな」)
「Masa SUPICA... Rua Doho Chanya Tohi Noa Kutamma」
やれやれといった風なメイドさんに思わず「お疲れ様です」と言いたくなるが、これもフラグになりそうだし何様だよと思って飲み込んだ。
お淑やかな礼を見せてメイドさんが部屋を出ていったあと、俺は空腹を思い出して昨日案内された食堂へと向かった。
廊下ではメイドさんが掃除をしていて、俺が通るたびに掃除の手を止めて恭しく挨拶をしてくる。
どうやら俺は"貴賓"であり"お姫様のペット"という事は既に周知されてしまったらしい。
いやいや俺そのうち出ていくぞ?
美貴、夏帆、辰巳、そしてマスターを探しに行って無事かどうか確かめるまで安心できない。
とりま最優先は自分の事だけどな。
自分のことすらまともにできない奴が他人の心配するのは優しさでもあるが同時に足手纏いの可能性も出てくるからな。そこは慎重になるべきだし、相手の重荷になるくらいなら黙って見ててくれた方が俺は嬉しい派。
だから、力がないくせに偽善者魂発揮して仲間の危機を誘発する系ヒロインは苦手なんだよな。基本紳士的に振る舞ってる俺でも好き嫌いはあるんだぜ?
なんて色々考えてたら食堂に到着した。
これは一応ノックするべきなんだろうな。
前脚を器用に使って、位置は低いが蹄で扉をノックした。
「?Reda」
(「すみません。朝食を頂きにきたんですけど、食堂で摂って大丈夫ですか?」)
「Masa Susgape. Ruiha Zoudo」
「Io,Ina Rujiutsu Batoko」
「T Dauso. ?Rusu Udo」
男二人が中で何か話し合ってるけど、やっぱりこの世界の言葉を理解するのは最優先事項だな。
いっそのことスキルで取っても良いかもとは思うけど、学べる環境があるならそっちの方が良い。知識は力って言うしな。
一人でうんうん頷いてると、扉が開かれて手招きされた。
ボディランゲージが使える人間って良いよな……。
俺も早く人間になりたーい。なんつって。
そして朝食。
洋風らしくサラダとパン(バケット?)とスープ。そしてなぜか俺だけデザートにフルーツの盛り合わせが出てきた。
これは特別扱い……。
いや、まあ……この国の姫様と執事──もしかしたら家令かもしれない──カウスさんがそう言ったならこうなるよな。
(「やはりこちらに居られましたか」)
噂をすればカウスさんが厨房があるだろう方からトレイ片手に優雅にやってきた。
従業員用の紅茶だろうか? 四つのカップに少し大きめのティーポット。角砂糖とミルクカップが載っているトレイを揺らす事なく静かにテーブルの上に置いた。
なんで偉い人が茶の用意してんだ? 趣味か?
(「……ペガサス様も飲まれますか?」)
(「え? ああ、紅茶ですか?」)
(「紅茶もご存知なのですね」)
普通に答えたけど、やっぱり魔獣が人間の生活を知ってるって変なんだろうな。
これから俺は変にフラグを立てないように、人間の知識を封印したほうが良いんだろうか?
……なんか、知識の封印って格好良いな。
厨二病っぽいけど、人間の7~8割はずっと厨二病なんだよ。みんな格好良い単語とか大好きだろ? 俺は特別だとかは思わないけど、それくらいの可愛い厨二病はきっとずっと治らないんだよ。たぶん。
(「お飲みになられますか?」)
(「あ、自分は大丈夫です。…………水で」)
本当はコーヒーとか飲みたいけど、もう人間の知識をひけらかすのはやめとこう。
もしもこの先マスターに会えたら、その時に作ってもらおう。楽しみは後に取っておくタイプだからな、俺は。
その時は絶対みんな一緒に、昔みたいに楽しく過ごせたら良いな……。
そのために、この世界での生きる力を身に付けないとな。
(「カウスさん、早速ですけど勉強教えてもらって良いですか?」)
(「かしこまりました。では、少し仕事を片付けてから参りますので、自室でお持ちください」)
忙しいところ申し訳ないなと思いつつも、享受できるところはしっかり貰っとかないとな。親父も「貰っておけるものは貰っておけ。特に若いうちはな」って言ってたし。「自分が大人になったら、今度はお前が若い奴に与えられる立派なやつになれ」とも言ってたっけ。
自室に戻りながら、この世界の転生して大して時間が経っていないにもかかわらず、懐かしい思い出が芋づる式に思い出されていく。
親父にそんなことを言われたのは、確か近所の婆ちゃんから貰った小遣いの件だった。それのせいでカンナと喧嘩したっけ。
「なんでお兄ちゃんばっかり」ってな……。
