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スカイブルーの瞳。

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俺はヒューと一緒のテントらしく、中に通された。

「ヒヨリ、こっちに来い。」
ふわふわの布団に寝そべるヒューに呼ばれ、眉をしかめながらも側に寄る。

「大丈夫だ。そんな硬くなるな。今日はいっぱい歩いた。疲れただろう?何もしない。」

じゃあなんで半裸なんだよ…。

まあ、信じようじゃないか…と寝そべると、甘える様にヒューは引っ付いてくる。
引き剥がそうにも、グルグル喉を鳴らされると、つい、撫でてしまう。

はあ、俺は猫科に弱かったんだな。

撫でる手を止めると、催促の様に手をペロッと舐めてくる。

ぐぬぬぬぬぬ!可愛いじゃないか。

撫でながら、うとうとするヒューを見て、俺も眠くなる。盗賊のテントでこんなリラックスしていいのか分からないが、ヒューのグルグルという喉の音とふわふわのお布団に誘われ、眠りにつく。

朝はヒューのザラザラ舌で顔を舐められ起床。

水辺で顔を洗い、朝食として配られたスープを飲み、また歩く。

皆は心配してくれているが、俺は神の加護があるから全回復。だけど、バレるとまずいから、疲れたフリをする。申し訳ないけど…

かなり歩いて、昼頃かな。

食事を済ませ、俺が逃げれないと思ったのか、作業中も縛られなくなったので、食器を洗う手伝いをしに水辺にいく。

わしゃわしゃ洗っていると、俺の隣に男がしゃがんだ。

見張りか?と思いながら、気にせずに洗うと、男は食器を手にとり、隣で洗い始めた。

手伝ってくれる事にお礼を言おうと顔を上げると、男はフードをかぶっていた。

盗賊の中にも多分獣人で夜行性タイプがフードを日中、深く被っているので気にしなかったが、フードの中から覗くスカイブルーの瞳に、俺は目を見開いた。

「えっ?う、ウラン?」
シッと口元に指を持ってくる。

「どうかしました?ヒヨリさん?」

少し離れた場所で食器を洗っていた盗賊に話掛けられたが、何でもないと答える。

俺は食器を洗いながら、隣のウランに安堵する。

「どうやってここへ?」

「俺達を騙した客の人数的に多かったし、ヒヨリが目的ならすぐ移動する。と、なると人数的に目立たないように移動。そして、王都前の木が奴らの仕業なら、奴らも王都へ向かう。後は一か八かで来たらビンゴだ。お前の足に合わせて歩いてくれたおかげで追いついたぜ。」

何と!!ウランさん、流石です!

「ただ、この状況でどう逃げるか…。余程気に入られたようだな。紛れ込むのが大変だったぜ。」

「ウラン…この人数の中、逃げるのは難しい。だから、先に王都に行ってくれない?それかティーンとアルに伝えて?人攫いの犯人は海流の鬼ザメっていう盗賊で火山の狐ってギルドと手を組んでいるって。そいつらを倒しに、今王都に向かっているんだ、こいつら。」

俺は洗いながら、コソコソ話した。

「何!?では、こいつらは人攫いではないと?ギルドが盗賊と??」

「うん。あのライオンが俺を気に入って攫っただけ。だから乱暴には扱われない。王都で隙が出来てからにしよう?だから、先にこの情報を…!!」

俺が話しきる前に、いきなりウランが横に飛んだ。

ウランがいた場所に、拳が刺さっている。

その拳の持ち主はタキ!!

「なんか、嗅いだ事のある、俺らの仲間じゃない奴がいると思えば、お前は確か…ヒヨリと一緒にいた奴だな?」

地面から拳を抜いて、ゴキゴキと骨を鳴らす。

「そいつは兄貴らしいぜ。」
ヒューも現れた。

チッと舌打ちしつつ、ウランは剣を抜いて立ち上がる。

「ウラン!!」
ザッと周りを囲まれたウランに俺は駆け寄ろうとした。

だが、ジーンさんが、俺の背後から現れ、刃を俺に向ける。

「ヒヨリさん。動かないで。貴方を傷つけるつもりはありません。」

ウランは、俺の首に刃物が向けられたのを見て、苦しそうに顔を歪ます。

「剣を捨てなさい!捨てないとヒヨリに傷がつきますよ!?」

チッと舌打ちして、剣を投げ捨てる。

するとウランは、周りの盗賊達に殴られ、蹴られた。

「やめて!!ウランに何もしないで!!」

俺の叫びに、ヒューが吼える。

その声に、盗賊達は暴行を止めた。

俺は、傷だらけで倒れたウランに駆け寄る。

意識のあるウランは俺に、治すなと小さく呟く。

能力をバラすなってことだろうけど、盗賊には力が強い獣人もいる。血だらけのウランを治せないなんて!!

俺は涙目でヒュー達を睨む。

「剣を捨てたんだ!暴行することないだろう!?あんたらが俺を攫って、ウランは俺を助けに来ただけだ!悪いことしてないじゃないか!!」

泣く俺に、ヒューは近寄り、俺の顎を指で持ち上げた。

「ああ、悪いのは俺達だ。だがな、どんなに悪かろうと、お前を手放すきはない。」

そう言って、俺の頬の涙を舐めとる。

「そいつも連れて行く。縛っとけ。」

俺からウランを引き離すと、盗賊達はウランを連れて行ってしまった。

「ウラン!!ウラン!お願い、もう酷いことしないで!!」

泣いて叫ぶ俺をタキは抱き抱え連れて行く。

「タキ!離して!!俺はウランといる!!ウラン!!」

肩に担がれながら、ウランに向かって叫ぶ俺の尻をタキは叩く。

「本当に兄弟か?あまり叫ぶな。これ以上ヒューを刺激するとまずいぞ?お前はアイツの初恋だ。アイツを嫉妬させるとかなりやばいぜ?」

タキはこっそりと俺に注意する。

知るか!ウランがあんな目にあったのに!!

「あんな酷いことする奴なんか嫌いだ!!」

俺が叫ぶと、ピリッと空気が重くなり、皆の足が止まる。

周りの空気がグンッと重くなりビリビリする。

タキも立つのがやっとのようで足を震わせている。

「ああ、怒らせてしまったな。奴の威圧は半端無いんだ…。」

俺は息苦しさに、ハアハアと息を荒くした。

すると急に身体が持ち上がり、目の前には見たこともない、鋭い目つきの野獣がいた。

「ヒュー……。」

「お前は、まだ誰のものか、理解できていないようだな?」

グルルと深く喉から唸ると、いきなり肩に噛み付いた。

「ああああああ!!」

痛い!痛い!痛い!

血が流れているのがわかる!

痛いよ!ゆっくりと肩からヒューが離れ、欲情した目で俺を見る。

「暫し、待機していろ。」

ハッ!!

盗賊達は答え、跪く。

ヒューは肩を押さえて震える俺を連れて歩き出した。

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