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黒霧濃霧発生中

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朝の陽の光に顔を照らされ、眩しさに横を向く。

すると、何やら硬い感触に、確かめるように、抱きつくと、トクトクと心地よい音に夢にまた誘われる。

すりすりと頭をこすりつけると、クスクスと笑い声が耳を擽る。

むにゃむにゃ…

眠い意識の中、笑い声も優しくて、トクトクとした音も心地よくて. 、まだ起きたくないと抗うが…


ふと浮かぶ満月の出来事に、目がパチリと開いた。


「起きたか?ヒヨリ?フフッくすぐったいぞ。」

目の前には男が羨むほどの彫刻の様な胸板、灰色の肌…顔を上げると、水色の髪が朝日で空の色になっていた。

黒目の金の瞳が優しくヒヨリを見つめた。


「おはよう。ヒヨリ。」

一気な思い出した昨日の出来事にあわあわと口を震えさせ、キョドリつつも、挨拶する。


慌てて、ベッドから起きあがろうとすると、ダイナにギュッと抱き込まれた。


「まだ早い。もう少し俺のヒヨリでいてくれ。」


ピャーー!!


あ、甘い!甘すぎるよダイナさん!


俺は、トマト面で大人しくダイナのベッドに転がる。

トマト面の俺のほっぺをぷにぷに突っついていると、ドアの隙間から異様にどす黒い霧が入ってくる。

ダイナは黒霧を見ると、チッと小さく舌打ちした。

「…ガルディアがそろそろ切れそうだ。バリアは張ってあるが、奴の威圧が滲み込んできている…前にも話したが、アイツは俺達のバリアぐらい壊せるがギルドまで壊す事になるから抑えているだけ…そろそろ、壊す方を選びそうだ…。」


なんちゅう恐ろしい奴…

ゾワッとしながら、黒霧を見ていると、ダイナは服を着始めた。

そして俺のほっぺにチュウッとキスをする。


「もう少し…ヒヨリと居たかったが、このままではまずい。…ガルディアに渡すのはムカつくが…仕方ない。」

切なく笑うダイナをポカンと見る。


えっ?俺、ガルに渡されちゃうの?

今お怒り中のガルに?

一気にサーーと血の気が引いた。

「ヤダヤダ!!ガルに俺を渡さないで!!怖い!怖いよ!」

俺はダイナに縋り付く。

うわーん!!絶対死ぬ!エッチで殺さられる!!

泣きながら赤子のように抱きつくヒヨリをギュッと抱きしめるダイナ。


「くっ!すまないヒヨリ…俺がガルディアより弱いばかりに…!!…そんなに嫌なら俺と逃げるか?」

えっ?と涙うるうるの瞳でダイナを見ると、覚悟を決めた様に真剣な瞳を向けていた。


「お前が、そんなに言うなら、一緒ににげよう。…奇跡的に逃げ切れるかもしれん。…だが、捕まれば、ヒヨリはもう外の空気は吸えないだろう。…俺も闇へと落とされるかもしれん…だが、ヒヨリの事は命に変えても俺が守…ひより?」

俺は速攻着替えました。

お怒りエッチは多分1日、2日。
ウェルカム!お怒りエッチ。


真面目なダイナさんにお怒りエッチの為逃げ出して、そんな恐ろしい目にあわせられませーん!!

逃げてもいいんだぞ?と真剣に言うダイナさん。


いや、命は大切に!

俺は外の空気を吸いたいです!


やる気に溢れたダイナさんは渋々バリアを解除すると、扉が急にボンッと吹っ飛んだ。

ヒィィ!!


ガルの威圧をバリアが防いでいたが、解除した瞬間、耐え切れず扉が吹っ飛んなみたいだ。

室内の壁にぶち当たり、ヒビの入る扉…。


近くにいなくて本当によかった。


外では、ボロボロのシスとアルがいた。

禍々しい黒霧を背負って、エメラルドの瞳を光らせるガルは絶対悪役だと思う。


魔王さんだよね?


「…ヒヨリ…。」


いや、どっから出しているのその声…。


やばい!確実に喰われる!


とにかく雰囲気変えないと!



俺は自ら震える足を叩き、ガルの丸太の様な腕に抱きついた。

「ガル!迎えに来てくれたんだね!ありがとう!ねえ!一緒に朝ごはん食べよ?」

男のプライドなんて捨てちまえ!ガルより怖いものは無い!

TVで見た一推し可愛いアイドルのマネをする。

上目遣いでニコニコすると、恐ろしい顔は変わらないが、心なしか黒霧が薄くなる。


抱きつき甘える俺の姿にショックを受けたのか、切なそうに歪むダイナ。

「…ヒヨリ…さっきはあんなに俺に縋り付いて、ガルに渡さないで!って言っていたのに…」


シャラーップ!!!!


「……。」


ブワッ!!と、消えたはずの黒霧が濃霧となる。


ヒィィイイ!!


「ダイナさん!恥ずかしくて、照れただけだよ!!ごめんね心配かけて!でも、俺、やっぱり迎えに来てくれて嬉しいなガル!そうだ、朝ごはん食べたら、街に一緒に遊びに行かない?ガルと出掛けたいな!…闇獅子の件もあるけど、強くてカッコいいガルが一緒なら平気だよね?」


また上目遣いのうるうる攻撃フラッシュ!!

ガルはジッと見ながら、頬を染める。


よし!効いてる!


「…かっこいい?」


ポツリと呟くガルにブンブンと頭を振る。


「最高にかっこいい!!」

黒霧濃霧発生から徐々に薄まる。


「デートか?」


デートなわけねえだろー!男同士だー!!

「うん♡デートだよ!」

シューッと完全に消えた濃霧はパァァと花に変わった。

「ひ、ヒヨリ!は、早く朝ごはん!早くデートしよう!」


無表情ながらも、花を飛ばし、ワクワクと身体を弾ませる魔王に、俺はガッツポーズを作る。


「ダイナ…こいつらはヒヨリに治させない。お前がなんとかしろ。後俺の部屋にウランとティーンも倒れている。」


足元に転がるシスとアルを跨ぎ、ジロッとダイナを見てから、俺を連れ去る。


皆様、俺の為にごめんなさい!!!!







  
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