こんなことを思い出すなんて、思っていたよりも俺は不安で、寂しいのかもな……。
馬の身ながら器用に扉を開け、あてがわれた自室へと戻った俺は、カウスさんが来るまでやることもないからと自分の保有スキルを見直すことにした。
(【鑑定】)
《名前:なし
種族:幻獣種 ペガサス
LV:2
HP:102
PW:270
DF:124
SP:320
MP:1030
称号:『転生者』、『幻ノ魔獣』
スキル:【水属性魔法】Lv.1
【風属性魔法】Lv.1
【雷属性魔法】Lv.2
【重力魔法】Lv.2
【回復魔法】Lv.1
【補助魔法】Lv.1
【剛力】Lv.1
【俊足】Lv.1
【魔法師】Lv.1
【HP自動回復】Lv.1
【MP自動回復】Lv.3
【物理攻撃耐性】Lv.1
【魔法攻撃耐性】Lv.2
【冷気耐性】Lv.1
【氷結耐性】Lv.1
【誘惑耐性】Lv.1
【視覚強化】Lv.1
【魔力感知】Lv.2
【思考加速】Lv.1
【索敵】Lv.1
【隠密】Lv.1
【領域支配】Lv.1
【種族統制】Lv.1
(称号:『次期王』特典、固有スキル)
【鑑定】
(称号:『転生者』特典、ユニークスキル)
【念話】
【威圧】
【暗視】
【第六感】
【幻獣浄化】
(称号:『幻ノ魔獣』特典、固有スキル)
スキルポイント:1600》
疲労が取れてすっかりステータスも元通りだな。
まあ、あれだけ休んで疲労が取れてなかったらなんの冗談かと思うけどな。
しかし、勉強もそうだけどスキルやステータスをもっと上げないとどうしようもないよな。
神様曰く「簡単には死なない」らしいけど、しょっぱなからサイクロプスとエンカウント(不本意)したしな……。
【隠密】が気配を消してゲットできたなら、体力向上系の【剛力】とか【俊足】なんかは筋トレすれば経験値貯まったりするだろうな。……よくある設定的に。
あとはHPとDFを底上げするスキルも欲しいところだよな。
…………何すりゃいいんだよ。
体力向上は……とりあえず運動すりゃ良いのか? それで【俊足】とかの経験値も貯まれば儲けもんだし、防御力もワンチャンあれば良しだな。
つか、【魔法師】をどうやって上げるかだな。魔力向上ってことは……魔法の練習? よくあるパターンだと、限界まで魔力を使うってのがセオリーだけど……。
考えても始まらないし、自由に動けるようになったら色々特訓してみるか。
そうやって今後の計画を立てていたら、控えめなノックの音が聞こえてきた。
カウスさんかな?
(「どうぞ」)
入ってきて良いよと言ってから微妙な間が空いて、ガチャリと扉が開いた。
念話で「失礼します」と言いながら入ってきたのは、やっぱりカウスさんだった。
カウスさんは俺の目の前までやってきて、にこやかに「実は、念話は相手の姿を思い浮かべなければ使えないという欠点があるのです」と説明した。
(「出会って間もないペガサス様の姿を意識しなければならないので、どうしても時間が掛かってしまうのです。相手が目の前に居れば、その限りではないのですが」)
妙な間があった事が気になってないって言ったら嘘になるけど、それにしたって怖いんだが? なんだ? なんで思考読まれてんだ?
(「【念話】を始めて使う者には、一度説明している事なのですよ」)
(「……ああ、そうですか」)
にしたって怖すぎる。
やっぱりこの人には逆らわないでおこう。そう思った瞬間だった。
(「さて、さっそくですが【念話】を使わない、人間の言語を学びたいという事でしたので……簡単な会話と幼児向けの教科書、そして絵本を持ってきました。まずは読み書きから少しずつ覚えていきましょう」)
(「はい。よろしくお願いします!」)
✳︎ ✳︎ ✳︎
机に向かうこと2時間……。
【念話】のおかげで日本で言うところの五十音の聞き取りと、英語で言うローマ字の書き方・読み方はある程度覚えられた。
こういうのは法則性が大事なんだよな。
マジで日本語と英語を足して2で割ったような書き方には未だ混乱するし、発音とかもまだまだ拙いけど、挨拶とか簡単な言葉のやりとりならできるようになったと思う。
(「ペガサス様は優秀なので、教える身としては楽しいですね。では、復習しましょう」)「お、は、よ、う、ご、ざ、い、ま、す」(「私は今、なんと言いましたか?」)
(「おはようございます」)
(「正解です。では次です」)
そんな感じで休憩を挟みながら、昼食までの時間を使ってカウスさんに言葉を教えてもらった俺は、幼児向けの絵本が読めるようになった。
漢字もカタカナも無いって、凄い楽なんだな。
日本、言葉に対して複雑すぎじゃね?
(「素晴らしいですね。たった4時間ほどで人間の言語を理解してしまえるとは。これも幻獣種の成せるワザ、なのでしょうか」)
いや、多分俺が規格外なだけだと思う。元人間だし。高校卒業程度には知能あるし。
(「優秀なので、明日からはもう少し専門的な用語集をお持ちいたします」)
(「……はい。ありがとうございます」)
嬉しくない。ありがたいけど。……いや、学べる環境があるのは嬉しいことだ。
(「昼食を召し上がられましたら、昨日の続きで城の案内をさせていただきますが、私ではなく替わりの者を寄越しますのでご了承ください」)
丁寧に頭を下げたカウスさんは、頭を下げた状態のまま「では、失礼ですが私は仕事があるのでこれで失礼します」と部屋を出て行った。
俺はすぐにふぅ、と小さく息を吐き出した。
終始丁寧な態度を取られて、こっちが逆に緊張したからだ。
やっと肩の力が抜けた気がすると、勉強のせいだけじゃない疲れに体を思いっきり伸ばした。
あー、横になりたい。けど、馬の場合立ってる方が落ち着くんだよな。草食動物の本能なのか知らないけど。
疲れが体にしっかり反映されたのか、盛大に腹が鳴った。
やっぱり頭を使うと腹が減るのは、人間でも動物でも魔物でも一緒なのかも知れない。
とにかく午後も広大な城を歩き回るわけだからと、俺は空腹と妙な疲れに少しだけフラつきながら食堂へと向かった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】絶対神の愛し子 ~色違いで生まれた幼子は愛を知る~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
産まなければよかった! 母親に罵られた幼子は、傷つけられた心と体を抱えて蹲る。
髪の色を父親から、瞳の色は母親から受け継ぐ世界で、幼子は両親のどちらとも違う色で生まれた。それが不幸の始まりであり、同時に幼子が絶対者に愛される要因となる。
絶対権力と圧倒的な力を誇る神に庇護され、世界の要となる愛し子は幸せを掴む。
ハッピーエンド確定。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2023/09/25――エブリスタ、ファンタジートレンド 1位
※2023/09/13――完結
※2023/06/05――アルファポリス、女性向けHOT 38位
※2023/06/05――カクヨム、異世界ファンタジー日間 62位
※2023/06/04――小説家になろう、ハイファンタジー日間 16位
※2023/06/04――エブリスタ、ファンタジートレンド 1位
※2023/06/04――連載開始
あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う
Gai
ファンタジー
男の子は幼いながらに知ってしまった。
女の子が男の子を好きになる要因は顔なのだと。
初恋が敗れたと知った四歳のティール。
父に、母に、兄に慰めて貰ったが、直ぐに傷が癒えることは無かった。
だが、五歳になった翌日、ティールは神からのギフトを得た。
神からのギフト、それは誰しもが与えられる神からの恩恵では無く、限られた者のみしか得られないスキル。
後天的に習得出来るスキルであっても、内容は先天的に得たスキルの方が強い。
そしてティールが得たスキルは強奪≪スナッチ≫ そして知性。
この二つのスキルを得たティールの思考が、考えが、未来が一変する。
「そうだ、初恋に敗れたからなんだ。そんな消し飛ぶくらい人生を楽しんでやる!!!」
さて、ティールはその知性で何を考え、奪取≪スナッチ≫で何を奪うのか
反魔師~外れ勇者として追放されたおっさんは最高の魔法職となり真の勇者を目指す~
名無し
ファンタジー
宮下光蔵はランニング中、異世界に勇者として召喚される。ところが、召喚師たちに理不尽な理由で総スカンを食らい、挙句の果てに胡散臭い鑑定師に無能と判定され、外れ勇者として追放されてしまう。どん底まで落ちた光蔵だったが、様々な仲間たちと出会ってともに旅をしていくうち、やがて史上最高の魔法職になり、真の勇者を目指すことになるのだった……。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる